以下、敬称等は略で進めていきます。
新海誠監督の作品は、現実離れした設定のなかでの少年少女の恋愛模様を描くものが多かったです。
今回紹介させていただく『言の葉の庭』は、普通に有り得る設定のなかの、少し背伸びをした少年の恋物語なんですが…。
なお、本記事は、筆者 taoが過去のブログ(閉鎖済)で書き下した記事をリメイクしたものです。
また、新海誠作品紹介としては、こちらもどうぞ。
『言の葉の庭』について
この作品は、dアニメストア、Hulu、U-NEXTなどで視聴できます。
それから、この作品のメディアミックス展開は、比較的おとなしめ。それでも、小説が2つ出ています。新海誠著『小説 言の葉の庭』、そして、加納新太著『言の葉の庭』です。
また、漫画版も出ています。
『言の葉の庭』ミニ情報♪
- 英語Title:The Garden of Words
- 監. 督 等:新海誠(脚本、原作、撮影、編集兼ねる)
- 制 作:川口典孝
- 出 演:入野自由、花澤香菜ほか
- 配 給:東宝映像事業部
- 公 開:2013年5月31日
- 時 間:46分
この作品では、またまた深海監督が、なんでもやっています。「自分の色を出す」のと「コラボで仕上げる」の狭間をいろいろ試行錯誤しているのでしょうか…。
また、注目すべきは、配給に大手〜東宝映像事業部が絡んできたことです。これって、今思えば『君の名は。』への伏線ですね。
『言の葉の庭』のキャスト
この物語の主な登場人物の声優、並びに役柄です。
- 秋月 孝雄(あきづき たかお)
- 声優:入野自由
- 高校一年生で、靴職人を目指しています。
- 雨の日は学校をサボって、公園で靴のデザインなどを考えています。
- 雪野 百香里(ゆきの あかり)
- 声優:花澤香菜
- 孝雄が雨の日に出遭う謎の女性。
- 朝からビールを飲んでいる…。
- 実は、孝雄が通う高校の古文の教師で、休職中だった。
驚くことに、この物語は、ほぼほぼ、この2人で展開されていきます。
『言の葉の庭』あらすじ
高校一年の孝雄。彼はすでに自分の進むべき道、将来を決めています。靴職人を目指しているのです。そして、雨の日には学校の1限目をサボって、近くの公園の屋根があるベンチで、靴のデザインをします。
孝雄はそこで、朝っぱらからビールを飲んでいる女性、雪のに出遭います。詳しいことは不明なのですが、孝雄から見ると、雪乃は10歳くらい年上。どうやら古典に詳しそう…。
そして、雨の日毎の2人の交友は続き、あるとき、雪野が孝雄に「靴作りの本」をプレゼント。その返礼に孝雄は雪野のために靴をつくると申し出て、雪野の足型を取ります。
しかし、梅雨があけると2人の出遭いの機会がなくなります。
そんなこんなで夏休みも明けて2学期が始まると、孝雄は学校で雪野とすれ違うのです。雪野は孝雄の高校の古文の教師で、生徒からのいじめがあり、退職に追い込まれてしまったのです。
そして、いろいろあって、孝雄は雨が降っていないのに、いつもの公園に足を向けます。当然、そこに雪野はいません。しかし、しばらく歩くと、池のほとりに雪野がいました。そして、2人は土砂降りにあって、2人で雪野のマンションに行きます。
雪野は今回の件で、地元四国に帰ることを決めていました。
『言の葉の庭』こぼれ話
新海誠監督の作品は、その前後の作品とかなり密接な関係があります。
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声優:入野 自由(いりの みゆ)
まず主人公の孝雄を演じた声優は、前作『星を追う子ども』でキーパーソンの1人、地下世界アガルタの青年シンを演じた入野自由です。しかも、彼は、『星を追う子ども』では、シンのあに、シュンも演じているのです。2001年公開『千と千尋の神隠し』では、ハクの声優も務めた方で、まだ30歳ですがベテラン声優です。
そのベテラン入野自由が、本作『言の葉の庭』でも主人公を務めています。
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声優:花澤香菜
本作『言の葉の庭』で、訳ありの古典教師役を務めた花澤香菜。彼女も29歳と若いですが、入野自由同様に引き手あまたのベテラン声優です。
で、そんな花澤香菜は、なんと古文教師・雪野役で『君の名は。』にも登場するのです♪
『言の葉の庭』でのゴチャゴチャがあって、一度、故郷の四国に戻ったものの、2013年には三葉(ミツハ)のいる岐阜県の高校に古文教師として勤務していたという次第。しかも、『君の名は。』のなかにおける超キーワード「かたわれどき」を説明するシーンを演じるのです。
これって、深海監督の遊びですね。
なんでも、新海誠監督によると、『君の名は。』以前の作品からファンだった人たちへのプレゼントとしてのキャラ&声優設定なんだそうです。『君の名は。』DVDの特典ブックレットにそう書いてありました♪
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深海監督の遊びと言えば、『君の名は。』に出てくる主人公・瀧(タキ)のバイト先のレストラン名。
これ「IL GIARDINO DELLE PAROLE」って言うんですが、これは『言の葉の庭』のイタリアタイトルのまんまなのです!
これに気づいた新海誠ファンは、狂喜乱舞だったでしょうね(笑)。
『言の葉の庭』サイト管理人の勝手な感想♪
高校1年、15歳くらいの男の子って、きっと、年上の女性に憧れるときがあるんですね。でも、それでゴチャゴチャになったら犯罪ですから、ふつーはプラトニックで少年にとって、儚い恋に終わるわけです。
それにしても、主人公・孝雄は若干15歳で自分の将来をしっかり決めている点は凄い子です。そんな芯がしっかりした子なので、雪野をいじめた者たちが許せず、負けると分かっても向かっていったのでしょうね。「それをせざるをえない」という若者特有のパワーを感じます。
一方、ヒロイン雪野のような、心の弱さは、きっと誰にでも少なからずあるのかもしれません。人間、そんなに強い人ばかりではないですから。
数行前に褒めまくった孝雄ですが、彼もまた、いろんなことで悩む少年であるわけです。
人は様々なことで思い悩みながら生きていく。それが人生なんですね。そして、その様は格好良くないかもしれません。失敗もたくさんあるかもしれません。でも、それでいいんです。そうやって、迷いながらも、一歩、一歩進んでいく。それが「自分らしい人生」なわけです。
『言の葉の庭』はそういうことを、2人の主人公を通して、私たちに教えてくれているのかもしれません。
まとめ
今回は、新海誠監督の劇場公開5作目、長さでいうと中編作品である『言の葉の庭』を紹介させていただきました。
一見、少年が大人の女性に恋した物語なのですが、見る私たちに訴えかけてくるものは、もっと、深いものがあります。
- 失敗したっていいじゃない。歩き続けよう。
そんな新海誠からのエールが聞こえてくるような気がしてなりません。
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