以下、敬称等は略で進めていきます。
新海誠監督作品について、『彼女と彼女の猫』から『すずめの戸締まり』までを紹介。予告動画も提示させていただきます。
全部の予告動画を見て新海誠監督作品全体を把握してから、個別作品を楽しむきっかけにしていただければと思います。
なお、本記事は、筆者 taoが過去のブログ(閉鎖済)で書き下した記事をリメイクしたものです。当時は、『君の名は。』までの記事でしたが、その後、公開された『天気の子』、『すずめの戸締まり』を、新たに付加しました。
はじめに、新海誠監督のプロフィールなど

新海誠監督の代表作と言えば、『君の名は。』
多くの方が『君の名は。』を見て、はじめて新海誠監督作品に触れたのではないでしょうか。そして、いったん新海誠ファンになってしまうと、他の作品も見たくなります♪
それでは、各作品紹介に入る前に、新海誠監督のミニ情報です。
- 本 名:新津 誠(にいつ まこと)
- 生まれ:1973年2月9日(52歳)
- 出 身:長野県南佐久郡小海町
- 学 歴:中央大学文学部卒(国文学専攻)
- 所 属:コミックス・ウェーブ・フィルム
- 家 族:
- 妻・三坂 知絵子(みさか ちえこ・女優)
- 娘・新津 ちせ(にいつ ちせ・女優)
- 実 家:ゼネコンの新津組
新海誠監督は、長野県佐久郡小海町で代々建設会社を営む家に生まれました。監督の父は株式会社新津組(ゼネコン)の3代目社長です。4代目を望まれて育ちました。
これを読んで多くの方は「なるほど!」と思うのではないでしょうか。なぜなら、『君の名は。』に登場する高校生・勅使河原克彦の境遇設定が、これと酷似しているからです。
『君の名は。』のなかでは、地元に根付いている家業のもとに生まれた子どもの大変さを、次の2人を通して語っています。
宮水 三葉(みやみず みつは)
- 岐阜県糸守町(架空の町です!)の高校生、物語のヒロイン。
- 宮水神社の神主をしている祖母・一葉から「神主を継ぐ運命」にある。
勅使河原 克彦(てしがわら かつひこ)
- 岐阜県糸守町の高校生で、三葉(ヒロイン)や瀧(主人公)の同級生。
- 町で土建業を営む父からその「家業を継ぐ運命」にある。
この「継ぐ運命」に思い悩む若者たちの苦悩が『君の名は。』の中で表現されています。
その「継ぐ運命」の実体験が監督自身にあったからこその描き方なのでしょう。『君の名は。』で表現されている登場キャラたちの悩みのリアルさは新海誠監督自身が源泉なのです。
それからもうひとつ。『君の名は。』には、次のことも強く込められていると感じています。
- 運命は自らの意思で変えることができる。
さらに、この強いメッセージの根底には、次のメッセージが込められています。そして、その根底メッセージは、最初の作品から潜在していたのです。。。
- あなたはきっと大丈夫だよ
新海誠監督作品一覧と簡単な解説です
2000年から直近までの新海誠監督・9作品の一覧です。
- 『彼女と彼女の猫』2000年自主制作
- 『ほしのこえ』2002年公開
- 『雲のむこう、約束の場所』2004年公開
- 『秒速5センチメートル』2007年公開
- 『星を追う子ども』2011年公開
- 『言の葉の庭』2013年公開
- 『君の名は。』2016年公開
- 『天気の子』2019年公開
- 『すずめの戸締まり』2022年公開
どの作品にも共通しているのは、「主要な男女のやりとりが物語の核になっている」ということです。
それでは、1つ1つの作品について、簡単な紹介をさせていただきます。
『彼女と彼女の猫』(2000年自主制作)

- 英語Title:Their sanding points
- 語 り:新海誠
- 時 間:5分弱
- 特 記:2000年、自主制作
同じタイトルっぽいものに、2016年にアニメ化された『彼女と彼女の猫 -Evertying Flows-』というのがあります。
坂本和也監督作品です。この『彼女と彼女の猫 -Evertying Flows-』の原作は新海誠ですが、新海誠自身の自主制作『彼女と彼女の猫』とは別作品です。
『彼女と彼女の猫』あらすじ
ある一人の独身女性に拾われたオスの白い猫(ボク)。この物語では「男女のやりとり」は、このボクと人間の女性です。
その独身女性を慕うボクのモノローグが展開されます。ボクの語りは新海誠監督自身が担当。
- その日、ボクは彼女に拾われた。だから、ボクは彼女の猫だ。
このボクの語りこそが、新海誠監督作品すべてのモチーフになっているのではないでしょうか。
5分弱のモノローグに耳を済ませると、まるでそれは「詩」のよう。その「詩」を、目に映る映像とリンクすることで、ひと言ひと言が心に染みていきます。
そして、最後の語り。
- ボクも…
- それからたぶん彼女も…
- この世界のことを好きなんだと思う。(2人語り…)
『彼女と彼女の猫』予告編
5分弱の短編だからなのか予告編は見当たりません。ここには載せませんが、「ようつべ」に本編があると思いますので、ぜひ、探してご覧いただければと思います。
ちなみに、筆者 taoは、『君の名は。』を除くと、この短編『彼女と彼女の猫』が一番好きです。メタファー(暗喩)満載の作品だからです。
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『彼女と彼女の猫』については、こちらの記事もどうぞ。

『ほしのこえ』(2002年公開)

- 英語Title:The voices of a distant star
- 公 開:2002年2月2日
- キャッチコピー:
- 私たちは、たぶん、宇宙と地上に引き裂かれる恋人の最初の世代だ。
- 小 説:『ほしのこえ』(大場惑著、ダ・ヴィンチ刊)
- 漫 画:『ほしのこえ』(佐原ミズ著、アフタヌーン刊)
- 監 督:新海誠
- 兼 務:原案・脚本・編集等を新海誠がほぼ1人で作業!
- 受 賞:
- 第1回新世紀東京国際アニメフェア21・公募部門優秀賞
- 第7回アニメーション神戸・パッケージ部門作品賞
- 第2回日本オタク対象・「トップをねらえ!」賞
- 第6回文化庁メディア芸術祭・アニメーション部門特別賞
- 第34回星雲賞・映画演劇部門/メディア部門
- デジタルコンテンツグランプリ2002・エンターテインメント部門映像デザイン賞
- 第8回AMD AWARD・BEST Director賞
『ほしのこえ』あらすじ
宇宙規模の超遠距離恋愛物語。惹かれ合う中学3年生の男女2人のその後を描きます。
1人は宇宙に旅立った少女・長峰美加子。そして、もう1人は、地球に残った少年・寺尾昇。2人は超長距離メールサービスでやりとりをするが、美香子が遠くにいけばいくほど、1つのメールが昇に届くまでに要する時間が膨大になります。
8年後の彼方に行ってしまった美香子が書いたメールは、9年後の昇にようやく届くのですが…。
『ほしのこえ』予告編
もうひとつの動画、『ほしのこえに関する新海誠監督インタビュー』です。
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『ほしのこえ』については、こちらの記事もどうぞ。

『雲のむこう、約束の場所』(2004年公開)

- 英語Title:The place promised in our early days
- 公 開:2004年11月20日
- 監 督 等:新海誠(原作、脚本、撮影、編集兼務)
- キャッチコピー:
- あの遠い日に、僕たちは、かなえられない約束をした。
- 小 説:『雲のむこう、約束の場所』(加納新太著、エンターブレイン刊)
- 受 賞:
- 東京国際アニメフェア2003、表現技術賞(パイロット版)
- カナダファンタジア映画祭、アニメーション映画部門銀賞
- 第36回星雲賞アート部門、受賞
- 第59回毎日映画コンクール、アニメーション映画賞
- 韓国SICAF2005、長編映画部門優秀賞
『雲のむこう、約束の場所』あらすじ
日本には、もう1つの戦後があった。そして、その「世界」では、日本は南北に分断されていた。
世界のなんと半分を制覇している共産国家群「ユニオン」は「エゾ」(北海道)を支配下において、島中央にとてつもなく高い塔を建造していた。
青森県敦賀半島に住む中学3年生の藤沢浩紀と白石拓也がその塔にあこがれ、飛行機で国境である津軽海峡を超えて、塔まで飛んでいこうと計画。しかし、その計画がひょんなことから、クラスメイトの沢渡佐由理にバレてしまい…。
『雲のむこう、約束の場所』予告編
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『雲のむこう、約束の場所』については、こちらの記事もどうぞ。

『秒速5センチメートル』(2007年公開)

- 英語Title:5 Centimeters Per Second
- 公 開:2007年3月3日
- 監 督 等:新海誠(原作、脚本、撮影、編集兼務)
- キャッチコピー:
- どれほどの速さで生きれば、きみにまた会えるのか。
- 小 説:『秒速5センチメートル』(新海誠著、角川文庫刊)
- 受 賞:
- アジア太平洋映画祭、アニメーション映画賞
- イタリアフューチャーフィルム映画祭、ランチア・ブラ地なグランプリ(最高賞)
『秒速5センチメートル』あらすじ
短編3話の連作構成。
第1作は『桜花抄』。
東京の小学校に通う遠野貴樹(とうの たかき)と篠原明里(しのはら あかり)の恋物語。明星は卒業を機に栃木に引っ越し。中学生になって離れ離れになってしまった2人だが、貴樹も中学1年の終わりごろ、種子島に引っ越しするが決まった。このままだと、さらに遠く離れてしまう。それを懸念した貴樹は、引っ越しの前に明星にあうことを決めたが…。
第2作は『コスモナウト』。
中学2年から種子島に引っ越した貴樹。そこで澄田花苗に出遭う。花苗はずっと貴樹が好きだったが告白する勇気がないまま卒業間際になって、いよいよ告白をしようと決意したが…。
第3作は『秒速5センチメートル』。
東京で社会人になった貴樹。仕事でも恋愛でも閉塞感。そんな貴樹には小学・中学時代の儚い恋心が巣食っていた。貴樹は10年以上、一人の女性を追いかけていたのだ。それが明星。そんな貴樹に奇跡が!?
『秒速5センチメートル』予告編
ここに直接YouTube動画貼り付けをする「動画再生できない」となりますので、次のリンクから飛んでください。

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『秒速5センチメートル』については、こちらの記事もどうぞ。

『星を追う子ども』(2011年公開)

- 英語Title:Children Who Chase Lost Voices
- 公 開:2011年5月7日
- 監 督 等:新海誠(原作、脚本、撮影、編集兼務)
- キャッチコピー:
- 少年は憧れ、少女は旅立つ。それは”さよなら”を言うための旅。
- 小 説:『星を追う子ども』(あきさかあさひ著、NF文庫J刊)
- 漫 画:『星を追うこども アガルタの少年』
- 受 賞:
- 第34回アヌシー国際アニメーション映画祭長編コンペティション部門ラインナップ選出
- 第8回中国国際動漫節「金猴賞」優秀賞受賞
『星を追う子ども』あらすじ
幼少で父を亡くし、母と二人暮らしの11歳の少女・明日菜(あすな)。
ある日突然、別世界の少年・シュンと出遭い、命を助けられます。しかし、彼が遺体となって発見され、それを受け入れることができない明日菜は、その別世界に踏み入れることに…。
『星を追う子ども』予告編
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『星を追う子ども』については、こちらの記事もどうぞ。

『言の葉の庭』(2013年公開)

- 英語Title:The Garden of Words
- 公 開:2013年5月31日
- 監 督 等:新海誠(原作、脚本、撮影、編集兼務)
- キャッチコピー:
- 愛よりも昔、孤悲(こい)のものがたり
- 小 説:『言の葉の庭』(新海誠著、KADOKAWA刊)
- 受 賞:
- シュトゥットガルト国際アニメーション映画祭の長編アニメーション部門
- カナダ・モントリオールファンタジア国際映画祭 今敏賞
- カナダ・モントリオールファンタジア国際映画祭 劇場アニメーション部門 観客賞
- 第18回アニメーション神戸賞 作品賞・劇場部門 受賞
- iTunes Store「iTunes Best of 2013″今年のベストアニメーション”」選出
『言の葉の庭』あらすじ
15歳の高校生、秋月孝雄は進むべき道を早々に決めています。それは靴職人。そして、雨の日の1限目は授業をサボって、近くの庭園で靴のデザインを考えるのが恒例となっています。
ある日、雨の提案を訪れると、いつものベンチに先客が。名前は後々判明するのだが、27歳の雪野百香里(ゆかり)。雨が凌げる庭園のベンチで朝から1人でビールを飲んでいました。しかも、おつまみはチョコレート。変わり者です。
大した会話はないものの、この2人は度々会うことになります。そして、ひょんなことから、孝雄は百香里の靴を造ろうと彼女の足を測ります。
後日、孝雄は百香里の正体を知ることとなり…。
『言の葉の庭』予告編
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『言の葉の庭』については、こちらの記事もどうぞ。

『君の名は。』(2016年公開)

- 英語Title:your name.
- 公 開:2016年8月26日
- 監 督 等:新海誠(原作、脚本、編集兼務)
- キャッチコピー:
- まだ会ったことのない君を、探している
- 小 説:『小説 君の名は。』(新海誠著、角川文庫刊)
- 受 賞:
- 第42回ロサンゼルス映画批評家協会賞、アニメ映画賞
- ほか、書ききれないほど多数の映画賞を受賞
『君の名は。』あらすじ
東京に住む高校生・立花瀧(タキ)と、岐阜県糸守町に住む高校生・宮水三葉(ミツハ)。2人は突然、身体と心が入れ替わってしまいます。
そして、その入れ替わりは、突然に終わる…。実は、それは単なる偶然の奇跡のような出来事ではなく、1200年前からの必然だったのです。
水星飛来の欠片が落ちて、500人の町民が亡くなってしまうという大惨事。その顛末は?
『君の名は。』予告編
『天気の子』(2019年公開)

- 英語Title:Weathering With You
- 公 開:2019年7月19日
- 監 督 等:新海誠(原作、脚本、編集兼務)
- キャッチコピー:
- これは、僕と彼女だけが知っている、世界の秘密についての物語
- 小 説:『小説 天気の子』(新海誠著、角川文庫刊)
- 受 賞:
- 第23回文化庁メディア芸術祭 アニメーション部門ソーシャル・インパクト賞
- 第37回ゴールデングロス賞 日本映画部門 最優秀・金賞
- 第43回日本アカデミー賞 最優秀アニメーション作品賞 ほか受賞多数
『天気の子』あらすじ
東京都の離島・神津島の実家から家出して都内にやって来た高校生・森嶋帆高(もりしま ほだか)。幸運にも、船上で出会った男の所で職と住まいを確保する。そして、仕事の一貫で「晴れ女」の能力を持つ少女・天野陽菜(あまの ひな)に出遭い、不可思議な出来事に巻き込まれる…。
『天気の子』予告編
『すずめの戸締まり』(2022年公開)

- 英語Title:Suzume
- 公 開:2022年11月11日
- 監 督 等:新海誠(原作、脚本兼務)
- キャッチコピー:
- 扉の向こうには、全ての時間があった。
- 小 説:『小説:すずめの戸締まり』(新海誠著、角川文庫刊)
- 受 賞:
- 第46回日本アカデミー賞 優秀アニメーション作品賞 ほか受賞多数
『すずめの戸締まり』あらすじ
『すずめの戸締まり』は、17歳の少女が日本を巡る不思議な冒険を描いた物語。九州の静かな町に住む主人公は、ある日、扉を探す謎めいた青年と出会います。
好奇心に駆られて青年の後を追った彼女は、山奥の廃墟で不思議な扉を発見します。その後、日本中で突如として扉が開き始める現象が起こります。
これらの扉は災いをもたらす可能性があるため、主人公は自ら「戸締まりの旅」に出ることを決意します。彼女は日本各地を巡りながら、開いてしまった扉を閉める使命を果たそうとします。
『すずめの戸締まり』予告編
まとめ
この記事では、『君の名は。』を含む新海誠監督9作品を紹介させていただきました。
ところで…
『君の名は。』については、公開中に4回、そして、Blu-ray発番後に数え切れないくらい何度も繰り返し見ました。
併せて、新海誠監督のすべての作品も何度も見ました。
そのうえで、ここに紹介させていただいた新海誠監督作品は、それも自身を持って視聴をお薦めできます。もし、気になる作品がありましたら、動画配信サービスなどでご覧になってください!
さて、『君の名は。』以前の6作品をよく見返すと、これらの6作品があって『君の名は。』につながったんだとよくわかります。
そして、『君の名は。』から『天気の子』『すずめの戸締まり』へと新海誠監督の想いは発展しています!
次の新海誠監督作品も楽しみです。
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