以下、敬称略で進めます。
新海誠が2000年、自主制作で仕上げたアニメーション『彼女と彼女の猫』を紹介させていただきます。モノクロの本作は、フルバージョンで5分弱の作品です。
なお、本記事は、筆者 taoが過去のブログ(閉鎖済)で書き下した記事をリメイクしたものです。
また、新海誠作品紹介としては、こちらもどうぞ。
最初、新海誠について…
新海誠、46歳(☆閉鎖したブログ記事を公開した時点の年齢)、本名、新津真。生まれは長野県南佐久郡小海町。父は地元ゼネコン、新津組の3代目社長です。
新海誠は、中央大学文学部で国文学を専攻し、1995年、無事卒業。就職は4代目社長業の修行として、父の紹介で受験した都内住宅メーカーに勤務…の予定でした。
しかし、親の思惑通りに子は動かない…は世の中の常(笑)。
新津青年は、大学在学中からアルバイトをしていたゲーム会社、日本ファルコムにそのまま入社してしまいます。父はびっくり…ですよね。激怒したかも。
ところで、新津青年は、アニメーション制作では、かなり優秀だったとのこと。で、日本ファルコムに勤めながら、帰宅して夜な夜なアニメ制作に没頭します。オタク気質なのでしょうか。
で、その2作目がこの記事で紹介する『彼女と彼女の猫』です。なんと、この作品、第12回CGアニメコンテストでグランプリを受賞しました!
そんなこんながあって、日本ファルコム5年目となった2001年に同社退職。大胆にもアニメ制作を本業にしたのです。
『彼女と彼女の猫』、ミニ作品情報♪
- 英 語 Title:Their standing points
- 監督・制作:新海誠
- 音 楽:天門
- イ ラ ス ト:篠原美佳
- 時 間:
- フルバージョン 4分46秒
- ダイジェスト 1分30秒
新海誠作品には、必ず英語Titleがあります。処女作品でもあるのですから、当初から、自分の作品を世界に向けて発表する気概があったのでしょう。
さて、当時の新海誠の作品をつくる環境には驚きます。
当時の新海誠のアニメ作品作成環境はPower Mac 7600/120、ソフトはAdobe IUlustratorほか。4分46秒もの作品をこの環境で作るのは大変だったと推測します。
Power Mac 7600/120は1996年5月発売で、当時実勢価格は32万円前後。当時発売された同シリーズでは、スペックは一番下のもの。それに、フロッピーディスクがメインドライブだった時代です。作品動画の保存だけを考えても、何枚のフロッピーディスクが必要だったのか…その大変さは想像を超えたものだったことでしょう。
当時の極貧スペックでも、やればできるんですね。
標準メモリ16MB(最大搭載256MB)、VRAM標準1MB(最大4MB)で、これだけの作品を作ってしまう。自主制作の『彼女と彼女の猫』は、今見ても素敵な作品なので、その制作環境に、ただただ驚くばかりです。
『彼女と彼女の猫』のあらすじ
一人暮らしの独身女性。彼女があるとき「白」猫である僕を拾います。僕は彼女の自宅で暮らし始めます。そうそう、僕の名前は「チョビ」ね♪
あるとき彼女が電話に出ると、どうも別れ話。彼女は泣きます。
そんなこんながあっても彼女と僕の暮らしは続きます。なんだか彼女も僕も生きるのは達者ではないようです。それでも…
僕も、それからたぶん彼女も、この世のことが好きなんだと思う。
そんな、日常のなかにある寂しさやちょっとした痛み、そして温もりを描いた作品です。
『彼女と彼女の猫』、別バージョン
新海誠はアニメ『彼女と彼女の猫』を小説にしました。今や常識ですが、作品のマルチ展開です。
著者は永川成基。そして、永川成基の構成・脚本で、これが『彼女と彼女の猫-Everthing Flows-』として、2016年3月にTVアニメ化されました。
- 原 作:新海誠(小説版著者、永川成基)
- 監 督:坂本一也
- 構成・脚本:永川成基
- 制 作:彼女と彼女の猫EF製作委員会
- キャスト1:老いた「黒」猫・ダル(僕)〜浅沼晋太郎
- キャスト2:彼女・短大生〜花澤香菜
- キャスト3:香菜の母・ダルをどこからか連れてきた人〜平松昌子
このTVアニメ作品は、1話8分前後の全4話構成。4話が編集されたバージョンは27分ほどの作品です。エンドロールの直前に、自主制作版の『彼女と彼女の猫』につながります。
なお、この『彼女と彼女の猫 -Everythin Flows-』は、HuluやU-NEXTで視聴できます。
まとめ
今回は、新海誠監督のアニメ処女作とも言える『彼女と彼女の猫』について紹介させていただきました。
なお、冒頭にも書きましたが、この記事は、筆者 taoが閉鎖した自分のぶログに書いた自らの記事をリメイクしたものです。
ところで…
白猫の僕は、TVアニメ『彼女と彼女の猫』に出てくる黒猫ダルの生まれ変わりなのでしょうか…。
_/_/
さて、ラストに。
『彼女と彼女の猫』を見ていただくと気づくと想います。この作品、ホントうまく五感を刺激してくれます。視覚、聴覚、体感覚、味覚、そして、嗅覚。これらが「僕」の語り(声は新海誠監督自身)で、詩の朗読のように展開されるのです。それって、人をトランスに誘うのです。
トランスに誘うからって、怪しいことをやっているわけじゃない。見る人それぞれが、よりメタファーを感じやすくなるのです。だから、この短編には、人それぞれに深い感動を覚えるのかもしれません。
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