「まさか、自民党がここまで踏み込むとは…」。
高市首相が解散表明の記者会見で放った、「食料品の消費税率2年間ゼロ」というサプライズ公約。
これまで「中道改革」が掲げていた看板政策を、政権与党がそのまま横取りした形となり、永田町だけでなく私たち国民の間にも衝撃が走っています。「家計が助かる!」という喜びの声の一方で、「選挙目当てのバラマキでは?」「本当に安くなるの?」という疑念も消えません。
この記事では、私たちの生活に直結するこの公約の「中身」と、ぬか喜びに終わるかもしれない「価格のカラクリ」について解説します。
- 「食料品消費税ゼロ」はいつから始まり、何が対象になるのか
- 本当に安くなる? お店が「値下げ」をしない経済的な理由
- 「中道改革」の政策を奪った高市首相の真の狙い
高市首相の公約「食料品消費税ゼロ」の全貌
「物価高から国民生活を守る即効薬」。高市首相はそう胸を張りましたが、具体的に私たちの買い物はどう変わるのか。まずは公約の骨子となる「期間」と「対象」を整理します。
いつから開始?「2年間限定」の理由とは
実施時期は選挙結果次第ですが、法改正やシステム改修を考慮すると、早くても2026年度中(数ヶ月後)のスタートが現実的。
期間を「2年間」と区切った理由は二つ。一つは恒久減税による財政悪化批判をかわすため。もう一つは「この2年でデフレ脱却を完遂する」という政権の自信(と選挙用のアピール)です。「期限付きだからこそ、今すぐ信を問う」という解散の大義名分にもなっています。
対象品目は?酒・外食は除外だがコンビニ弁当は?(軽減税率との違い)
基本的には、現在の「軽減税率(8%)」の対象品目が、そのまま「0%」になるイメージです。
スーパーの野菜、肉、魚、お弁当、お菓子などは対象。一方で、酒類(ビール・チューハイ)や外食は対象外(10%のまま)です。
ややこしいのがコンビニ。「持ち帰り」なら0%ですが、イートインで食べれば「外食」扱いとなり10%。その差が10%にも広がるため、現場の混乱は避けられないでしょう。
【元税務スタッフが解説】消費税ゼロでも「安くならない」これだけの理由
ここが最も重要なポイント。
「税率が8%下がるんだから、レシートの合計も8%安くなるはず」と思っていませんか?
実は、経済の現場を知る立場からすると、「支払う総額は変わらない」可能性が高いのです。
★筆者 taoは税理士事務所(税理士法人)に勤務していました(^_^)/
お店は「値下げ」せず「コスト高の穴埋め」に使う(原材料費・電気代高騰の吸収)
今、お店やメーカーは苦境に立たされています。
電気代、人件費、輸入原材料の高騰…。本来なら「値上げ」をしたいところですが、客離れが怖くて我慢しているのが現状。
そこに「消費税ゼロ」が来たらどうなるか。店主はこう考えます。
「値下げしてお客さんに還元するより、今の価格(税込総額)のまま据え置いて、浮いた税金分でコスト高を吸収しよう」。
これが商売のリアルな判断です。
過去の事例から見る「便乗値上げ(価格据え置き)」のメカニズム
具体的な数字で見ると分かりやすいです。
現在、本体100円+税8円=108円で売っている商品があるとします。
消費税がゼロになったら、本来は本体100円+税0円=100円になるはず。
しかし、店側が本体価格をこっそり値上げし、本体108円+税0円=108円として売る。
客から見れば支払額は変わらないため、値上げされたことに気づきにくい。これを「便乗値上げ(実質的な利益確保)」と言います。結果、恩恵を受けるのは消費者ではなく、事業者になる可能性があるのです。
以上のことは、批判的意味合いで書いたのではありません。事業者としては、コストを価格に転嫁するのは当然だと思うのです。
ここを国民を含めてはき違えてしまうからこそのデフレがあると思うのですが…。
なぜ今?中道改革の「お株を奪う」究極の選挙戦術
今回の公約、実は新党「中道改革」が結党以来、最大の目玉としてきた政策と瓜二つ。なぜ自民党は、プライドを捨ててまで他党の政策を「パクった」のでしょうか。
中道改革の目玉政策を「完全コピー」して争点を消滅させた
選挙戦で野党に「消費税減税」を叫ばれると、増税イメージのある自民党は不利になります。
ならば、自分たちが先に「やります!」と言ってしまえば、野党の攻撃材料は消滅します。
高市首相としては、なりふり構わず「中道改革潰し」に出た形。「本家」である中道改革がどう差別化を図るのか、選挙戦の最大の注目ポイントです。
野党の「財源どうする」批判を封じ込める高市首相の狙い
もし野党がこの公約に対し、「財源はどうするんだ!バラマキだ!」と批判すればどうなるか。
有権者からは「せっかく減税してくれるのに、邪魔をするのか?」と見られてしまいます。
野党を「減税に反対する勢力」という立場に追い込む。これが高市首相の仕掛けた、巧妙かつえげつない罠なのです。
高市首相「食料品消費税ゼロ」公約に関するFAQ
ニュースを見ていて浮かぶ素朴な疑問や、生活現場での細かいルールについてまとめました。
- Q1. スーパーのレジで自動的に安くなるの?
- A1. 法的には「減税分を還元しなければならない」という強制力はないため、最終的にはお店の判断になります。
- Q2. みりんや料理酒は対象?
- A2. 「本みりん」や「料理酒(塩分が含まれないもの)」は酒税法上の酒類になるため、対象外(10%)となる可能性が高いです。
- Q3. ノンアルコールビールは?
- A3. 酒類ではない「清涼飲料水」扱いなので、対象(0%)になります。
- Q4. 水道水は?
- A4. 飲料としてのミネラルウォーターは0%ですが、水道料金は生活用水も含まれるため、通常は対象外(10%)です。
- Q5. 新聞はゼロになる?
- A5. 新聞は現在も軽減税率(8%)ですが、今回の公約は「食料品」限定なので、新聞は8%のまま残る見込みです。
- Q6. ペットフードは?
- A6. 人が食べるものではないため、対象外(10%)です。
- Q7. サプリメントや栄養ドリンクは?
- A7. 「医薬品」指定のものは対象外ですが、「食品」扱いのサプリやドリンクは0%になります。
- Q8. 税抜価格表示はどうなる?
- A8. 「本体100円+税0円」となるため、税抜価格と税込価格が一致することになり、表示はシンプルになります。
- Q9. キャッシュレス決済のポイント還元はある?
- A9. 今回の公約には含まれていません。あくまで税率の引き下げのみです。
- Q10. 2年後に税率が戻る時、反動はある?
- A10. 0%から8%(またはそれ以上)に戻るため、その直前に猛烈な「買いだめ」需要と、その後の消費の冷え込みが予想されます。
- Q11. 財源の裏付けはあるの?
- A11. 政府は「税収の上振れ分」などを挙げていますが、具体的かつ十分な根拠は示されておらず、選挙戦での議論が必要です。
まとめ:目先の「ゼロ」より「誰が実行できるか」を見極めよう
「消費税ゼロ」という言葉は強烈なインパクトがあります。しかし、それがそのまま私たちの財布の紐を緩める「安さ」になるとは限りません。
- 高市首相の公約は、食料品(酒・外食除く)の消費税を2年間0%にするもの。
- 開始時期は選挙後、法改正を経てから(2026年度中〜)。
- お店がコスト吸収に使うため、販売価格は下がらない可能性がある。
- コンビニのイートインと持ち帰りの税率差が拡大し、混乱の恐れも。
- 中道改革の政策を奪うことで、選挙を有利に進める政治的意図が強い。
「タダより高いものはない」とならないよう、公約の耳触りの良さだけでなく、その実現力と経済への影響を冷静に見極めて投票に行きましょう。


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