『殺人を無罪にする方法』(原題: How to Get Away with Murder)は、敏腕弁護士で大学教授のアナリーズ・キーティング(ヴィオラ・デイヴィス主演)と、彼女が選抜した5人の優秀な学生「キーティング5」が中心となり展開する、大ヒットリーガルサスペンスです。
本作は『グレイズ・アナトミー』や『スキャンダル』の製作陣が手掛けており、アメリカでの放送開始と同時に高視聴率を獲得しました。
特にシーズン1は、女子大生ライラ・スタンガードの殺人事件と、アナリーズの夫サム・キーティングの殺害事件という二つの複雑な事件が並行して描かれ、善悪を超越したヒロイン像とスリリングな展開で視聴者を惹きつけます。
法律を駆使して「無罪を勝ち取る」ことを教えるアナリーズと学生たちが、皮肉にも自分たちの殺人事件の隠蔽に奮闘する姿は、まさに一度観始めたら止まりません。
- シーズン1の主要な事件の全体あらすじと真相
- サム殺害事件とライラ殺害事件の真犯人と伏線、行動の裏側
- 主要登場人物(アナリーズ、ウェス、レベッカなど)が下した選択の理由と心理
ドラマ『殺人を無罪にする方法』については、こちらの記事もどうぞ。

動画解説&音声解説!
このドラマ面白いんだけど、なんか複雑。そんなあなたの頭を整理するための動画解説をつくりました。Notebook LMで作成。5分半ほどの動画です。ぜひ、ご覧ください!
また、より詳しい解説として、音声解説も作りました。なお、読み間違いがちょいちょいありますが、ご容赦ください。約16分とブチ長い解説ですが、ネタバレ満載の説明となっています!
シーズン1全体のあらすじを整理:複雑な事件の全貌
開始から終盤までの事件の流れを時系列で解説
シーズン1は全15話で構成され、物語は現在の時間軸と、未来のフラッシュフォワード(後に現在となる)が交互に描かれる独特な手法が用いられています。
- インターン選抜とライラ失踪:
- ロースクールの刑事法教授アナリーズ・キーティングは、「殺人を無罪にする方法」という実践的な授業を通じて、ウェス、コナー、ミカエラ、アッシャー、ローレルの5人をインターン「キーティング5」として採用します。この頃、ミドルトン大学の女子学生ライラ・スタンガードが行方不明になります。
- サム殺害事件のフラッシュフォワード:
- 物語の冒頭から、キーティング5のうちアッシャーを除く4人の学生(ウェス、コナー、ミカエラ、ローレル)が、血のついたトロフィーを凶器とし、死体(後にサムと判明)の処理に奔走する姿が断片的に描かれます。彼らは死体を森で焼き、ゴミ収集箱に捨てるという隠蔽工作を行います。
- サム殺害(第9話):
- アナリーズの夫サム・キーティングが、ライラの件でアナリーズと激しく口論し、家を出ていったアナリーズと入れ替わる形で事務所に残されます。そこに、ライラ殺害容疑者であるウェスの隣人レベッカがサムのPCから証拠を盗むため侵入します。サムがレベッカを襲い、首を絞めたため、レベッカを救おうとしたウェスがとっさにトロフィーでサムを殴り、殺害してしまいます。
- アナリーズの隠蔽:
- サムの死を知ったアナリーズは、ウェスに死体処理を指示し、警察にサムがライラ殺害の罪から逃れるために失踪したかのように偽証します。そして、サムの遺体の一部が発見され、ネイト・レイヒ(アナリーズの愛人である刑事)がサム殺人の容疑で逮捕されます。
- 真犯人の発覚と新たなクリフハンガー:
- シーズン1の終盤、ライラがサムの子を妊娠しており、サムが助手のフランクに依頼してライラを殺害させていたことが判明します。サム殺害の件を警察に通報すると脅したレベッカは、アナリーズの地下室に監禁されます。しかし、最終話のラストでレベッカは何者かに殺害されているのが見つかり、アナリーズとフランクが互いを疑う中、シーズン1は幕を閉じます。
各話の重要ポイントと展開を簡潔にまとめ
シーズン1の各エピソードでは、一話完結型の法廷ドラマと並行して、ライラ事件とサム事件の真相が少しずつ明らかになります。
| エピソード | 重要な展開とポイント |
|---|---|
| 第1話 「無敗の弁護士」 | キーティング5が選抜され、ライラ・スタンガード失踪。フラッシュフォワードで、4人の学生が血まみれのトロフィーと死体(サム)を前にパニックになる様子が描かれます。 |
| 第4話 「証言録取」 | ライラの携帯電話からサムの陰部の写真が発見され、サムがライラの不倫相手であることが強く示唆されます。 |
| 第9話 「死の真相」 | サム殺害事件の全貌がフラッシュバックで描かれます。ミカエラが突き落とし、ウェスがトロフィーで撲殺したことが判明。ウェスが凶器を取りに戻った際、アナリーズが全てを知っていたことが判明します。 |
| 第12話 「捜索令状」 | ゴミ収集所からサムの遺体の一部が発見され、警察はアナリーズの指示によりネイト・レイヒを容疑者として逮捕します。 |
| 第15話 「真犯人」 | ライラ殺害の真犯人がフランクであることが判明。しかし、サム殺害の秘密を握るレベッカが何者かに殺害され、新たな謎が生まれます。 |
アナリーズと5人の学生たちの関係性の変化
アナリーズはミドルトン大学のカリスマ教授であり、負け知らずの敏腕弁護士として、学生たちに容赦なく「殺人を無罪にする方法」を教えます。
当初、学生たちは成績や最優秀者に贈られるトロフィー獲得のために激しく競争する関係でした。しかし、サム殺害事件が発生し、ウェス、コナー、ミカエラ、ローレルの4人が殺人(共謀)という重大な罪を共有したことで、彼らはアナリーズによる「隠蔽と共謀」という名の支配下に置かれ、強く結びつくことになります。
特にウェスは補欠合格ながらアナリーズにひいきされており、サム殺害の実行犯となった後も、アナリーズは彼に対して「サムがライラを殺した」と言い聞かせ、罪の意識から守ろうとする母親のような役割を果たしました。この関係性は、ウェスがアナリーズの不倫を目撃していたことや、アナリーズが過去にウェスの生母の死に関わっていたという背景からくる複雑なものです。
『殺人を無罪にする方法』シーズン1の真相とは
誰が殺した?サム殺害の全経緯を詳細に
アナリーズの夫サム・キーティングは、キーティング邸でウェス・ギビンズに撲殺されました。
サム殺害に至る経緯は以下の通りです。
- アナリーズの家を訪れたミカエラがサムと出くわし、同時にレベッカがサムのPCを盗むため侵入していました。
- サムがレベッカを追い、USBを奪おうともみ合いになった際、ローレルを助けようとしたミカエラがサムを階下に突き落とします。
- サムは一旦倒れますが意識を回復し、レベッカの首を絞め始めました。
- この危機的な状況を見て、レベッカを救うためにウェスがとっさにトロフィーでサムを殴り、殺害しました。
なぜ殺したのか?動機と行動の裏側
- ウェスの動機:
- ウェスがサムを撲殺した直接的な動機は、サムから隣人レベッカを守るための衝動的な行動でした。
- ライラ殺害の動機:
- ライラ・スタンガードを殺害したフランク・デルフィノは、サムの依頼を受けて実行しました。サムは教え子であるライラを妊娠させており、その事実がアナリーズや周囲に露呈するのを恐れていました。サムは過去の「貸し」を使ってフランクに殺害と死体の隠蔽を命じました。
- アナリーズの隠蔽動機:
- アナリーズはサムの死体を見た後、学生たちが殺人を犯したという事実を隠蔽するため、そして自身の不倫関係(ネイト)や、夫婦間の問題(ライラの妊娠)が明るみに出ることを避けるため、ネイトに罪を着せるという道を選びました。
シーズン1の最大の伏線とその回収まとめ
シーズン1は、過去のライラ殺害事件(縦軸)と、現在進行形のサム殺害・隠蔽事件(横軸)という二重のミステリーで展開しました。
- ライラ殺害の真犯人:
- ライラはグリフィンの恋人であると思われていましたが、実はアナリーズの夫サムの愛人であり、妊娠を理由にサムの指示を受けたフランクによって殺害されたという真相が最終話で回収されました。
- レベッカ殺害の新たな伏線:
- ライラ殺害の真相を知り、サム殺害の秘密を共有していたレベッカは、シーズン1最終話で何者かに殺害されて発見されます。この殺害の事実はアナリーズとフランクのみが知り、二人は互いを疑い、真犯人はシーズン2へのクリフハンガーとして残されました。
主要キャラの行動理由と心理:なぜ彼らは選択したのか
アナリーズの本心と嘘、ウェスとの関係
アナリーズは、法廷では冷酷非道な辣腕ぶりを発揮しますが、私生活では夫サムとの関係に悩み、刑事ネイトと不倫していました。
- 本心:
- サムがライラの死に関与している疑いを持ち、ネイトに調査を依頼していました。サム殺害後、彼女は混乱する学生たち(特にウェス)に対し、冷静に隠蔽を指示し、彼らを庇護下に置きました。彼女がネイトを犯人に仕立て上げたのは、学生たち(特にウェス)の未来と、自分自身のキャリアと秘密を守るための「合理的な」選択でした。
- ウェスとの関係:
- アナリーズはウェスの生母ローズの死に関わっており、過去の責任と罪悪感からウェスに特別に優しく接していました。ウェスがサムを殺した際、罪悪感に苛まれる彼を助けるために「サムがライラを殺したから、それは本当のことだから」と彼を安心させようとしました。
レベッカの真意と最後の結末
レベッカ・サッターは、ウェスの隣人であり、ライラの友人でした。彼女はドラッグの売人という怪しい過去を持ち、ライラ殺害の容疑者としてアナリーズの事務所で弁護されることになります。
- 真意:
- レベッカはライラを殺していませんでしたが、ライラの不倫相手がサムであることを知っていました。彼女は自分の容疑を晴らすため、サムのPCからライラ事件の証拠を盗もうとしてサム殺害事件に巻き込まれました。また、彼女はかつて自分の隣人に薬物を使用し、精神を崩壊させて逮捕させていたという「悪さ」もしていました。
- 最後の結末:
- レベッカはサム殺害の秘密を警察に漏らす可能性があったため、キーティング5によって地下室に監禁されていましたが、最終話で絞殺されていました。この殺人犯が誰なのかは、S1の最大の謎として残りますが、その死を知るのはアナリーズとフランクの二人だけでした。レベッカが監禁される直前に送った「EGGS 911」というテキストは、誰へのメッセージなのか、視聴者の間に大きな疑問を残しました。
他の学生たちはなぜ黙っていたのか?
サム殺害に直接的・間接的に関与した4人の学生(コナー、ミカエラ、ローレル、ウェス)は、アナリーズの隠蔽工作に協力しました。
- 恐怖と自己防衛:
- 彼らはエリート街道を歩む学生であり、殺人事件の当事者となったことで逮捕や破滅への恐怖に駆られました。特にコナーはナルシストで脆い面があり、ミカエラは上昇志向が強いがゆえに情緒不安定になりました。
- アナリーズの策略:
- アナリーズは彼らに「常に守る」と誓い、サム殺害の罪をネイトに擦り付けることで、彼らの罪を「無罪にする方法」を実践的に示しました。その強引な手腕は彼らにとって、沈黙しアナリーズの庇護下に入るのが最も合理的であると認識させました。
- ローレルの冷静さ:
- ローレルは他の学生がパニックになる中で、冷静さを保つタイプでした。彼女は、ミカエラの婚約指輪(アリバイが崩れる可能性のある物証)を隠し持ち、警察に行くことを諦めさせるなど、集団の隠蔽成功のために合理的な行動を取りました。
ドラマ『殺人を無罪にする方法』シーズン1に関するFAQ
- Q1: 『殺人を無罪にする方法』の原題と、その意味は何ですか?
- A1: 原題は How to Get Away with Murder です。これは「好き勝手する、悪事を咎められずに逃げ延びる、悪いことをしても罰せられない」という意味の言い回しです。
- Q2: アナリーズ・キーティング役の女優は誰ですか?
- A2: 主演はヴィオラ・デイヴィスです。彼女はこの役で2015年に黒人女性として初めてプライムタイム・エミー賞主演女優賞ドラマ部門を受賞しました。
- Q3: シーズン1は何話で構成され、いつ放送されましたか?
- A3: シーズン1は全15話で構成されています。アメリカでは2014年9月25日に始まり、2015年2月26日に終了しました。
- Q4: キーティング5のメンバーで、サム殺害の現場にいなかったのは誰ですか?
- A4: アッシャー・ミルストーンです。彼はサムの死体処理にも関わっていません。
- Q5: ライラ・スタンガードはどのように殺害されましたか?
- A5: ライラはアナリーズの助手のフランク・デルフィノによって首を絞められ、女子寮の貯水槽に投げ込まれました。
- Q6: ウェス・ギビンズ役の俳優は誰ですか?
- A6: アルフレッド・イーノックです。彼は映画『ハリー・ポッター』シリーズでディーン・トーマス役を演じていました。
- Q7: アナリーズの弁護士事務所のスタッフ、フランクとボニーはアナリーズとどのような関係ですか?
- A7: フランクはアナリーズに過去の恩義があり「汚れ仕事担当」を請け負うスタッフであり、ボニーはアソシエイト弁護士でありながら、アナリーズの夫サムに好意を寄せていました。
- Q8: シーズン1で、レベッカが最後に送った謎のテキスト「EGGS 911」は何を意味していますか?
- A8: レベッカは監禁される直前に「EGGS 911. Lawyer’s House」と未知の番号にテキストを送り、助けを求めようとしましたが、その意味や相手はシーズン1終了時点では謎のまま残されました。
- Q9: シーズン1の初回放送時、視聴率はどうでしたか?
- A9: プレミア(第1話)は、ライブ放送で1400万人以上が視聴し、DVR再生視聴者数では600万人という当時の記録を樹立しました。
- Q10: なぜアナリーズは自分の愛人であるネイトにサム殺しの罪を擦り付けたのですか?
- A10: アナリーズは学生たち(キーティング5)の犯した殺人を隠蔽し、彼らを守るために、ネイトを犯人として逮捕させるという冷酷な策略を実行しました。
- Q11: シーズン1のDVDにはどのような特典が含まれていますか?
- A11: シーズン1のDVDには、本編15エピソードのほかに、「First Year Law: Behind the Scenes」、「”Bye Felicia” Music Video」、「Deleted Scenes」、「Bloopers」が収録されています。
まとめ
- シーズン1ではライラ殺害事件とサム殺害事件の二つの隠蔽工作が描かれました。
- ライラを殺害したのはフランク、サムを撲殺したのはウェスでした。
- アナリーズは学生たちを守るため、不倫相手のネイトに罪を着せ、隠蔽を指揮しました。
- 最終話でレベッカが殺害され、真犯人はS1では不明のまま終わります。
『殺人を無罪にする方法』シーズン1は、リーガルサスペンスという枠を超え、善悪の境界線が曖昧な世界を描ききった衝撃作でした。アナリーズ・キーティング教授と学生たちとの間に生まれた、殺人という共通の罪による共謀と隠蔽の構図は、物語を爆発的に加速させました。
最終話では、長きにわたり描かれてきたライラ殺害事件の真犯人がフランクだと判明し、大きな謎が回収されます。しかし、その直後にレベッカが殺害されるという、さらなる謎を残し、視聴者を惹きつける見事なクリフハンガーで終了しました。主演ヴィオラ・デイヴィスの圧倒的な演技力は、本作が高く評価された大きな要因の一つです。


コメント