7月の参議院選挙で国民民主党の公認候補となっていた山尾志桜里氏。彼女の公認が報道されてから、様々な問題が噴出し、結果、国民民主党は山尾志桜里氏の公認を見送ることとなりました。
この決定は、山尾氏が出馬会見を行った翌日という異例の速さで下された。党の両院議員総会において、山尾氏の「公認候補予定者」から正式な「公認候補」への移行を認めないことが承認されたのです。
この記事では、各社報道機関からの情報に基づき、「山尾志桜里氏の公認見送り」とした国民民主党の結論を5つの視点で解題します。
なお、山尾志桜里氏については、こちらの記事もどうぞ。

国民民主党の決断
国民民主党は、2025年7月に実施される参議院選挙(全国比例)において、山尾志桜里氏の公認を正式に取りやめる決定を下しました(公認見送り)。
具体的には、6月11日の両院議員総会で、夏の参院選の全国比例で立候補を予定していた元衆院議員の山尾(本名菅野)志桜里氏の公認を見送ることを決定。
公認見送り、5つ理由+1
報道各社の情報を分析すると、国民民主党が山尾氏の公認を見送った背景には、少なくとも、以下の5点の理由が関係しているとまとめることができます。
- 党としての信頼・支持率への影響懸念
- 公認候補者決定への説明不足
- SNSや党内での批判の噴出
- 選挙戦略における党統一の必要性
- 代表自身の責任問題と今後の候補者選定への影響
以上は、国民民主視点での5つの公認見送り理由です。
これとは別に山尾志桜里氏視点では、次のことが見送りに至った理由(原因)であると推定できます。
- 会見の不十分さ
- 山尾氏は疑惑払拭のために会見を行いましたが、その内容が具体性に欠け、疑問を払拭するには至らなかったとされています。この会見後も批判が続き、信頼回復には繋がりませんでした。
5つの理由説明+1
1. 支持率低下と信頼棄損への懸念
山尾氏の擁立を発表した直後、党の支持率に不安定な動きが見られ、党内では「有権者や全国の仲間から十分な理解と信頼が得られない」との判断に至りました。玉木代表は、この信頼の回復を選挙態勢の再構築上重要と位置づけています。
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山尾氏の擁立が発表された5月14日以降、国民民主党の支持率が下落傾向にあることが複数の世論調査で明らかになっていました。山尾氏自身も会見で「私の出馬報道がどこか水を差してしまったのではないか」と認め、支持率低下の一因となったことを謝罪しています。いわゆる「山尾ショック」という言葉がネット上で広がるなど、党のイメージに悪影響を与えていました。
2. 公認候補者決定への説明不足
山尾氏は記者会見で、過去の議員パス利用の問題や不倫疑惑に関して謝罪し、「至らなかった」と述べました。しかし、その説明が「踏み込んだ内容とは言えず、納得を得られるものではなかった」という批判が党内外から相次ぎました。
しかし、この項目で指摘する説明不足とは「山尾志桜里氏」自身の説明不足ではなく、そういう不祥事・疑惑が払拭できていない山尾志桜里氏を公認候補者にしたことに対する国民民主党の説明不足ということです。
3. SNSや党内での批判が噴出
SNS上では「疑惑が払しょくされたとはとても言えない」との声が広まり、党内の中堅議員からも「世間が納得できるような説明が足りない」との苦言が出ていました。これが、見送り判断の直接的な契機になりました。
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国民民主党の榛葉賀津也幹事長は、全国の都道府県連や地方議員から「公認を見送ってほしい」との要請が相次いだことを公認見送りの主な理由として挙げています。特に6月9日に開催された全国幹事長会議では、すべての都道府県連から同様の意見が寄せられていました。これは党内での山尾氏擁立に対する広範な反対を示していました。
4. 選挙戦略としての団結重視
党首である玉木雄一郎代表は、参院選を戦う上で「改めて一丸となって挑む態勢を整え直すため」に、公認取り消しが必要だったと明言しました。公認を取りやめることで、党としての結束力を高め、不安定要素の排除を意図したものと見られます。
5. 玉木代表自身の責任問題と今後への影響
玉木代表は「擁立をした私にも責任がある」と述べ、自身の判断への責任を明確化しました。また、今回の経験を踏まえて、候補者選定プロセスの見直しに着手する意向も示しています。
山尾志桜里氏会見の不十分さ
前掲の項目で簡単に触れましたが、山尾氏は疑惑払拭のために6月10日に会見を行いました。しかし、その内容が具体性に欠けていたため、批判が収まるどころかさらに強まる結果となりました。
具体的には、過去の不祥事について釈明を試みたものの、多くの関係者から「疑問を解消するような会見ではなかった」との評価を受けました。特に2017年に報じられた既婚男性との不倫疑惑について、山尾氏は「極めて未熟だった」と謝罪したものの、疑惑の真偽については明確な回答を避け続けました。この会見は2時間以上に及んだものの、具体的な説明が不足していると批判されました。
より具体的には、この会見には約100人の報道陣が集まり、56回もの質問が飛んだものの、山尾氏の回答は「ご勘弁いただきたい」という言葉を繰り返すにとどまりました。会見後、SNS上では「何も説明していない」「何のための会見?」といった批判が続出し、党内からも「世間が納得するような踏み込んだ話がなかった」との声が上がったのです。
山尾志桜里氏側から見ると、この会見結果が「公認見送り」に至った直接的な原因であると推測できます。
また、山尾氏をめぐっては、不倫疑惑だけでなく、秘書によるガソリン代の不正請求問題(217万円)や国会議員パスの私的利用など、複数の不祥事が過去に報じられていました。
これらの問題が累積的に山尾氏の政治家としての信頼性を損なっており、有権者からの理解を得ることが困難な状況だったといえます。
まとめ
以上のように、山尾志桜里氏は国民民主党からの公認が見送りとなりました。
筆者の結論を書くと、今回「公認見送り」となった最大の理由は、前章で「+1」と書いた事項です。すなわち、山尾志桜里氏自身の過去の問題累積による結果です。
6月10日、起死回生を狙った山尾志桜里氏自身の会見は、これらの問題累積&疑念を払拭するどころか、かえって炎上する結果を招き、これも公認見送りを加速した原因となりました。
一方、国民民主党側からすれば、この見送りについては、① 国民民主党の支持率低下への懸念、② 公認決定への説明不足、③ 党内外での批判の強まり、④ 選挙戦略の再構築の必要性、そして、⑤ 玉木代表の責任という複数の要因がありました。
結果、2025年6月11日の両院議員総会において、参議院比例代表での公認が見送られました。
国民民主党にとって、今回「山尾志桜里氏を参院選の公認候補にした件」は大きな打撃があり、予想以上のダメージを残しました。
今後は、候補者選定や説明責任のあり方を精査しつつ、参院選に向けた体制を再構築していくなど、また、支持率急落の回復をどうするかなど、問題山積みの状況です。
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