2025年1月12日(日)から始まる大相撲1月場所(初場所)を前に、1月6日に横審(横綱審議会)の稽古総見が行われました。
稽古総見では横綱・大関同士が27番取り、結果は次の通り。
なお、横綱・照ノ富士が対戦したのは大関・大の里のみで、七番稽古が行われました。この七番稽古のあとは、豊昇龍と琴櫻の七番稽古が行われました。この2つの七番勝負を挟む形で、3大関の申し合いが13番行われました。
- 照ノ富士 3勝 4敗
- 豊昇龍 12勝 4敗
- 大の里 9勝 9敗
- 琴 櫻 3勝10敗
この記事では、横審稽古総見での横綱・大関の七番勝負や申し合いを分析して、照ノ富士、豊昇龍、大の里、琴櫻の1月場所を予想します。
なお、本記事を書くに当たって参照したのは日本相撲協会公式チャンネルの次の動画です。
また、1月場所の幕内優勝などについては、こちらの記事もどうぞ。
3大関の申し合い13番
繰り返しますが、「照ノ富士と大の里の七番勝負」、「豊昇龍と琴櫻の七番勝負」を挟む形で、3大関の申し合いは13番行われました。
ちなみに、申し合いとは「実力が近い力士同士たちが勝ち抜きを行うもので、大相撲で最も一般的に行われる稽古」です。勝ち残った力士は次の相手を指名してまた取り組みます。今回の3大関の申し合いは、勝者が勝ち残りとなり、控えが次の対戦相手になります。
また、七番勝負とは「相撲で力量がほぼ同じ力士が7番続けて稽古すること」です。
3大関の申し合い13番の結果は次の通り。
- 豊昇龍 6勝3敗
- 大の里 5勝5敗
- 琴 櫻 2勝5敗
この13番を対戦相手が分かる形で載せます。
豊昇龍
- 対・大の里 3勝3敗
- 対・琴 櫻 3勝0敗
大の里
- 対・豊昇龍 3勝3敗
- 対・琴 櫻 2勝2敗
琴 櫻
- 対・豊昇龍 0勝3敗
- 対・大の里 2勝2敗
場所直前のこの時期は、力士達にとっては無理せず、怪我をしないことが最優先です。加えて、多少のブラフもあるのかもしれませんが、稽古総見の対戦だけから判断すると、一番安定しているのは豊昇龍です。一方、一番心配なのが連続優勝を狙っているハズの琴櫻。
次に個別の分析コメント。
豊昇龍 申し合い6勝3敗
稽古は本番と違って相手が立ち合いに仕掛けたりすることが無いので、豊昇龍も安心して自分の型で立ち合い攻めます。また土俵際の回り込みなども、相変わらず上手いですね。全体的に見て、豊昇龍が身体としては一番仕上がっている感じ。逆にいうとピーキングという視点では仕上がりが早過ぎるのではという懸念もあります。
豊昇龍の得意の型は右四つで、立ち合いから自分の型に持っていく流れは素晴らしい。一方、立ち合いからのつっぱりの応戦などでは見劣りがしますが、これなどもパターンとしての稽古でしょう。かなり意識的にあれこれを稽古のなかで実践している様子がうかがえます。
この調子で仕上げて本番に臨めば、1月場所で優勝争いすることは十分に期待できます。
大の里 申し合い5勝5敗
大の里は対・豊昇龍は3勝3敗、対・琴櫻は2勝2敗なので、これを五分と見るのが普通なのかもしれません。しかし、それには無理があります。
稽古なので土俵際では抜いています。立ち合いの力強さも普段通りの大の里ではありません。相手に勝ちを譲るような感じの取組もありました。誤解を恐れずに書くと、横審稽古総見の大の里は、一番ブラフっぽい感じがしました。全力を100とすると60くらいしか出していないという感じです。もっとも、稽古ですから100は出さないかもしれませんね。仮に稽古が70くらいが普通だとしても、それも出し切っていないという感じです。決して、手を抜いているというのではなく、自分なりに無理せず調整している、それが上手くいっているという感じですね。
そんなこんなを勘案すると、現状の力量としては、大の里が3大関のなかではダントツだと判断しました。
また、得意の右四つにいては、右下手をしっかり取る相撲も多かったですね。
この調子で本番を迎えれば、3回目の幕内優勝も狙えるのではないでしょうか。
琴 櫻 申し合い2勝5敗
大の里のところでも書きましたが、稽古なので普段の70くらいなのかもしれません。それにしても、勝てません。申し合い2勝は、動画ラストにあった対・大の里戦の2勝。これは大の里が手を抜きすぎな感じ。というか、照ノ富士との七番勝負で疲れ切っていたところで、大の里が負けたという流れです。だから、言葉悪いですが、琴櫻の2勝はタナボタ。
この2勝を除くと、琴櫻にいいところ無し。ピーキングどころか、調整が上手くいっていないのか、どこか体調に具合が悪いところがあるのか….。ブラフは無いでしょう。他の幕内力士の前で無様な負けを曝すのですから。
琴櫻の申し合い七番に限っては、立ち合いも甘く、得意の右四つでも上手が取れないことが多く、いいところが見えませんでした。もっというと、攻めが遅すぎます。
このままの調整で本番に臨むと、序盤戦で2〜3敗を喫して、早々に優勝戦線離脱になるかもしれません。
筆者 TOPIOは、新横綱誕生を強く望んでいるので、本当なら順当に琴櫻に連続優勝を果たしてもらいたいのですが…。
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ここで、NHKによる「琴櫻調整OK」というような報道も載せますね。
#秋場所2024 #稽古総見
— Lulit (@OneLoveLulit) August 29, 2024
今日行われた横審による稽古総見の様子と琴櫻のコメントです pic.twitter.com/QBhe3wjKhE
照ノ富士、大の里 七番勝負
大相撲 2場所連続休場の横綱 照ノ富士 初場所で復帰へhttps://t.co/jMOJ4nIkPr #nhk_news
— NHKニュース (@nhk_news) January 10, 2025
2場所連続全休明けで1月場所を迎える横綱・照ノ富士。相撲を取る稽古は、この稽古総見の日が年明け初めてでした。今の時期の照ノ富士にとって「無理せずに実践の感覚を取り戻すこと」が最優先です。
そして、そんな稽古の相手に指名したのが大関・大の里でした。ずばり、横綱に立ちはだかる難敵(ライバル)と見ての指名だったのかもしれません。
結果は、照ノ富士の3勝4敗。稽古総見後に、照ノ富士はこう語っています。
体は作ってきたから、あとは感覚を戻すだけ。ペースを上げていければいいのではないか
引用元:Yahoo!ニュース / 産経新聞 / 2場所連続全休中の照ノ富士「あとは感覚戻すだけ」 横審稽古総見で大の里と7番
また、横審の山内昌之委員長(東大名誉教授)と、日本相撲協会の八角理事長(元横綱・北勝海)は、照ノ富士について、次のように語っています。
(山内昌之委員長)
思った以上に回復している
(八角理事長)
引用元:Yahoo!ニュース / 産経新聞 / 2場所連続全休中の照ノ富士「あとは感覚戻すだけ」 横審稽古総見で大の里と7番
あとは(スタミナ面で)番数ができるかどうか。気力もあった。今日の稽古で自信を付けたのでは
素人である筆者 TOPIOが見ても、照ノ富士の調整はうまくいっているとの感触を得ました。
ところで…
照ノ富士は過去3回「休場明けでの幕内優勝」をしています。この再現、つまり4回目が起きるかもしれないとさえ予想しています。
「過去3回の休場明けの幕内優勝」とは、具体的には次のことです。
過去、照ノ富士は休場明けの場所で3回優勝しています。
引用元:大相撲2025年1月場所、7つの期待と恒例の幕内優勝予想!
- 2023年5月場所、14勝1敗で通算8回目の幕内優勝
- 途中休場含む4場所連続休場明けでの優勝
- 2022年9月場所途中休場、その後、両変形性膝関節症などで3場所連続休場
- 2024年1月場所、13勝2敗で通算9回目の幕内優勝
- 途中休場含む3場所連続休場明けでの優勝
- 2023年7月場所途中休場、その後、腰椎椎体終板障害などで2場所連続休場
- 2024年7月場所、12勝3敗で通算10回目の幕内優勝
- 2場所連続の途中休場明けでの優勝
- 怪我のため、2024年3月場所・5月場所を連続途中休場
横綱との七番勝負、大の里視点
大の里 “クンロク大関”を跳ね返し再び「土俵の主役」へ 大関2場所目の初場所へ活躍誓う #石川 #ニュース #MRO https://t.co/ikvSqMzH6O
— MRO NEWS DIG・石川県のニュース (@mronewsdig) January 10, 2025
3大関のなかで、横綱の七番勝負の相手として指名されたことは名誉なことです。照ノ富士がライバルとして、大の里を見ているということで間違いないからです。一方、よりうがった考え方をすると、照ノ富士が、次の横綱として育てたいと考えているのが大の里なのかもしれません。
七番勝負の結果は大の里の4勝3敗。しかし、3敗のなかには照ノ富士に勝ちを譲ったような取組もあります。実質6勝1敗というところでしょうか。
これはどういうことかというと、大の里は横綱・照ノ富士を苦手にしていないということです。
実際、本割での両者の対戦は3回ありますが、大の里が2勝1敗。初土俵から5場所目での初顔合わせで、大の里は負けたものの、次の2戦は連勝しました。
以上のことから…
筆者 TOPIOは、1月場所は、横綱・照ノ富士、大関・大の里、同・豊昇龍の三つ巴での優勝争いになると予想しています。
豊昇龍、琴櫻 七番勝負
取材者に「(横綱に)近づいてきている実感はあるんですね?」と聞かれ、
— くるくるおばけ@ブログ「大相撲取組内容」 (@kuru2obake) January 10, 2025
「どうだろうね」と答え、笑う豊昇龍。
〔綱とり大関豊昇龍インタビュー〕 #NW9 #sumo pic.twitter.com/IlyyTtjlHx
「照ノ富士、大の里の七番勝負」のあとに行われたのが「豊昇龍、琴櫻の七番勝負」です。
照ノ富士七番勝負の前に、3大関の申し合いが11番ありました。これで顕著だったのが、琴櫻の調整不足。それをそのまま引きずったのが「豊昇龍、琴桜の七番勝負」でした。
対戦結果は、豊昇龍の6勝1敗。この1敗も疲れた豊昇龍が手を抜いたのかもしれません。
この七番勝負で分かったことは、豊昇龍が安定しており調整も上手くいっているということ、そして、琴櫻の圧倒的な調整不足です。
番外
日本相撲協会公式チャンネルの次の動画もガン見させていただきました(笑)。
この動画の申し合いで印象に残ったのは3力士。玉鷲、高安、若隆景です。
40歳の玉鷲、まだまだ他の力士と比較しても地力は一歩抜けています。1月場所の玉鷲は前頭10枚目。この番付ならば、序盤戦・中盤戦で勝ちを重ねられますので、冗談抜きで3回目の幕内優勝も狙えるかもしれません。
次にまだ幕内優勝の無い高安。申し合いを見る限り、地力はあります、強いです。1月場所は前頭6枚目と高いので、玉鷲と比べると、10日目くらいまでに白星を重ねることは難しいかもしれません。それでも優勝争いをするような力士をバッタバッタと痛快に倒してもらいたいです。
ラスト、若隆景。若元春&若隆景が再び、同時三役になりました。過去、一回あったのですが、そのときは確か若隆景が休場だったような…。なので、2人が出場しての同時三役は、今回が初めて。2人は対戦が無いわけで、とても有利です。つまり、この2人が優勝争いに絡む可能性は大いにあると見ています。
まとめにかえて…
1月6日に行われた横審稽古総見のYouTube動画を見て、思うところを書き殴りました。
結果は…
- 横綱・照ノ富士は場所1週間前としては調整が上手くいっていて、「連続休場明けの4回目の優勝」も狙えるかもしれない
- 大関陣では、大の里の調整と地力が目立ち、優勝争いをすることは間違いない
- 豊昇龍の仕上がりは安定しており、大の里同様、優勝争いに絡むことになる
- 琴櫻の調整が一番不安で、横綱昇進のための連続優勝は黄色信号 or 赤信号
以上から、すでに書きましたが、1月場所は「横綱・照ノ富士、大関・大の里、同・豊昇龍」の3力士で優勝争いが展開されるのではないでしょうか。
さらに、先場所優勝時点だった豊昇龍にとっては、1月場所に全勝優勝もしくは14勝1敗で優勝を果たせば、場所後の横綱昇進も夢ではありません。
大相撲ファンの筆者 TOPIOとしては、1場所でも早く、新横綱が誕生することを切望しています。その点では、順当なら琴櫻の連続優勝ですが、それは望めそうもない。ならばということで、豊昇龍の全勝優勝を期待しています。
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12日から始まる大相撲1月場所、いちファンとして大いに期待しています!
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