【2025年政局】高市新総裁への造反と自公連立解消〜「金属疲労」に瀕する自民党の危機

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2025年10月4日、自民党に高市早苗新総裁が誕生しました。しかし、そのわずか6日後の10月10日、連立パートナーである公明党が一方的に離脱を宣言。

これを引き金に、自民党内部からは「高市降ろし」とも取れる公然とした造反の動きが噴出しています。森山前幹事長、船田元氏、野田聖子氏、さらには菅元総理といったいわゆるベテラン議員・重鎮たちからも、新総裁の方針に異を唱える声・行動があると聞こえてきます。

長年の連立政権という構造の中で、自民党には目に見えない「歪み」が蓄積していたのかもしれません。それはまるで、繰り返し応力がかかり、内部に微細な亀裂が進行していく「金属疲労」のようです。

そして今、公明党の離脱という外部からの衝撃によって、その亀裂は一気に表面化し、党が分断しかねない危険な状態に至っています。首班指名選挙を目前に控え、自民党はまさに分党の危機に瀕していると言えるでしょう。

この記事では、この未曾有の政局を「金属疲労」という観点から分析し、自民党再生の道を考えます。

この記事でわかること
  • なぜ自民党内でこれほど大規模な造反の動きが起きているのか
  • 高市新総裁は無事に首班指名を受け、総理大臣になれるのか
  • 「金属疲労」を起こした自民党は、分裂してしまうのか

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目次

第1章:突然の自公連立解消-造反行為の引き金となった公明党の「無理難題」の深層?

高市新総裁の誕生を祝福する雰囲気も束の間、政界に激震が走りました。10月10日の公明党からの連立離脱宣言です。

その理由として挙げられたのは政治資金規正についての折り合いがつかないというものでしたが、その真意はどこにあるのでしょうか。世間では斉藤公明党代表の発言や以前の言動などから、離脱の理由は「それ」ではないと分析されています。

公明党は総裁選の段階から、高市氏の安全保障政策や経済政策に対して慎重な姿勢を示していました。

しかし、今回の離脱宣言のタイミングと内容は、明らかに「高市総理の誕生を阻止する」という強い意志の表れと見るのが自然でしょう。詳細内容は不明ですが、離脱宣言前に森山前幹事長と斉藤代表が接触したとの報道もあります。いろいろと邪推してしまいます。結果、自公連立解消は、自民党内の反・高市勢力に「大義名分」を与える結果となりました。

「公明党との連立なくして選挙は戦えない」「国民の分断を招く政権は支持できない」といった声が、これまで沈黙していた議員たちから公然と上がり始めたのです。これは、連立という「箍(たが)」が外れたことで、党内の亀裂が一気に拡大したことを示しています。

言い換えると、自公連立解消という事態が、「高市新総理阻止」に確固たる理由付けをしたというわけです。

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第2章:「金属疲労」の正体-総裁選以前から始まっていた党内亀裂

今回の「公明党からの自公連立離脱宣言」の責任は、高市新総裁にのみ責任があるのでしょうか。

その後のプロセスを観察・分析すると、造反行為らしきものを展開している議員たちは、「連立解消の責任が高市新総裁にある」とすることが共通項となっているようです。

ところで、今回の造反劇は、高市新総裁の責任による突発的なものだったのでしょうか。分析すればするほど、長年にわたり「自民党という金属」には、目に見えない疲労が蓄積していることがわかってきました。その主な要因は以下の3つです。

  1. 政策的な対立の深化:
    • 安倍政権以降、積極的な安全保障政策や金融緩和を推し進める「保守本流」と、伝統的なハト派・リベラル的な政策を重んじる勢力との間の溝は年々深まっていました。高市氏は保守的な政策を掲げる人物として知られており、彼女が総裁になったことで、党内のリベラル派が反発を強めたとされています。要するに、自民党は背反する大きな2つの塊で出来ているということです。この「無理」が金属が壊れる主因です。
  2. 派閥政治の形骸化と権力闘争:
    • かつてのように派閥が政策集団として機能しなくなり、党内の意見調整メカニズムが弱体化していました。その結果、個々の議員の思惑や選挙区の事情が優先され、党としての一致した行動が取りにくくなっています。菅元総理や野田聖子氏など、無派閥や少数派閥の有力議員が独自に動く背景には、こうした構造的問題があります。岸田首相時代に派閥政治は一見解消されたように見えましたが、実際には派閥の影響力が依然として残っていると指摘されています。つまり、自民党にとって「言動不一致」は状態化し、日常になってしまっています。これは見方を変えると、自民党政治は国民を見ていないということでもあります。
  3. 世代間の価値観の断絶:
    • 国のあり方を巡る世代間の考え方の違いも無視できません。船田元氏のようなベテラン議員から見れば、高市氏の主張は「伝統的な自民党の姿」とは異質に映るのかもしれません。見方を変えると、これは、ベテラン議員たちすらも自民党の「一丁目一番地」を意識していないということを明示しています。つまり、憲法改正。半世紀を大きく超えて「一丁目一番地」はお題目のままに置き去りにされてきたのです。「世代間の価値観の断絶」とタイトル化してしまいましたが、そもそも自分たちの起立する真意すら全世代で忘れ去られている党になってしまったということなのかもしれません。

これらのかなり深刻な要因が複雑に絡み合い、自民党はいつ破断してもおかしくない「金属疲労」の状態に陥っていたのです。

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第3章:首班指名選挙の行方-高市総理誕生を阻む「造反の壁」

現在の最大の焦点は、国会で行われる首班指名選挙です。衆議院で過半数の票を得なければ、総理大臣にはなれません。

自民党は衆議院で単独過半数を持っていません。したがって、首班指名選挙では、上位2名(うち、1名は高市新総裁、高市氏が1位になるか2位になるかは微妙)の決選投票は必至です。その決戦投票際、もし党内から造反者が出て「高市早苗」以外の名前を書く議員が相当数にのぼれば、高市新総理誕生は阻止されてしまいます。

  • 造反の規模:
    • 20~30人規模の造反者が出れば、高市氏の指名は極めて困難になります。
  • 野党の動き:
    • 立憲民主党を中心とする野党は、候補者を一本化する可能性があると報じられています。もし自民党の造反票が野党候補に流れれば、野党候補が首相に選出される可能性も否定できません。
  • 決選投票は必至:
    • 1回目の投票で、自民党造反議員が30人規模で「高市新総理の名前を書かない、もしくは空票(何も書かない)」の場合でも、高市氏は上位2人(2人目)に入るでしょう。つまり、決選投票は必至な状況です。

現状では、高市氏がすんなりと首班指名を受けられるかは極めて不透明であり、予断を許さない状況が続いています。

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第4章:自民党再生への道-「金属疲労」からの回復と分党の現実味

ところで金属疲労を起こした金属には、どのような対処法があるのでしょうか。

それは「①非破壊検査による亀裂の発見」「②亀裂部分の補強」「③部品そのものの交換」です。これを今の自民党に当てはめてみましょう。

  1. 徹底的な対話による亀裂の可視化:
    • まずは、なぜ造反の動きが出ているのか、その根本原因を徹底的に議論し、党内にどれほどの亀裂があるのかを正確に把握する必要があります。
  2. 執行部による融和策と党内結束の補強:
    • 高市新総裁は、自身の政策を一部修正してでも、融和的な人事や政策運営を行うことで、党内の結束を「補強」する努力が求められます。
  3. 最終手段としての「分党」:
    • もし亀裂が修復不可能なレベルに達しているならば、一度党を割り、政策や理念を同じくする者同士で新たな政党を作る「分党」も選択肢の一つとして議論される可能性があります。

今の自民党は、小手先の妥協で乗り切れる状況ではありません。一度壊れる覚悟で党のあり方を根本から見直さなければ、国民の信頼を取り戻し、再生する道はないでしょう。

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第5章:造反行為続出の自民党に関するFAQ

ここまでの本文内容と重複しない形で、造反行為が続出している自民党に関する、よくあるQ&Aをまとめました。

  • Q1. 造反した議員は、党から除名などの処分を受けますか?
    • A1. 党規約に基づき、除名や党員資格停止などの重い処分が科される可能性はあります。しかし、造反の規模が大きければ、執行部が処分に踏み切れず、党の分裂が決定的になることも考えられます。
  • Q2. なぜ菅元総理までが高市新総裁に批判的だといわれているのですか?
    • A2. 菅氏は現実主義的な政策運営を重視しており、高市氏の掲げる理想主義的な政策が、国民生活や経済に混乱を招くことを懸念している可能性があります。また、自身が全面的に支持した小泉氏が総裁選で敗れたことへの遺恨も影響しているかもしれません。それ以上に背景には麻生副総裁との対立・遺恨があるとも言われています。
  • Q3. 公明党と野党が連携して、新しい政権を作る可能性はありますか?
    • A3. 可能性はゼロではありません。特に立憲民主党や国民民主党の一部には、公明党との連携に前向きな議員もいます。もし実現すれば、日本の政界再編の大きな引き金となります。
  • Q4. 森山前幹事長が造反の中心人物と見られているのはなぜですか?
    • A4. 森山氏は党内きっての調整役であり、穏健派の重鎮です。彼が高市執行部に公然と異を唱えることは、多くの議員が追随する「お墨付き」を与えることになり、造反の動きを加速させる影響力を持っています。
  • Q5. 首班指名選挙は無記名投票ですか?
    • A5. いいえ、国会議員の氏名が書かれた票を投じる「記名投票」です。誰が造反したかは、開票されれば明らかになります。造反の汚名を恐れずに、それを実行する者がどれくらいいるか。その規模こそがその後の分党に大きく関与する原因になるでしょう。
  • Q6. 高市氏が首相になれなかった場合、次に誰が候補になるのですか?
    • A6. 自民党が再度、総裁選をやり直すか、あるいは別の候補者(例えば石破氏など)を臨時で立てる可能性があります。常識的には理解しがたいですが「自民党として石破現首相を首班指名選挙で投票する」という動きもあると聞こえています。また、自民党が首班指名を勝ち取れず、野党候補が首相になることもあり得ますが、今のところ野党連合として、誰を首班指名で立てるのかは混沌とした状況のようです。
  • Q7. この混乱で、解散総選挙は早まりますか?
    • A7. 新首相が選出されなければ、内閣が作れず、解散もできません。しかし、仮に高市氏が首相になっても、不安定な政権運営を強いられれば、早期の解散総選挙で国民に信を問う可能性は十分にあります。こんなさなか、石破現首相のもと解散をという「とんでも案」も巷でささやかれているようです。
  • Q8. 船田元氏や野田聖子氏が造反に加わる動機は何ですか?
    • A8. 両氏とも自民党内ではリベラルな政策を志向する議員として知られています。高市氏の保守的な政策、特に憲法改正や安全保障に関する考え方とは相容れない部分が多く、政治信条に基づいた行動と考えられます。船田氏のFacebookへの造反的な投稿文章も、野田氏のVoicyの投稿も、分析すると論理矛盾が多く、唯一「高市総理許すまじ」の怨念みたいなものが伝わってきます。
  • Q9. このような大規模な造反は過去にもありましたか?
    • A9. 1993年の宮澤内閣不信任案では、羽田孜氏や小沢一郎氏らが造反し、自民党が下野するきっかけとなりました。今回はそれに匹敵する、あるいはそれ以上の歴史的な事態と言えるかもしれません。つまり、今回「高市新総理」が自民党内の手によって実現破綻するとすれば、自民党は過去の失敗から学ばない組織に堕ちてしまったと断定できるでしょう。
  • Q10. 私たちの生活への影響はありますか?
    • A10. 政治の混乱は、経済政策や外交の停滞を招きます。円安や物価高対策、エネルギー問題など、私たちの生活に直結する課題への対応が遅れるリスクが非常に高いです。現状、総裁選で国会は夏休み状態でした。私たちの生活に直結する課題が山積しているにも関わらずです。これを持って、「自民党は国民は重視しない党になってしまったのは自明」というのは言い過ぎでしょうか。
  • Q11. 今後、私たちが注目すべきポイントは何ですか?
    • A11. まずは首班指名選挙で、自民党から何人の造反者が出るかです。そして、その後の自民党執行部の対応(造反者の処分など)、さらに野党と公明党の連携の動きを注視する必要があります。
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まとめ

高市新総裁の誕生前から始まっている今回の政局は、単なる権力闘争ではなく、自民党という巨大組織が抱えてきた構造的な「金属疲労」が表面化したもの。公明党の連立離脱は、その疲労破壊の最終的な引き金にすぎません。

公明党の連立離脱については、公明党外の力が影響していると解説している報道もあります。具体的には書きませんが、それはAとB。しかし、実は「公明党の連立離脱は自民党内から発生したストーリー」なのかもしれません。現状、何でもあり状態の自民党ですから、そういうバカな推論もありえるのかも。

さて、高市政権誕生にとって、首班指名選挙は、最初にして最大の関門です。高市新総理グループはこれを乗り越えられるのか、そして党の分裂という最悪の事態を避けられるのか。ここで「高市新総理グループ」と書きましたが、こう書かざるを得ないのが「自民党の残念な現状」であるということです。

自民党は今、まさに存亡の危機に立たされています。この国の舵取りを担う政党が、この危機をどう乗り越え、あるいは乗り越えられずに朽ちていくのか。

ここと銘記すべきことは、この政争において、私たち国民は置いてけぼりになっているという事実です。

私たちは、この歴史の転換点を冷静に見守り、次の行動につなげる必要があります。

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