かつて「元祖おバカタレント」として一世を風靡したつるの剛士さん。バラエティ番組や歌手活動で親しまれてきた彼が、50歳を目前に短大卒から大学卒業へと“学びのジャンプアップ”を果たし、さらに大学院進学を考えているんだとか・・・。
5人の子どもの父親であり、芸能人として多忙な日々を送りながら、なぜ彼は学び続けたのか――。
その背景や思い、大人になってからの学びの面白さや苦労、家族への影響まで、つるのさんの“第二の青春”とも言える挑戦をたっぷりご紹介します。
つるの剛士、学びの原点は「子育て」と「人生100年時代」への意識
つるの剛士さんが本格的に学び直しの道を歩み始めたのは44歳のとき。きっかけは、5人の子どもを育てる父親として、また育児番組の司会やイクメン活動を通じて「子育て」や「家族」と深く関わってきたことでした。
育児について専門的に勉強したことはなかったので、一度きちんと体系的に学び、正しい知識を身につけたいと思ったんです。また、人生100年時代を迎え、50歳からの第2のステージをどう生きるかを考えるなかで、子どもや家族、親子が自分の人生のテーマになる気がしていました。
引用元:CHANT WEB
この思いから、通信制の小田原短期大学に入学。幼稚園教諭二種免許と保育士資格の取得を目指して勉強を始めたのです。
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実は、短期大学入学には、ちょっとした前段のお話もあるようです。それは・・・
長男が中学受験をする際に、彼が全く勉強をしなかった。そこで、つるのさんは子供に「勉強しなさい!」と繰り返し言っていたんだとか。
そこでハタと気づいたつるのさん。
「勉強しなさい」と口うるさく言っていたのですが、なんだか違和感がありました。だって、僕自身、『クイズ!ヘキサゴン』であんな珍回答をしていたおバカタレントなのに(笑)、子どもに偉そうに「勉強しなさい」なんて、「いったいどの口が言うんだ」と笑えてきて。まったく説得力がないですよね。
引用元:CHANTO WEB
「勉強しなさい」と言っている当の自分が、何で勉強をしなきゃいけないのかよくわかっていない。じゃあ、いったい勉強ってどんなものなのか、体験してみようと思って、息子に「お前は塾をやめていい。代わりにパパが入るから」と。いざ塾で勉強を始めてみたら、知る喜び、学びの楽しさに目覚めてスイッチが入り、新しい世界が開けました。
つるの剛士さんのぶっ飛んだ発想と行動力には驚くばかり。
実際、つるのさんは塾で学んで勉強の楽しさを実感したそうで、そういう実体験が短大入学に繋がっているんですね。
コロナ禍での学びと、実践を通じた「答え合わせ」
入学早々、コロナ禍に見舞われ、つるのさん自身も感染し入院するというアクシデントに見舞われました。しかし、芸能活動が自粛となったことで、逆に学びに集中できる時間が生まれました。
生まれてこのかた、こんなに勉強したことはなかったくらい。これだけ多岐に渡る知識を習得したうえで、ようやく免許を手にし、資格に挑むことができるんだなと身を持って知り、あらためて世の中の保育士さんたちに尊敬の念が深まりましたね。
引用元:CHANTO WEB
年齢を重ねてからの勉強は、若い頃のように暗記が得意というわけにはいきません。しかし社会経験を積んできたからこそ、「点と点が線になる」実感があり、学びが実践に直結する面白さを味わったといいます。
5人の子育ての答え合わせをしている感覚で、学びながら復習しているようでした。しかも当時、いちばん下の息子が4歳くらいだったので、学んだことをリアルに実践でき、すごく助かりました。
引用元:CHANTO WEB
教育実習で得た「子どもたちが先生」という気づき
つるのさん、短大での学びで特に印象に残っているのは、教育実習の経験なんだとか。子どもたちの心に寄り添う保育士の姿に感動し、また自分自身も成長できたことを実感したそうです。
最初のころ、子どもたちがワーッと一斉に泣き出して焦っていたら、先生がやってきて、ちゃちゃっとおまじないをかけるかのように一瞬でなぐさめるんです。まるで、子どもたちの心の中にスッと入って、傷跡にそっとばんそうこうを貼るみたいに。先生が一瞬魔法使いに見えて感動しましたね。でも、実習の最後のころになると、気づくと自分でもそれができるようになっていて、成長できたんだなとうれしかったですね。
引用元:CHANTO WEB
また、子どもたちと過ごす中で「大人の目線では見過ごすようなものも、子どもにとっては宝物」という発見も。落ち葉や松ぼっくり、牛乳パックなど、身の回りのものが遊び道具に変わる柔軟な発想力に学び、大人がいかに固定観念に縛られているかを痛感したといいます。
短大卒業後、燃え尽き症候群からの「心理学」への挑戦
無事に短大を卒業し、当初の目的であった幼稚園教諭二種免許と保育士の資格も取得したつるのさん。しかし、達成感の一方で「燃え尽き症候群」のような状態に陥ったといいます。
人生でこれほど勉強したことがなかったので、保育士の資格を取得した後、目標がなくなって、燃え尽き症候群みたいになっちゃって。せっかく学びの習慣も身についたので、どうせなら興味のある心理学をもっと勉強してみたいなと思い、通っていた短大と提携していた大学の子ども心理学部に編入しました。今、4年生なのですが、3月で卒業するので、この春からまた別の大学で学ぶつもりでいます。(★斜め太文字は筆者 taoがしました)
引用元:CHANTO WEB
ここから、つるのさんの“第2ラウンド”が始まります。・・・と書きたいところなのですが、注目すべきは引用の「斜め太文字の部分」です。
この引用記事の公開は2025年1月。つまり、燃え尽き症候群から東京未来大学3年生に編入を果たしたつるのさんは、このインタビュー記事の段階で2025年3月には無事大学卒業することとなっているということ。そして、さらにその先の学びも予定しているということなのです。
つるのさんの学びは続く・・・ということです。
そうはいっても、時系列的に次の章は、東京未来大学での2年間の学びについてまとめました。
東京未来大学での2年間――「心理学」にどハマり
つるのさんは、2023年、東京未来大学こども心理学部の「認定心理士・生涯学習コース」に3年次編入。通信教育課程で2年間学び、2025年春に見事卒業を果たしました。
学びの舞台は「新幹線」や「ロケ先」
仕事や育児の合間を縫っての勉強は、決して楽ではありません。移動中の新幹線やロケ先のホテルが“キャンパス”となり、2週間ごとに2科目の試験がやってくるハードなスケジュール。
「友達100人くらい失いました(笑)」と語るほど、遊びや飲み会を断って勉学に打ち込んだそうです。
深層心理学との出会い、そして「ユング教」へ
つるのさんが学んだ心理学の中でも特に惹かれたのが「深層心理学」なんだとか。47歳のときに自身もミッドライフクライシス(中年の危機)を経験し、その答えを求めてフロイト、アドラー、ユングの著作を読み漁る日々を送ったそうです。
フロイト、アドラー、ユング……著名な心理学者の本はひととおり読みました。完全にどハマりしたのはユング。疑問に思っていることを全部、ユングが解いてくれたので、はっきり言ってユング教です(笑)。ユングが書いている本自体はメチャメチャ難しいんですよ。でも日本の心理学者である河合隼雄先生の『ユング心理学入門』をはじめ、丁寧に要約した本がいろいろあったので、分かりやすく頭に入ってきたんです。ミッドライフクライシスのことも書いていて、僕からしたらもう目から鱗ですよ。次から次へと興味が出てくるから、そのたびに本をインターネットで買っては読んで。おかげで、老眼が一気に進んじゃいました(笑)。
引用元:文春オンライン
日本の心理学者・河合隼雄先生の著書などを通じて理解を深め、「学びが自分の人生の“点”を“線”にしてくれる快感」を味わったといいます。素敵な体験です。
家族とともに歩んだ学びの日々
つるのさんの学びは、家族にも大きな影響を与えました。子どもたちは自然と勉強好きになり、リビングで一緒に勉強するようになったとか。
学びって自分にベクトルを向けているようで、自分が変わっていくと同時に子どもたちも変わっていくんですよね。短大、大学を通じてそのことにも気づけました。
引用元:文春オンライン
この5年間、何かに向かってがむしゃらに頑張る姿を子どもたちに見せることができたことが財産。
資格試験に合格するたび、家族のグループLINEで報告し合い、みんなで喜びを分かち合う――そんな温かいエピソードも。
大人の学びは“遊び”であり、人生の宝物
つるのさんは「学ぶことは大人にとっての“遊び”」と語ります。自分の興味に素直になれるのは大人ならでは。新しい世界に飛び込むことで、これまでの経験が結びつき、アイデアが生まれる楽しさも実感したといいます。
大学って、どこか本屋さんに似ているんですよね。ピンポイントでこの本を買おうと思っても、本屋さんに行くと気になる本にいっぱい出会えるじゃないですか。意外にこっちもいいぞ、あっちもいいぞってワクワクしちゃう。
それに、大学のような別の世界に飛び込んで学んでみることで、今までのキャリアで得た経験やスキルがいろんなところと結びついたり、いろんなアイデアが生まれたりするんですよね。就職のために大学に通う若者も多いんでしょうけど、大人ならもうそこは関係ないじゃないですか。だからこそ、より自分の興味に素直になれるんだと思うんです。
学ぶことって、大人にとっての“遊び”だと思うんです。あとは、やっぱり大人だから自分でお金を払わなきゃいけない。何より元を取らなきゃって思うし、骨の髄まで吸収しないともったいないんで。在学中は学割も思いっきり使わせてもらいましたよ(笑)。
引用元:文春オンライン
変わり続ける自分――学びに終わりはない
勉強すればするほど「自分が知らないこと」に気づかされ、迷路の奥に入っていくような感覚になるとも語るつるのさん。しかし、それこそが学びの醍醐味であり、「やってみることに間に合わないことなんてない」と前向きに捉えています。
人間というものは日々変わっていきますけど、僕の場合はより変われたんじゃないですかね。勉強するなかで “俺が初めて見つけたぜ”って思ったことがあっても、そんなのとんでもなくて、300年前、400年前、何なら2500年前に誰かが解いちゃったりしているんですよ。だから勉強すればするほど、自分が知らないことに気づかされて辛くなるし、何だか暗闇になっていくんです。普通は明るくなっていきそうなものなのに、逆に迷路の奥に入っていく感覚。暗闇のなかをさまよいながら、あれも知りたい、これも知りたいってなっていくんですよね。
引用元:文春オンライン
つるのさんは学ぶことの楽しさを知ってしまったようです。学び沼。
そんなこんなで、今では大学院進学も視野に入れているとか。家族の応援を受けながら、つるの剛士さんの学びの旅はまだまだ続きそうです。
まとめ――「おバカ」から「学びの達人」
「元祖おバカタレント」と呼ばれたつるの剛士さんは、今や“学びの達人”。子育てや人生の転機をきっかけに、短大・大学・資格取得と、学び続ける姿勢は多くの人に勇気を与えてくれます。
- 大人になってからの学びは、経験が「点と点を線にする」面白さがある
- 家族や子どもたちにも良い影響を与える
- 年齢や過去のイメージにとらわれず、何歳からでも新しい挑戦はできる
つるのさんの姿から、「学ぶことの楽しさ」「人生は何度でもやり直せる」というメッセージが伝わってきます。あなたも、今から“学びの一歩”を踏み出してみませんか?
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