ジャーナリストの須田慎一郎氏が『自民党内で前税制調査会長の宮沢洋一氏が「ゾンビ政治家」として復活し、水面下で動きを激化させており、特に高市新総理の足元を引っ張る動きが顕在化している』と報じています。
その中心にあるのが、与野党間で一旦合意に至っていたガソリン税の暫定税率廃止を巡る議論の「ぶち壊し」であり、これは単なる政策論争ではなく、財政の指導権を巡る「宮沢・財務省ライン」の復権策と見られています。
本稿では、自民党税調の権力構造と、宮沢氏がこの期に及んで画策する「増税のラスボス」としての思惑を分析します。
与野党合意を強引に覆す「税調マター」への回帰
須田氏の解説によれば、宮沢氏による暗躍の最たる例は、ガソリン税の暫定税率廃止を巡る政治プロセスに対する強引な介入です。当初、自民、立憲民主、維新、公明、国民民主など与野党6党は、年内に暫定税率を廃止することで合意をみていました。
しかし、自民党税制調査会(税調)がこれに横槍を入れました。小野寺五典氏率いる税調は、「それは税制の問題なのだから、国対委員長同士が合意してどうする」として、議論を国会対策委員会マター(国対マター)から税調マターに強引に戻してしまったのです。
この裏で動いていたのが宮沢洋一氏とされ、その結果、合意されていた年内廃止は覆され、「来年2月」への先送りが代替案として出されました。この変更理由として「ガソリンスタンドの対応が間に合わない」という理由が挙げられましたが、須田氏はこれを「理由にもならない理由」として、自分たちの力を誇示し、合意をぶち壊すための動きであると批判しています。
この動きは、高市新総理が自民党内の組織を掌握できていない時期を突いた、宮沢氏による「復権の画策」と見なされています。
「財務省の宣伝本部長」としての宮沢洋一氏の正体
宮沢洋一氏は、政界において「増税のラスボス」あるいは「財務省の宣伝本部長」と称される存在です。
彼は1974年に大蔵省(現・財務省)に入省した元官僚であり、その後、宮澤喜一元首相の首席秘書官などを経て政界入りした「サラブレッド」です。2015年から2019年、そして2021年以降も自民党税調会長を務めるなど、長きにわたり税制議論の中心に君臨してきました。
彼は、岸田元総理が従弟、宮澤喜一元総理が伯父という政治家一族の出身でありながら、そのスタンスは一貫して財政規律を重視する「緊縮の守護者」としての役割を果たしてきました。
この姿勢は、高市総裁が掲げる「責任ある積極財政」(赤字国債の発行拡大も辞さない)路線とは明確に方向性が食い違っています。
宮沢氏は、減税論に対して「財源なき減税には大きな問題がある」と強い制約を唱えることで知られ、税制議論は「理屈の世界」で行うべきだという立場を強調しています。
税制調査会が持つ強大な「決定権」
宮沢氏が長年トップを務めてきた自民党税制調査会は、日本の税制を実質的に決定する「最高の決定権」を持つ組織です。宮沢氏自身も、税制に関しては「政治が決めると」述べており、「総理よりも税調で決めちゃうって感じ」の部分があると認めています。
特に、103万円の壁の金額をどうするかといった具体的な税制調整については「ほとんどこちら側で決めてる」と宮沢氏は説明しています。税調の会議では投票は行われず、「会長一人を取るんです」という形で、幹部、特に会長が最終的な結論を出す権限を持っています。
この強力な権限は、増税や財源確保といった、一般の議員が選挙区を顧みて発言しにくい「嫌われるもの」を税調が引き受ける構造になっていることにも由来します。宮沢氏らは、何段階にもわたる議論を経て結論を出す際、議員全員から「結論どう出すか、一任をもらっている」という認識で、最終決定を行っているのです。
「減税のための増税」を拒む恒久財源論の圧力
宮沢氏が主導してきた議論が、国民の求める「減税」に逆行するのは、彼の「恒久財源」を絶対視する論理に基づいています。
ガソリン減税の協議において、野党側が「税収の上振れ分や外為特会の剰余金を活用すれば新たな国民負担を求めずに済む」と指摘したのに対し、宮沢氏は一貫して「しっかりとした恒久財源を充てる必要がある」と主張し、減税に前向きな姿勢を見せませんでした。この主張は、国民からは「減税のための増税」「帳尻合わせ」であり、民意に背を向けているとして強い批判を浴びています。
須田氏は、この宮沢氏の動きの背後には「財務省」の存在が間違いなくあると指摘しています。財務省側は、税制に関する指導権を宮沢氏を通じて維持したいと考えており、「財政が悪化するとおそらくそれが円安につながっていく」という論理を用いて、増税や財政再建の痛みを伴う政策の正当化を図っていると見られています。
この「財務省・宮沢洋一ライン」の跋扈は、高市政権のスタート地点で大きな禍根を残しかねない危機だと警鐘が鳴らされています。
まとめ
自民党前税制調査会長・宮沢洋一氏が主導する税制を巡る動きは、単なる政策調整の範疇を超え、高市政権の財政路線(積極財政)に対する旧来の「財政規律派」による復権策という側面を持っています。
ガソリン税廃止を巡る合意を反故にし、議論を「税長マター」に戻した宮沢氏の行動は、国民の「減税を求める民意」を無視し、「恒久財源論」を盾に税制の指導権を財務省と共に守ろうとするものだと指摘されています。
国民生活に直結する税制の意思決定プロセスにおいては、透明性の確保と、国民の声を真に代弁できるリーダーシップが求められています。
須田慎一郎氏の緊急情報が事実だとすれば、腐ったミカンは1つではなく2つ以上あるということでしょうか。1個は前任者、そしてもう1個は現任者・・・なのかな?


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