『天久鷹央の推理カルテ 完全版』（知念実希人著）〜解説とあらすじ

以下、敬称略で進めます。



小説家であり医師でもある知念実希人（ちねん みきと）。

この記事は、知念実希人の小説『天久鷹央（あめく たかお）シリーズ』についての紹介記事です。

第一弾となる今回は、シリーズ第１作芽の『天久鷹央の推理カルテ　完全版』。

なお、小説の表紙画像をご覧いただくために、アフィリエイトを使っています。もちろん、購入しなくてOKですからね。

それでもリンクを使えば、さらに細かい情報を検索できるので、必要に応じて活用してください。

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なお、『天久鷹央シリーズ』については、こちらの記事もどうぞ。
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知念実希人著『天久鷹央シリーズ』について、順番など

『天久鷹央シリーズ』全体の順番などについての説明ですが、私 taoが別記事で書いた記事から引用します。

2024年5月6日現在、『天久鷹央シリーズ』は既刊16巻で、累計発行部数は280万部（2024年4月現在）を突破。

『天久鷹央シリーズ』は、当初、新潮文庫nexとして2014年10月1日に第1巻が発刊されました。2023年9月1日までに計13巻が発刊。

その後、実業之日本社文庫として、完全版が発刊されます。

完全版というのは、新潮文庫nex版に、実業之日本社文庫用の『書き下ろし掌編』が加えられたもの。

この実業之日本社文庫版は、2023年10月15日の発刊にはじまり、2024年4月15日までに計16巻が発刊されています。

つまり、「新潮文庫nex版に書き下ろし掌編が加えられた完全版」13巻に加え、「実業之日本社文庫版で新たに発刊した」3巻を加えた計16巻が、現状における『天久鷹央シリーズ』の全てとなります。

おすすめの読む順番としては…

新潮文庫nexの発刊順に完全版を読んで、次に、実業之日本社文庫で新たに書き起こされた新版3冊を読めば良いのではと考えます。

そして、それは次の一覧に付番した順番です。

引用元：知念実希人著『天久鷹央シリーズ』全16巻の読む順番、作品一覧と紹介

なお、下記の表は、横スクロールできます。

『天久鷹央の推理カルテ　完全版』〜解説とあらすじ

さて、まずは、『天久鷹央の推理カルテ　完全版』の解説とあらすじ紹介の前に、シリーズ全体を通しての主な登場人物の紹介から。

これも、私 taoが別記事で書いた記事から引用します。

【シリーズ通しての主な登場人物】

• 天久 鷹央（あめく たかお）♀
  • 物語の主人公。一族が経営している天医会総合病院の副医院長兼統括診断部部長。理事長の次女。医学部最難関と言われている帝都大学医学部医学科卒業。高校生や中学生に間違えられることがあるほど小柄で童顔だが、シリーズ開始時、27歳と若い。
  • アスペルガー症候群のため超人的な記憶力・計算力・知能を持ち合わせている。その能力で、院内各科で「診断困難」とされた診断に適正な診断を提示している。それが統括診断部。実は、アスペルガーな娘の活躍を気遣った実父である理事長が、鷹央のために設置した部でもある。とは言え・・・天久鷹央だからこそ可能な部だとも言える。
  • 実は、天久鷹央は適正診断をくだせるだけでなく、天久鷹央の周りで次々に起こる（？）怪奇現象や難事件をも適正判断を下して解決しまくっているのです！
  • ところで、天久鷹央は人間関係に超鈍感かつ気遣いができず、そして、怖い者しらずである。そんな鷹央だが、唯一の天敵が存在する。それは実姉で病院事務長でもある天久真鶴（あめくまずる）。彼女の前では、鷹央は「借りてきた猫状態」になってしまう。
  • ちなみに、天久鷹央には兄・天久翼（凄腕精神科医）も居るが、反りが合わず、断絶状態。
• 小鳥遊 優（たかなし ゆう）♂
  • 「小鳥が遊ぶ」と書いて「たかなし」と読む。シリーズの語り手。　統括診断部所属の内科医見習い。統括診断部赴任時 29歳。天久鷹央からは「小鳥（ことり）」と呼ばれている。天久鷹央の実質的な下僕。
  • 天久鷹央はその性格から周りとの意思疎通がうまくいかないことが多々ある。「小鳥」の大きな役割のひとつは、彼ら彼女らと天久鷹央の間を取り持つこと。
  • もともとは純正会医科大学附属病院の外科医局に5年間務めていた、そこそこ優秀な外科医（だった）。思うところあり内科に転向。そして、研修のために天医会総合病院に派遣となり、天久鷹央の下僕となり今に至る（笑）。
  • 大学時代は体育会系空手部所属。それなりに強い。
• 鴻ノ池 舞（こうのいけ まい）♀
  • 天医会総合病院研修医。凄腕診断医の天久鷹央を憧れ・尊敬している。そして、何を勘違いしたのか、天久鷹央と「小鳥」の仲をくっつけようと画策している。
  • 愛車は大型バイクだが、「小鳥」のせいで廃車に・・・。
  • 合気道が得意で、事件の被疑者を取り押さえたりと意外な活躍ぶりをする。
  • 猪突猛進的なところがあり、そんなんじゃそのうち大変なことになるんじゃないかと思っていたら・・・。
• 天久 真鶴（あめく まづる）♀
  • 天医会総合病院事務長。天久鷹央の実姉だが、鷹央唯一の天敵でもある。しかし、真鶴と鷹央の仲は決して悪いわけではない。というか妹想いの姉である。
  • 既婚者だが、仕事上は旧姓「天久」を名乗っている。
• 墨田 淳子（すみだ じゅんこ）♀
  • 天医会総合病院精神科部長。独身中年で、天敵は天久鷹央。ただし、鷹央の診断医としての実力は認めている。一方の鷹央は、墨田のことを何とも思っていないが・・・。
  • 黒田と鷹央の間を取り持つのは、もちろん「小鳥」である。
• 桜井 公康（さくらい きみやす）♂
  • 警視庁捜査一課刑事、階級は警部補。刑事コロンボの大ファンで、彼の格好を真似ている。天久鷹央の推理力を認めており、事件の際、しばしば鷹央と協力関係で進めたりする。実は、桜井は、鷹央と断絶している実兄・天久翼とも、つながりを持っている。

引用元：知念実希人著『天久鷹央シリーズ』全16巻の読む順番、作品一覧と紹介

解説とあらすじ

『天久鷹央の推理カルテ 完全版』は、知念実希人による「天久鷹央シリーズ」の第一作目。

『天才医師・天久鷹央（あめくたかお）が、卓越した技術と洞察力で、難しい病例診断をくだしたり、怪奇現象や複雑な難事件を解決する物語展開のプロトタイプ』が凝縮した一冊でもあります。

解　　説：

天久鷹央と書いて「あめく たかお」と読む。男のような名前だが、一見中学生にも間違われるような華奢で小さな女医。年齢は27歳。

医者で27歳と言えば、一般的には、研修医をようやく終えて、一人前の医者としてスタートし始めた頃となる。しかし、天久鷹央は、東京都東久留米市の地域医療を担う総合病院の副院長。そして、統括診断部の部長も兼ねている。ただし、統括診断部のメンバーは彼女１人だ。

実はこの総合病院、彼女の祖父が前身となる個人病院を開院した。それを実父が継いで、個人病院を総合病院にしたという経緯がある。実父は現在、院長を退き、いまは理事長となっている。そんなこんなで、天久鷹央は27歳という若さにも関わらず、総合病院の副院長兼部長であるわけだ。ちなみに、院長は天久鷹央の叔父がやっている。

さて、27歳で副院長兼部長ということだが、それは親の七光りではない。

天久鷹央はアスペルガー症候群で、超人的な記憶力・計算力・知識・知能の持ち主。院内各科で「診断困難」とされた病例に的確な診断を下し続けている。正しい診断を下すこと、それは患者の為にはなっている。一方、院内各科の部長たちにしてみれば、自分たちが下した診断を否定されることも度々あり、面白いはずがない。おまけに、アスペルガー的な娘は、年上の部長医師や先輩医師に敬語では話さない。天才が故のぞんざいなしゃべり方をする。それは患者に対しても同じ。そういう点ではぶれない（笑）。結果、副院長であるが、同僚の医者や患者たちとの軋轢はしょっちゅう生じている。

そんなこともあり、娘の天才性を見極めた実父である理事長が、「統括診断部」を新設し、天久鷹央をその部長にしたという経緯がある。10階建ての病院の10階に「統括診断部」を置き、総合病院としての日常的な診療とは隔絶させたのだ。まれに、院内各科から難しい症例の診断要請があれば、天久鷹央が診断をするという流れを作った。しかし…

彼女は、院内各科の診断を適宜閲覧し、その間違いを辛辣に指摘する。そんなことだから、同僚たちとうまくいくはずがない。さらに、親馬鹿の理事長は、10階建ての病院の屋上に天久鷹央の住まいを作ってしまった。天久鷹央は、この住まいを拠点に、勝手な診断のし放題、研究のし放題という状況である。

そんなトンデモ状況のなか、提携している大学病院から「外科医から内科医に転向した青年」が研修目的で派遣されてきた。その派遣先が天久鷹央の統括診断部だった。実は、天久鷹央の力量は業界でもそこそこ知られており、大学病院としてみれば、転向青年を彼女に任せれば育つだろうと考えたのだ。

その青年の赴任をもって、統括診断部のメンバーは２人所帯となった。その青年の名前は「小鳥が遊ぶ」と書いて「小鳥遊（たかなし）」という。天久鷹央の2歳年上の青年を、彼女は「小鳥、小鳥」とあだ名を付けて呼び捨てにして、たちまち下僕としてしまった（笑）。

ところで、天久鷹央には独特な力というか性癖がある。それは、警察が関わるような事件を身近に呼び寄せてしまうということ。まるで「事件ホイホイ」だが、彼女は難しい病例の診断に燃える以上に、事件の謎解きに没頭してしまう。謎を前にすると、それが症例であろうが、怪奇事象であろうが、警察が関わる難事件であろうが、謎解きをしたいという衝動を抑えきれない。そして、その謎解きに小鳥を巻き込む。下僕の小鳥は、それを拒否できない…。

【謎解きのお品書き】

• カルテ01　泡
• カルテ02　人魂の原料
• カルテ03　不可視の胎児
• カルテ04　オーダーメイドの毒薬
• 書き下ろし掌編　蜜柑と真鶴

カルテ01　泡

天久鷹央は、母親に連れられて現れた小学生男児を診断した。そのとき、その男児の発言に、鷹央は興味を持った。

彼は友達数人と夜間の久留米池公園で肝試しをした。その歳、カッパを目撃したというのだ。

天久鷹央は、その怪奇現象に惹かれ、その謎を解きたいという衝動に駆られた。そして、小鳥を巻き込む。果たして、カッパの正体は？

カルテ02　人魂の原料

小児病棟の看護師から相談を受けた天久鷹央。その看護師がいうには、夜間の小児病棟で人魂が現れるというのだ。

そんな馬鹿げた話は一笑に付すのがフツーの医者だが、天久鷹央はフツーではない（笑）。

人魂の謎解きの衝動を抑えきれない天久鷹央は…。もちろん、小鳥は巻き込まれる。

カルテ03　不可視の胎児

統括診断部は、院内他科が診断を下せない難しい病例を扱うだけではない。実は、まれに居るクレーマーのような患者を統括診断部に押しつけてくるケースもある。

天久鷹央は、ある母親と対峙していた。彼女曰く「高校生の娘が妊娠し、この病院で中絶させたが、娘はいまも妊娠している」というのだ。

天久鷹央はあらゆる可能性を検討しながら、この症例への興味を強くしていく…。

カルテ04　オーダーメイドの毒薬

カルテ01の男児だが、彼の母親から、総合病院とそして診断を下した天久鷹央を訴訟を起こされた。

男児は、今も同病院の小児科病棟に入院しているが、病状は良くなるどころか悪化の傾向にある。それはすべて天久鷹央の診断のせいだ,,,というのが訴状の内容。

天久鷹央と小鳥は小児病棟に向かう。そこには、現在、小児科で研修中の研修医・鴻ノ池舞がいた。

天久鷹央は鴻ノ池舞に男児の症状を問う。

鴻ノ池舞がいうには「彼はこの小児病棟で一番の問題少年なんですよ。普段は元気なんですけど、数日に１度くらいの割合で、急におかしな症状が出るんです。半日ぐらいひどい酷いめまいに襲われて、何度も嘔吐を繰り返して、まともに歩くこともできなくなります。酷いと意識状態まで悪くなることがあって…」

天久鷹央は、男児の病の謎解きに集中する…。

書き下ろし掌編　蜜柑と真鶴

天久真鶴「蜜柑狩りをしてもらいます！」
天久鷹央「いやです！」

他人に対しては傍若無人に振る舞う天久鷹央だが、そんな彼女にも天敵がいる。それが姉の天久真鶴（まずる）だ。

小児病棟では入院している子供たちのために、病院敷地にある蜜柑の木から蜜柑を収穫して、子供たちに振る舞うのが恒例行事になっている。それを事務長の姉・真鶴が妹・鷹央に命令している。

いつもは小児病棟のほうでやる作業だが、あの男児の問題でいま小児病棟はてんやわんやだという。だから、時間的余裕もあり、かつ、あの男児問題に関係している鷹央に真鶴は命じたのだ…。

電子書籍（Kindle）と聴く読書（audible）のすすめ

知念実希人氏の『天久鷹央シリーズ』について、違う角度からのおすすめ。

筆者 taoは、いつでもどこでも手軽に読める・聴けるという点で、電子書籍版と聴く読書版を強くおすすめします。

今回紹介した本、３つの電子書籍版の価格については、調べて掲載してあります。それは…

「AmazonのKindle」、「楽天のKobo」、そして「ebookjapan」。

このなかで、全16巻の品揃えがあって、かつ、リアルな紙の本の価格より、全巻安いのは

「AmazonのKindle」だけ。

なので、『天久鷹央シリーズ』を電子書籍で読むのなら、断然、「AmazonのKindle」一択です。

ただし、1冊800円前後なので、16巻全部買うとなると、12,000円以上となります。これはちょっと…。

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次に聴く読書、いくつかありますが、超オススメは、「Amazonのaudible」。

『天久鷹央シリーズ』は、audibleに全16巻品揃え有りです。

なお、audible版は、単体で購入すると、だいたい1巻あたり2400円くらい。

なので、これ16巻分を単体購入すると、40,000円近くになります。

これが、audibleの月額1,500円のサブスクに加入すれば、一ヶ月で16巻全部聴いても、1,500円ぽっきり。

めっちゃお得でしょ。

実は、筆者 taoは、昔からのaudible会員。

『天久鷹央シリーズ』は、全16巻、audibleで聴きました！

そして、あまりにおもしろすぎるので、時々、聞き直して楽しんでます。

まとめ

この記事では、知念実希人著『天久鷹央シリーズ』のなかからシリーズ第１作目となる『天久鷹央の推理カルテ　完全版』の解説とあらすじなどを紹介させていただきました。

このシリーズ、おそらく、読み始めたら＆聴き始めたら、全巻読み終えるまで&全巻聴き終えるまで、止まらないでしょう。

つまり、このシリーズ、中毒性があるのです。

だから、手を出すのは気をつけてくださいね、覚悟が必要です・笑。

そして、個人的には圧倒的にコストパフォーマンスの良い、Amazonのaudibleで聴くことがオススメ。

それでは、天久鷹央や小鳥たちと楽しい時間をお過ごしください。