米・イスラエル、イランを大規模空爆 〜 今回の攻撃が起きた理由と、どうして今なのか?

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2026年2月28日、米国とイスラエルはイランに対して大規模な軍事作戦を開始し、最高指導者ハメネイ師を殺害。

2003年のイラク戦争以来、中東でこれほどの規模の軍事行動が起きるのは初めてのことです。

イランは即座に反撃し、イスラエルと湾岸諸国の米軍基地を攻撃。

米兵3名が死亡し、ホルムズ海峡は事実上の封鎖状態に入ったと言われています。

2025年6月の「12日間戦争」に続く今回の衝突は、中東全域を飲み込む地域戦争の様相を帯びてきていると伝えられています。

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目次

なぜ、ここまで来たのか 〜 ①どうして今回の攻撃が起きたのか?

今回の攻撃には直接的な前段があります。

2025年6月13〜24日、イスラエルとイランのあいだで「12日間戦争」が起きました。

イスラエルは「ライジング・ライオン作戦」として200機以上の戦闘機を投入し、イラン国内の約100目標に330発以上の爆弾を投下。

6月22日には米国もB-2ステルス爆撃機でフォルドゥ、ナタンズ、イスファハンの核施設を攻撃しています。

イランも黙ってはいませんでした。

500発以上の弾道ミサイルとドローンで反撃し、テルアビブとハイファに相当の被害を与えました。

もっとも、その約90%は米国の支援のもとで迎撃されています。

この戦争でイラン側には少なくとも610名の死者が出て(イラン政府発表)、将官30名と核科学者9〜11名が命を落としました。イスラエル側の死者は28名でした。

イスラエルはハマスやヒズボラを裏で操る「大ボス」がイランの最高指導者ハメネイ師であると見做しており、最終的な狙いとしてイランの体制転覆を掲げていました。

さらに決定的な引き金となったのが核開発問題です。

2026年1〜2月にはオマーン仲介による米・イランの間接核交渉が3回行われましたが、2月27日、IAEAがイランの地下施設に高濃縮ウランが秘匿されていたことを発見。

交渉は決裂し、その翌々日に攻撃が始まりました。

イスラエルやアメリカは、イランが核の脅威を確立する前に、体制そのものを排除する必要に迫られていたのです。

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なぜ、ここまで来たのか 〜 ②どうして「今」なのか?

次になぜ、このタイミングで全面攻撃に踏み切ったのか…。

それにはイランの「弱体化」という背景があります。

6月24日に12日間戦争の停戦が成立したものの、その後のイランの国内情勢は急速に悪化します。

通貨リアルが年率84%も下落し、食料価格が72%上昇するなか、12月28日からは1979年の革命以来最大規模の全国的な反政府デモが始まりました。

政府は2026年1月8〜10日に武力弾圧に踏み切り、死者は政府発表で3,117名、米国人権団体の推計では7,000名にのぼるとされています。

イランは支援するハマスやヒズボラの弱体化だけでなく、自国も12日間戦争のダメージと国内の混乱によって「反撃の余力がない」状態に陥っていました。

米・イスラエル側にとって、敵が最も弱っている「今」が最大のチャンスだったのです。

さらに、ハメネイ師や幹部たちが地上の邸宅に集まるという情報を掴み、指導部を一網打尽にできる千載一遇の好機が重なったことも、電撃的な作戦実行の決定打となりました。

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攻撃の全貌 〜「エピック・フューリー作戦」とは何だったのか

2026年2月28日午前2時30分(米東部時間)、トランプ大統領はTruth Socialに8分間の動画を投稿し、「イランにおける主要戦闘作戦」の開始を宣言しました。

米軍の作戦名は「エピック・フューリー」、イスラエル軍は「ローリング・ライオン」と名付けています。

宣言された目標は、イランの核・ミサイル計画の破壊、海軍の壊滅、指導部の排除、そして体制転換でした。

攻撃の規模は圧倒的なものでした。最初の12時間で約900回の空爆が実施され、イスラエル空軍だけで最初の24時間にイラン全31州中24州へ1,200発以上の弾薬を投下しています。

米中央軍(CENTCOM)は日曜日までに計1,000以上の目標を攻撃したと発表しました。

最も重大な戦果は、最高指導者アリー・ハメネイ師(享年86)の殺害です。

テヘランの邸宅への精密爆撃により、娘・義理の息子・孫とともに死亡が確認されました。

同時にシャムハニ最高安全保障会議書記、ナシルザデ国防相、IRGC(革命防衛隊)司令官を含む約40名のイラン高官も殺害されています。

イラン国営メディアは3月1日、ハメネイ師の死亡を正式に認めました。

民間人への被害も深刻です。AP通信によればイラン全土で200名以上が死亡、747名が負傷しています。

ミナブのIRGC海軍基地付近にあった女子小学校では、イラン外務省発表で児童158名が死亡したとされています(イスラエルは同地域での作戦を否定、CENTCOMは調査中と回答)。

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イランの反撃とホルムズ海峡封鎖

イランの報復は即座かつ広範囲に及びました。

IRGCはイスラエルに向けて約170発の弾道ミサイルを発射。エルサレム近郊のベト・シェメシュでは住宅に着弾し、少なくとも6名が死亡、23名が負傷しました。

テルアビブでは40棟以上の建物が損壊し、イスラエルは「特別非常事態」を宣言。予備役7万名を動員してベン・グリオン空港を全面閉鎖しています。

中東各地の米軍関連施設も攻撃を受けました。

IRGCは「27の米・イスラエル基地を攻撃した」と主張しています。

バーレーンの米第5艦隊司令部(米側は被害規模を否定)、UAEではドバイ国際空港が無期限閉鎖となり、ドバイのパーム・ジュメイラのホテルで火災が発生。

クウェート、ヨルダン、サウジアラビアも標的になっています。

米兵3名の死亡はCENTCOMが3月1日に確認しており、トランプ大統領自身も「さらに犠牲者が出る可能性がある」と認めました。

戦略的に最も深刻なのは、ホルムズ海峡の事実上の封鎖です。

IRGCは全船舶に通過禁止を通告し、海峡付近では石油タンカーへの攻撃が始まりました。

世界の石油供給の約20%(日量2,000万バレル)が通過するこの海峡が閉じられたことで、原油価格は12%急騰して1バレル75ドルに達し、3月2日の市場開始時点ではさらに85〜90ドル台への上昇が見込まれています。

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国際社会の反応 〜 深まる亀裂

  • ロシアと中国:強烈な非難
    • ロシアのプーチン大統領はハメネイ師殺害を非難し、追悼の意を示しました。ロシアはイランと包括的戦略パートナーシップ条約を結んでいますが、ウクライナ戦争のため実質的な軍事支援能力は疑問視されています。
    • 中国は「イランの主権に対する重大な侵害」と強く非難し、ロシアと共に安保理緊急会合を要請。経済的・軍事的な関与も指摘されています。
  • 湾岸諸国:難しい立場
    • サウジアラビアは公式には攻撃を非難しつつ、自国領空の使用は認めていないと表明。経済改革を優先する姿勢を見せています。
    • UAEなども一斉に非難し領空を閉鎖。オマーンが仲介役として動いています。
  • 欧州とNATO:攻撃には参加せず、防衛には協力
    • 英・仏・独は攻撃に不参加を明言しつつ、イランの報復攻撃を非難。NATOはイラン監視を強化していますが、トルコはイラン攻撃を非難し、NATO内の亀裂も表面化しています。
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「抵抗の枢軸」はいま 〜 弱体化しつつも再び動き出す

  • ヒズボラ:
    • 2024年の猛攻で弱体化していましたが、3月2日にイスラエル北部へロケット弾を発射し、復讐を明言しました。
  • フーシ派:
    • 「抵抗の枢軸」の中で最も力を残しており、紅海の船舶攻撃とイスラエルへのミサイル攻撃の全面再開を宣言。
  • イラク民兵とハマス:
    • イラク民兵は米軍基地にドローン攻撃を仕掛け、ハマスは「ムスリムの団結」を呼びかけています。

これからどうなるのか 〜 4つのシナリオ

  • シナリオ① 数週間で収束する(確率:中程度):
    • トランプ大統領が作戦の「勝利」を宣言し、2〜4週間で終結させてイラン新指導部と交渉するシナリオ。
  • シナリオ② 空爆が長期化する(確率:中〜高):
    • 3〜5週間空爆を続け、イランの軍事インフラを徹底破壊するシナリオ。ただし米軍の持続力には制約があります。
  • シナリオ③ 地域全体の戦争に拡大する(確率:低〜中):
    • ヒズボラやフーシ派が本格参戦し、ホルムズ海峡の長期封鎖による世界経済への深刻なショックが訪れるシナリオ。
  • シナリオ④ イランの体制が崩壊・内戦に陥る(確率:低):
    • ハメネイ師の死去を契機に内戦に突入するシナリオ。ただしIRGCが実権を握っており、崩壊の可能性は低いと見られています。

日本への影響と、今後の行方を左右する変数

高市首相は国家安全保障会議を招集し、情報収集と邦人保護を指示しました。

日本にとって最も深刻なのはエネルギー安全保障の問題です。

日本の原油輸入の約90%は中東依存であり、その大部分がホルムズ海峡を通過します。

海峡封鎖が長引けば、日本経済へのダメージは計り知れません。

「空軍力だけでは体制転換は達成できない」——主要シンクタンクの見解はほぼ一致しています。

トランプ政権が宣言した野心的な目標と、現実に達成できる範囲の間に横たわるギャップ。

それがこの紛争の最大の構造的問題であり、今後の展開を最も大きく左右する核心です。

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