豊昇龍が第74代横綱になりました。昇進基準が甘すぎるなどなど批判もあります。
いち大相撲欄としては、「横綱ゼロの場所」が回避されたことに安堵しています。
豊昇龍には心配な部分もありますが、横綱になったからには歴代横綱のなかでも「強い横綱」としてその功績を残してほしいと望んでいます。
ところで「強い横綱」というのは、その判定切り口はたくさんあります。
今回、筆者 TOPIOが独自の視点で「強い横綱歴代ベスト10」を算定しました。
まずは、結果を開示しますね。
( )内の数値は「TOPIO値」で数値が小さい横綱ほど「強い」という判定です。
- 1位(10) 第69代横綱・白 鵬
- 2位(21) 第48代横綱・大 鵬
- 3位(22) 第58代横綱・千代の富士
- 4位(30) 第55代横綱・北の湖
- 5位(34) 第68代横綱・朝青龍
- 6位(43) 第65代横綱・貴乃花
- 7位(52) 第54代横綱・輪 島
- 8位(53) 第35代横綱・双葉山
- 9位(58) 第64代横綱・曙
- 10位(69) 第67代横綱・武蔵丸
以下、このベスト10の説明をしますね。
強さを比較する横綱15人をピックアップ
「強い歴代横綱ベスト10」を算定するにあたり、15人の横綱をピックアップしました。
直近の10人をピックアップ
まずは、直近の10人の横綱です。なお、出身国が日本以外の横綱には、出身国を明記しています。
- 第73代横綱・照ノ富士 モンゴル
- 第72代横綱・稀勢の里
- 第71代横綱・鶴 竜 モンゴル
- 第70代横綱・日馬富士 モンゴル
- 第69代横綱・白 鵬 モンゴル
- 第68代横綱・朝青龍 モンゴル
- 第67代横綱・武蔵丸 アメリカ
- 第66代横綱・若乃花 (3代目)
- 第65代横綱・貴乃花(2代目)
- 第64代横綱・曙 アメリカ
直近の10横綱中、外国出身力士が7人、うち、モンゴル出身が5人。
外国出身力士の強さ、そして、モンゴル出身力士の強さが歴然としていますね。
豊昇龍の横綱昇進で、これでモンゴル出身横綱は6人輩出となります。
このモンゴル勢の強さを、きちんと分析することは十分意味があると思います。
歴代優勝回数上位者5人を付加
前述の直近横綱10人に次の5人の横綱をピックアップしました。
それは膜宇佐以降優勝回数の歴代ベスト10のうち、前述の10人と重複しない5人です。
- 第48代横綱・大 鵬 歴代優勝回数2位・32回
- 第58代横綱・千代の富士 歴代優勝回数3位・31回
- 第55代横綱・北の湖 歴代優勝回数5位・24回
- 第54代横綱・輪 島 歴代優勝回数7位・14回
- 第35代横綱・双葉山 歴代優勝回数8位・12回
双葉山は「現在の1場所15日」の前の横綱(★注)ですが、優勝回数、横綱在位場所にしめる優勝の回数の率等が抜きんでているので、「強い歴代横綱」を比較するための15人リストに加えることとしました。
- (★注)横綱・双葉山は横綱在位17場所中、14場所は「15日制」で闘っています。残り3場所は「13日制」で闘っています。
強さを比較する15人の横綱を再度リスト
強さを比較するためにピックアップした15人の横綱を歴代降順に再度リストしますね。
- 第73代横綱・照ノ富士
- 第72代横綱・稀勢の里
- 第71代横綱・鶴 竜
- 第70代横綱・日馬富士
- 第69代横綱・白 鵬
- 第68代横綱・朝青龍
- 第67代横綱・武蔵丸
- 第66代横綱・若乃花 (3代目)
- 第65代横綱・貴乃花(2代目)
- 第64代横綱・曙
- 第58代横綱・千代の富士
- 第55代横綱・北の湖
- 第54代横綱・輪 島
- 第48代横綱・大 鵬
- 第35代横綱・双葉山
強い横綱判定の「TOPIO値」について
強い横綱を判定するために、次の7つの視点で順位付けをしました。
- [1] 横綱在位の場所数
- [2] 横綱在位時の勝数
- [3] 横綱在位時の勝率
- [4] 横綱在位時の優勝回数
- [5] 横綱在位時の優勝率
- [6] 横綱在位時の[優勝+準優勝]回数
- [7] 通算の優勝回数
[5]については、[4]÷[1]×100(%)で算出しました。
_/_/_/
「強い横綱」の算定方法は次の通りです。
[1]〜[7]の7項目毎に、その切り口で「強い」順に「1点」「2点」…「15点」と点数を付けます。同率(同数)の場合は、同じ点数として、その次を「+1点」で置数します。
この要領で、[1]〜[7]すべてに点数を付けます。
★次に、[1]〜[7]の点数を合計します。
そして、合計点数の降順で順番をつけます。
つまり、この合計点数が小さい者ほど「強い」という判定です。
この点数付けをして、上位10人が「強い歴代横綱ベスト10」と認定しました。
★の合計時点で[1]〜[7]の7項目にウエイト付をすることも考慮しましたが、今回は単純可算のみとしました。
なお、[1]〜[7]項目について、ざっと考え方と結果を書くと、次のようになります。
[1] 横綱在位の場所数
「横綱在位の場所数」の多寡は、「強い横綱」の指標として重視できると判断しました。結果は次の通りです。
各行頭( )内の数値は、本指標項の点数で、点数が低いほど「強い」と判断します。
- ( 1) 第69代横綱・ 白 鵬 84場所
- ( 2) 第55代横綱・ 北の湖 63場所
- ( 3) 第58代横綱・ 千代の富士 59場所
- ( 4) 第48代横綱・ 大 鵬 58場所
- ( 5) 第65代横綱・ 貴乃花 49場所
- ( 6) 第64代横綱・ 曙 48場所
- ( 7) 第54代横綱・ 輪 島 47場所
- ( 8) 第68代横綱・ 朝青龍 42場所
- ( 9) 第71代横綱・ 鶴 竜 41場所
- (10) 第70代横綱・日馬富士 31場所
- (11) 第67代横綱・武蔵丸 27場所
- (12) 第73代横綱・照ノ富士 21場所
- (13) 第35代横綱・双葉山 17場所
- (14) 第72代横綱・稀勢の里 12場所
- (15) 第66代横綱・若乃花 11場所
[2] 横綱在位時の勝星数
「横綱在位時の勝星数」は、横綱在位数とある程度の相関はあるものの、「強い横綱」の指標として重視できると判断しました。結果は次の通りです。
各行頭( )内の数値は、本指標項の点数で、点数が低いほど「強い」と判断します。
- ( 1) 第69代横綱・白 鵬 899勝
- ( 2) 第55代横綱・北の湖 670勝
- ( 3) 第58代横綱・千代の富士 625勝
- ( 4) 第48代横綱・大 鵬 622勝
- ( 5) 第54代横綱・輪 島 466勝
- ( 6) 第68代横綱・朝青龍 463勝
- ( 7) 第64代横綱・曙 432勝
- ( 8) 第65代横綱・貴乃花 429勝
- ( 9) 第70代横綱・日馬富士 285勝
- (10)第71代横綱・鶴 竜 266勝
- (11)第67代横綱・武蔵丸 216勝
- (12)第35代横綱・双葉山 180勝
- (13)第73代横綱・照ノ富士 114勝
- (14)第66代横綱・若乃花 61勝
- (15)第72代横綱・稀勢の里 36勝
[3] 横綱在位時の勝率
「横綱在位時の勝率」は、「強い横綱」の指標として重視できると判断しました。結果は次の通りです。
なお、計算式は「横綱在位時の白星数」÷「横綱在位時の勝数+敗数」×100(%)
各行頭( )内の数値は、本指標項の点数で、点数が低いほど「強い」と判断します。
- ( 1) 第35代横綱・双葉山 88.2%
- ( 2) 第69代横綱・白 鵬 87.5%
- ( 3) 第48代横綱・大 鵬 85.8%
- ( 4) 第58代横綱・千代の富士 84.8%
- ( 5) 第65代横綱・貴乃花 81.3%
- ( 6) 第68代横綱・朝青龍 83.6%
- ( 7) 第55代横綱・北の湖 81.1%
- ( 8) 第64代横綱・曙 78.0%
- ( 9) 第54代横綱・輪 島 76.6%
- (10)第67代横綱・武蔵丸 76.3%
- (11)第73代横綱・照ノ富士 74.0%
- (12)第70代横綱・日馬富士 72.7%
- (13)第71代横綱・鶴 竜 69.5%
- (14)第66代横綱・若乃花 61.6%
- (15)第72代横綱・稀勢の里 50.5%
[4] 横綱在位時の優勝回数
「横綱在位時の優勝回数」は、他の指数と相関が高いものもあれば、相関が低いものもあるという状態なので、「強い横綱」の指標として重視できると判断しました。結果は次の通りです。
各行頭( )内の数値は、本指標項の点数で、点数が低いほど「強い」と判断します。
- ( 1) 第69代横綱・白 鵬 優勝 42回
- ( 2) 第58代横綱・千代の富士 優勝 29回
- ( 2) 第48代横綱・大 鵬 優勝 29回
- ( 4) 第68代横綱・朝青龍 優勝 23回
- ( 5) 第55代横綱・北の湖 優勝 22回
- ( 6) 第65代横綱・貴乃花 優勝 15回
- ( 7) 第54代横綱・輪 島 優勝 12回
- ( 8) 第35代横綱・双葉山 優勝 9回
- ( 9) 第64代横綱・曙 優勝 8回
- (10)第67代横綱・武蔵丸 優勝 7回
- (11)第73代横綱・照ノ富士 優勝 6回
- (12)第71代横綱・鶴 竜 優勝 5回
- (12)第70代横綱・日馬富士 優勝 5回
- (14)第72代横綱・稀勢の里 優勝 1回
- (15)第66代横綱・若乃花 優勝 0回
[5] 横綱在位時の優勝率
「横綱在位時の優勝率」は、「強い横綱」の指標として重視できると判断しました。結果は次の通りです。
なお、計算式は「横綱在位時の優勝回数」÷「横綱在位時の場所数」×100(%)
「横綱在位時の場所数」には、全休の場所も入っています。
各行頭( )内の数値は、本指標項の点数で、点数が低いほど「強い」と判断します。
- ( 1) 第68代横綱・朝青龍 54.8%
- ( 2) 第35代横綱・双葉山 52.9%
- ( 3) 第69代横綱・白 鵬 50.0%
- ( 3) 第48代横綱・大 鵬 50.0%
- ( 5) 第58代横綱・千代の富士 49.2%
- ( 6) 第55代横綱・北の湖 34.9%
- ( 7) 第65代横綱・貴乃花 30.6%
- ( 8) 第73代横綱・照ノ富士 28.6%
- ( 9) 第67代横綱・武蔵丸 25.9%
- (10)第54代横綱・輪 島 25.5%
- (11)第64代横綱・曙 16.7%
- (12)第70代横綱・日馬富士 16.1%
- (13)第71代横綱・鶴 竜 12.2%
- (14)第66代横綱・若乃花 10.0%
- (15)第72代横綱・稀勢の里 8.3%
「横綱在位時の優勝率」が50%前後ということは、2場所に1回は優勝するということです。
つまり、「横綱在位時の優勝率」が50%前後の朝青龍、双葉山、白鵬、大鵬、千代の富士は、めちゃくちゃ強かったと言えるのではないでしょうか。
[6] 横綱在位時の[優勝+準優勝]回数
「横綱在位時の[優勝+準優勝]回数」の指標は、横綱在位時の強さを「在位時の優勝回数」だけでなく「在位時の準優勝回数」と併せて判断しようとするものです。
準優勝するということは、終盤戦まで(恐らくは千秋楽まで)優勝争いをしたということになります。この回数が多いということは、優勝争いの頻度が高いということで、これをもって「強い横綱」の指標として重視できると判断しました。結果は次の通りです。
各行頭( )内の数値は、本指標項の点数で、点数が低いほど「強い」と判断します。
回数の右の率は、この回数を横綱在位の場所数で除した率です。
- ( 1) 第69代横綱・白 鵬 横綱在位時の優勝+準優勝 59回 70.2%
- ( 2) 第58代横綱・千代の富士 横綱在位時の優勝+準優勝 38回 64.4%
- ( 3) 第55代横綱・北の湖 横綱在位時の優勝+準優勝 37回 58.7%
- ( 3) 第48代横綱・大 鵬 横綱在位時の優勝+準優勝 37回 63.8%
- ( 5) 第68代横綱・朝青龍 横綱在位時の優勝+準優勝 29回 69.0%
- ( 6) 第65代横綱・貴乃花 横綱在位時の優勝+準優勝 27回 55.1%
- ( 7) 第64代横綱・曙 横綱在位時の優勝+準優勝 20回 41.7%
- ( 7) 第54代横綱・輪 島 横綱在位時の優勝+準優勝 20回 42.6%
- ( 9) 第67代横綱・武蔵丸 横綱在位時の優勝+準優勝 11回 40.7%
- ( 9) 第35代横綱・双葉山 横綱在位時の優勝+準優勝 11回 64.7%
- (11)第71代横綱・鶴 竜 横綱在位時の優勝+準優勝 9回 22.0%
- (11)第70代横綱・日馬富士 横綱在位時の優勝+準優勝 9回 29.0%
- (13)第73代横綱・照ノ富士 横綱在位時の優勝+準優勝 7回 33.3%
- (14)第66代横綱・若乃花 横綱在位時の優勝+準優勝 2回 18.2%
- (15)第72代横綱・稀勢の里 横綱在位時の優勝+準優勝 1回 33.3%
[7] 通算の優勝回数
「通算の優勝回数」(幕内優勝回数)は、地力の強さということで、「強い横綱」の指標として重視できると判断しました。結果は次の通りです。
各行頭( )内の数値は、本指標項の点数で、点数が低いほど「強い」と判断します。
- ( 1) 第69代横綱・白 鵬 通算優勝 45回
- ( 2) 第48代横綱・大 鵬 通算優勝 32回
- ( 3) 第58代横綱・千代の富士 通算優勝 31回
- ( 4) 第68代横綱・朝青龍 通算優勝 25回
- ( 5) 第55代横綱・北の湖 通算優勝 24回
- ( 6) 第65代横綱・貴乃花 通算優勝 22回
- ( 7) 第54代横綱・輪 島 通算優勝 14回
- ( 8) 第35代横綱・双葉山 通算優勝 12回
- ( 9) 第67代横綱・武蔵丸 通算優勝 12回
- (10)第64代横綱・曙 通算優勝 11回
- (11)第73代横綱・照ノ富士 通算優勝 10回
- (12)第73代横綱・照ノ富士 通算優勝 9回
- (13)第71代横綱・鶴 竜 通算優勝 6回
- (14)第66代横綱・若乃花 通算優勝 5回
- (15)第72代横綱・稀勢の里 通算優勝 2回
全項目まとめ一覧
以上、7項目をすべて一覧にした上で、「TOPIO値」で順位付けした表を提示します。
画像で示しますが、現在、「拡大表示して、かつ、横スライドできる」ように工夫している最中です。
とりあえず、載せます。
「強い横綱歴代ベスト10」コメント
以下、「強い横綱歴代ベスト10」を作成してみての感想といいますか、いろいろ思うところをアトランダムにリスト形式で書かせていただきます。
- 強い横綱とは、「長く横綱を務めるとともに、勝率が高く、高い確率で優勝争いをして、かつ、高頻度で優勝する横綱」であると認識しました。(①)
- 白鵬は、横綱に似つかわしくない言動や立ち会いのかち上げなどで、現役中には批判する向きが多かった。しかし、誰が何と言おうが、図抜けて強いことが改めて分かりました。
- ①の視点で「白鵬」をトレースすると、以下の通りで、飛び抜けて好成績。
- 横綱在位 84場所(ランキング1位・15横綱の比較)
- 横綱勝率 87.5%(ランキング2位・同)
- 横綱時優勝争い 59場所(ランキング1位・同)
- 優勝+準優勝回数
- 横綱時優勝率 50.0%(ランキング3位・同)
- 戦前・戦中に活躍した双葉山。横綱在位中の勝率が88.2%(ランキング1位・同)、優勝率が52.9%(ランキング2位・同)と凄まじい強さでした。
- 第74代横綱になった豊昇龍の叔父、朝青龍ですが優勝率が54.8%(ランキング1位・同)と双葉山を上回っています。総合の「TOPIO値」でもランキング5位。白鵬同様に言動に問題ありとされてきましたが、凄い横綱でした。
豊昇龍に期待すること
突然ですが「強い横綱歴代ベスト10」を作ってみて思うことでもうひとつ。それは、新横綱・豊昇龍への期待です。
一言でいうなら「強い横綱」になってほしい。当面は、叔父・朝青龍の記録超えを狙い、白鵬の戦績に少しでも近づく活躍を見せてほしい。
まとめ
この記事「強い横綱歴代ベスト10」を作ったのは、豊昇龍が横綱昇進したのがきっかけです。
豊昇龍の昇進についてはいろいろ言う向きもありますが、なってしまったからには(笑)、とにかく「強い横綱」になってほしい。そこで、ハタと考えたのです。
「強い横綱」ってどういう横綱をいうんだろうと。
心技体なので心の部分を重視される横綱ですが、まずは、勝って強さを見せることだろうということで、「長く勝ち続ける横綱」というイメージで7つの指標で「強い横綱歴代ベスト10」を考えました。
豊昇龍の次に横綱になる関取に対しても、やはり「強い横綱」を実現し続けてほしいと思っています。
少なくとも、1月場所の琴櫻や大の里、今のままでは、まだまだですね。それでも、横綱に昇進したら「強い横綱」で大相撲を引っ張っていってほしいですね。
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