今、原材料費高騰が止まらないことで、ラーメン屋・パン屋・ケーキ屋などが窮地に陥っているという。なんと1パック2,000円のいちごを使わざるをえないような状況になっている。
これは一見、眼の前の原材料費高騰だけが窮乏の原因と見られているが、実は、ここ4年スパンくらいで起きていることなのです。
この記事では、私たちにとって、ラーメン屋・パン屋・ケーキ屋などの身近なお店の窮乏を複合的に分析して、今後、どうなるのかなどについてコンパクトにまとめました。
併せて、私たち一般消費者のとるべき行動などについても触れてみました。
- 原材料費高騰の現状と今後
- ラーメン屋・パン屋・ケーキ屋などの窮乏と複合的原因
- 一般消費者ができる対策
原材料高騰の影響、現状は?
ラーメン店の場合
ラーメン店では、小麦粉や豚骨、調味料などの輸入原材料の価格が急騰しています。
特に日本では円安が進行し、輸入コストが増加。さらに、燃料費の高騰もスープの長時間煮込みに影響を与えています。
多くの店舗が価格を引き上げざるを得ない状況にあり、例えば東京のあるラーメン店では、看板メニューの価格が47%も上昇しました。
パン屋の場合
パン屋では、小麦粉、バター、卵といった主要材料の価格が軒並み上昇しています。
特に小規模なパン屋は、大量購入によるコスト削減が難しく、価格転嫁や製品数の削減を余儀なくされています。
あるパン屋では、材料不足によりレシピを変更せざるを得ないケースも増えています。
ケーキ屋の場合
ケーキ屋も同様に、バターや砂糖、乳製品の価格高騰に直面しています。
これにより、ケーキの価格を引き上げる店舗が増加。
さらに、包装資材や装飾品のコストも上昇しており、全体的な利益率が圧迫されています。
直近のニュースでは「1パック2,000円のいちごを使わざるを得ない、利益が出ない!」というものもありました。
消費者の場合
消費者にとっても、これらの価格上昇は家計に直接的な影響を与えています。
特に、外食や高級菓子の購入頻度が減少し、より安価な選択肢を求める傾向が強まっています。
原材料高騰の今後の見込みは?
専門家によると、原材料費の高騰は短期的には収束しない見通しです。
輸入原材料については、円安の影響が大きく、当面、円高に戻る見込みはありません。
また、エネルギー価格や輸送コストの上昇が続く中、材料費の安定化には時間がかかるとされています。
気候変動や地政学的リスクも供給チェーンに影響を与え、さらなる価格上昇の可能性が指摘されています。
一方で、政府や業界団体による支援策や補助金の導入が期待されていますが、これらが実現するまでには時間がかかると見られています。
ラーメン屋などの窮乏は原材料費高騰だけが原因ではない?
実は、ラーメン屋などの窮乏は、原材料費高騰という目先のことだけが問題ではありません。ここ4年くらいの復号t計な問題なのです。
新型コロナウイルス感染症の影響を受けた飲食業界、特にラーメン屋、パン屋、ケーキ屋といった業種は、ここ数年で深刻な経営危機に直面しています。その背景には、コロナ禍による客数激減、新型コロナウイルス感染症特別貸付(以下「コロナ融資」)の返済開始、そして原材料費の高騰という複数の要因が複雑に絡み合っています。以下に、これらの問題を2〜3年スパンで整理し、現状を解説します。
コロナ禍による客数激減と経営不振
2020年から始まったコロナ禍では、外出自粛や飲食店への営業時間短縮要請が続き、多くの飲食店が売上の大幅な減少に直面しました。特に以下のような影響が顕著でした。
- ラーメン屋:カウンター席中心の店舗が多く、密を避ける動きから客足が遠のきました。また、テイクアウトへの対応が難しい店舗も多く、売上減少が深刻化しました。
- パン屋:一部のパン屋ではテイクアウト需要が増えたものの、観光地やオフィス街に立地する店舗では客数が激減しました。
- ケーキ屋:イベントやパーティー需要が減少し、高価格帯の商品を扱う店舗ほど影響を受けました。
このような状況下で、多くの店舗が資金繰りのために「コロナ融資」を利用しました。その融資のおかげで多くの店舗が助かったのですが…。
コロナ融資の返済開始による資金的窮乏
コロナ禍の初期段階で導入された「新型コロナウイルス感染症特別貸付」は、無利子・無担保で借り入れが可能な制度として多くの中小企業に利用されました。しかし、2023年以降、この融資の返済が本格化し、経営に新たな負担をもたらしています。
- 返済の負担:据置期間が終了し、元本返済が始まったことで、売上が回復しないまま返済を迫られる店舗が増加しています。
- 借換保証制度の導入:政府は「コロナ借換保証制度」を導入し、返済負担を軽減する取り組みを進めていますが、すべての店舗が救済されるわけではなく、倒産件数は増加傾向にあります。
原材料費の高騰による経営圧迫
さらに、コロナ禍からの回復を阻む要因として、原材料費の高騰が挙げられます。特に、輸入に依存する小麦粉やバター、砂糖などの価格上昇が、飲食業界全体に深刻な影響を与えています。
- ラーメン屋:小麦粉価格の上昇により麺の原価が増加。さらに、豚骨や鶏ガラなどのスープ材料や燃料費の高騰も経営を圧迫しています。
- パン屋:小麦粉やバター、卵といった主要材料の価格が軒並み上昇。特に小規模店舗では大量仕入れによるコスト削減が難しく、利益率が低下しています。
- ケーキ屋:乳製品や砂糖、チョコレートなどの価格高騰に加え、包装資材の値上がりも負担となっています。
これらのコスト増加を価格転嫁する動きも見られますが、消費者の購買意欲低下を招くリスクもあり、経営判断が難しい状況です。
政策的な影響と課題
政府の政策も、家計や飲食業界に影響を与えています。
- 消費税の影響
消費税率の引き上げは、消費者の購買意欲を低下させる要因となっています。また、軽減税率の適用範囲が限定的であるため、外食産業はその恩恵を受けにくい状況です。 - 社会保険料の増加
社会保険料の負担増が、特に若年層や中低所得層の可処分所得を圧迫しています。これにより、外食や嗜好品への支出が削減される傾向が強まっています。
一般消費者の可処分所得の減少と消費行動の変化
可処分所得の減少とその背景
可処分所得とは、収入から税金や社会保険料などの「非消費支出」を差し引いた後に残る、自由に使えるお金のことです。この可処分所得が減少していることが、消費者の購買力を低下させ、外食産業を含む飲食業界に影響を与えています。
- 税金や社会保険料の負担増
日本では近年、消費税率の引き上げ(2019年に10%へ)や社会保険料の増加が進み、家計の負担が増加しています。これにより、可処分所得が減少し、消費支出が抑制される傾向があります。 - 物価上昇による実質所得の減少
物価上昇(インフレーション)も可処分所得の実質的な価値を低下させています。特に2023年以降、エネルギー価格や食品価格の高騰が家計を圧迫し、消費者の購買力をさらに削いでいます。 - 所得の伸び悩み
一方で、賃金の伸びが物価上昇に追いついていないため、実質的な可処分所得の減少が続いています。特に中低所得層では、生活必需品への支出割合が高いため、外食や嗜好品への支出が削られる傾向があります。
消費者行動の変化とラーメン店などへの影響
可処分所得の減少は、消費者の行動にも大きな影響を与えています。
- 外食支出の抑制
消費者は、外食を控えたり、より安価な選択肢を選ぶ傾向を強めています。ラーメン店のような中価格帯の外食産業は、特にこの影響を受けやすい業種です。 - 「1000円の壁」問題
ラーメン店では、原材料費や光熱費の高騰により価格を引き上げざるを得ない状況が続いていますが、消費者の心理的な価格抵抗(「1000円の壁」)が強く、値上げが売上減少につながるリスクがあります。
複合的な問題への対処は?
ここまで問題が複合的な原因から生じていることを考えると、いち個人店などで対応できるレベルではありません。
政府が「たかがラーメン屋」的な視点ではなく、事の本質を踏まえることが第一。「ラーメン屋・パン屋・ケーキ屋の窮乏は国の一大事」なのです。
そこで、まずは「減税等(消費税減税)」を含め、「壁の見直し」「ガソリン暫定税率廃止」等、すぐ出来ることから対処し、そして、日本の国力を長期スパンで育てることなどで円安の方向性を替えるなどの施策を次々に打つ必要があります。
しかし、今の自民党、そして石破政権では、おにぎりボリボリ食べながら「ラーメン屋が大変?だから何?」程度なのかもしれません。
足元の困ったを救えない政府・与党に何の存在意義があるのか…。
一般消費者ができる対処は?
そんなこんなで、政府や自民党に当面期待できるところがありません。なので、私たち一般消費者に、ラーメン店・パン屋・ケーキ屋などに対して、何ができるかを列挙しました。
- 地元産の製品を選ぶ
- 輸入材料の価格上昇が続く中、地元産の材料を使用した製品を選ぶことで、輸送コストを削減し、地域経済を支えることができます。
- 購入頻度や量を調整する
- 価格が上昇している商品については、購入頻度を減らしたり、必要最低限の量を購入することで家計への影響を抑えることができます。
- 店舗を直接支援する
- お気に入りの店舗を支援するために、価格が上がったとしても購入を続けることや、SNSでの口コミを通じて店舗を応援することが効果的です。
材料費高騰に関する、よくあるQ&A
- 1: なぜ材料費がこれほど上昇しているのですか?
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主な原因は、円安による輸入コストの増加、エネルギー価格の高騰、そして気候変動や地政学的リスクによる供給チェーンの混乱です。
- 2: 店舗側はどのように対応していますか?
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多くの店舗が価格転嫁を行っていますが、それでも利益率が低下しているため、メニューの削減や材料の変更を余儀なくされるケースもあります。
- 3: 消費者として何ができますか?
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地元産の製品を選ぶ、購入頻度を調整する、店舗を直接支援するなどの方法があります。
まとめ
材料費の高騰は、ラーメン店、パン屋、ケーキ屋をはじめとする飲食業界に深刻な影響を与えています。
そして、ラーメン店などの現在の窮乏は、単に、原材料費の高騰だけでなく、2020年から続く複合的なことを原因としています。
この記事では、ラーメン店、パン屋、ケーキ屋のみを扱いましたが、他の業界や店舗全体に言えることです。
つまり、そこには複合的な原因があるということ。それに対して、政府や自民党は無策です。
可処分所得が目減りしている私たち消費者として、この窮乏の店舗・業界に何ができるのか。
地元産の製品を選ぶなどの工夫をすることで、店舗を支援しつつ家計への影響を抑えることが可能です。
できることをできる範囲でやるしかない…。
今後も状況を注視していきます。
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