映画『ミステリと言う勿れ』は、多くの観客に深い印象を残した作品です。
特に、主人公・久能 整(くのう ととのう)を演じた菅田将暉が口にした名言句の数々が、視聴者の共感と感動を引き出しました。
今回は、主要キャラクターやあらすじに加え、心に響く9つの名言句を厳選してご紹介します。
ところで、ここで言う「名言」とは、数行の短文ではなく、久能整のまとまったセリフのこと、名言句をいいます。
なので、この記事では、その「まとまったセリフ」を聞き取ったものを載せます。
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なお、メインキャラクター・久能整の得意なキャラや、それを過不足なく演じきった菅田将暉についてのことは、次の記事をご参照ください。
映画『ミステリと言う勿れ』の主な登場人物とあらすじ
『ミステリと言う勿れ』は、原作漫画が大人気を博し、その後、ドラマや映画としても多くのファンに支持されています。
それでは、メインの「名言句」を紹介するまえに、この記事の対象となっている映画『ミステリと言う勿れ』の主な登場人物とあらすじを紹介しますね。
作品概要
- タイトル:ミステリと言う勿れ
- 監 督:松山博昭
- 原 作:田村由美『ミステリと言う勿れ』
- 脚 本:相沢友子
- 音 楽:Ken Arai
- 主 題 歌:King Gnu「硝子窓」
- 公 開:2023年9月15日(128分)
- 興行収入:48億円
映画『ミステリと言う勿れ』主な登場人物
【物語主人公】
- 久能 整(くのう ととのう)/菅田将暉
- 主人公・観光で広島を訪れた大学生
- 汐路によって、狩集家の騒動に巻き込まれる
【遺産相続を争う狩集家の孫4人】
- 狩集 汐路(かりあつまり しおじ)/原菜乃華
- ヒロイン・祖父の遺産相続で争う4人の孫の1人
- 高校生
- 狩集 理紀之助(かりあつまり りきのすけ)/町田啓太
- 祖父の遺産相続で争う孫の1人
- 臨床検査技師
- 波々壁 新音(ははかべ ねお)/萩原利久
- 祖父の遺産相続で争う孫の1人
- サラリーマン
- 赤峰 ゆら(あかみね ゆら)/柴咲コウ
- 祖父の遺産相続で争う孫の1人
- 専業主婦
【孫の親族】
- 狩集 幸長(かりあつまり ゆきなが)/石橋蓮司
- 汐路たちの祖父
- 実子4人は8年前の交通事故で全員死亡
- 狩集 ななえ(かりあつまり ななえ)/鈴木保奈美
- 汐路の母
- 夫・弥(わたる)が故人につき、相続権がない
- 赤峰 一平(あかみね いっぺい)/野間口徹
- ゆらの夫
- 赤峰 さち(あかみね さち)/秋山加奈
- ゆらと一平の娘
【孫の祖父と、その4人の実子】
- 狩集 幸長(かりあつまり ゆきなが)/石橋蓮司
- 汐路たちの祖父
- 実子4人は8年前の交通事故で全員死亡
- 狩集 弥(かりあつまり わたる)/滝藤賢一
- 汐路の父で、幸長の実子の1人
- 8年前の交通事故で死亡
- 波々壁 長子(はかべ ながこ)/岩橋道子
- 波々壁 新音の母で、幸長の実子の1人
- 8年前の交通事故で死亡
- 狩集悟(かりあつまり さとる)/蒲田哲
- 狩集 理紀之助の父で、幸長の実子の1人
- 8年前の交通事故で死亡
- 八木下 幸恵(やぎした さちえ)/吉澤智美
- 赤峰ゆらの母で、幸長の実子の1人
【狩集家をサポートする人々】
- 車坂 義家(くるまざか よしいえ)/段田安則
- 狩集家の顧問弁護士、朝晴の祖父
- 真壁 軍司(まかべ ぐんじ)/角野卓造
- 狩集家の顧問税理士
- 車坂 朝晴(くるまざか あさはる)/松下洸平
- 弁護士を目指している、汐路の初恋の相手
- 鯉沼 鞠子(こいぬま まりこ)/松坂慶子
- 幸長のいとこで、幸長の世話をしていた
【その他】
- 宝田 完次(たからだ かんじ)/ダンディ坂野
- 鯉沼鞠子の弟で、自殺
- 君原 奈津子(きみはら なつこ)
- パワーストーンアクセサリーデザイナー
- 志波 一巳(しば かずみ)/でんでん
- 広島県警刑事
- 8年前の狩集家の4人死亡事故を担当
- 犬堂 我路(いぬどう がろ)/永山瑛太
- 整がある事件で出遭った青年
- 汐路に整を紹介した
映画『ミステリと言う勿れ』のネタバレ無しなあらすじ
久能整は、とある事件に巻き込まれて見たかった「印象派展」を見逃してしまいます。
そして、その作品を追って、次なる作品の展示場所・広島に向かいます。
「事件ホイホイ」の久能整は、そこで、またもや事件に巻き込まれてしまいます。
それは、遺産相続に伴う遺族同士の殺し合い!?
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狩集家の当主がなくなり、顧問弁護士・顧問税理士が遺族に遺言を開示します。
当主の4人の子どもたちは8年前に4人が同乗した車が事故を起こして全員死亡。
彼らの配偶者には相続を認めず、4人の子どもの子ども、すなわち4人の孫に「とある課題を出して、満足すべきレベルの答えを出した者」が全ての遺産を相続するという内容でした。
4人とは…
- 狩集 汐路(かりあつまり しおじ)/原菜乃華
- ヒロイン・祖父の遺産相続で争う4人の孫の1人
- 高校生
- 狩集 理紀之助(かりあつまり りきのすけ)/町田啓太
- 祖父の遺産相続で争う孫の1人
- 臨床検査技師
- 波々壁 新音(ははかべ ねお)/萩原利久
- 祖父の遺産相続で争う孫の1人
- サラリーマン
- 赤峰 ゆら(あかみね ゆら)/柴咲コウ
- 祖父の遺産相続で争う孫の1人
- 専業主婦
彼らにどんな課題が出されたのか…。
それは、広大過ぎるほどの本宅にある4つの蔵の鍵を孫4人に渡し、その蔵を確認した上で…
- あるべきものを、あるべきところへ、過不足なくせよ
というもの。
その結果を顧問弁護士と顧問税理士が判定し、唯一の相続者を決定するというもの。
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ところで、狩集家では、相続の度に、相続を巡って有資格者の殺し合いが展開されてきたという歴史がある。
それを懸念した最年少の孫・狩集 汐路(かりあつまり しおじ/演・原菜乃華)が広島に来た久能整に声がけをして、「ボディーガード兼謎を解き明かす相棒」として雇ったのだ。
雇うと言えば聞こえがいいが、「否」を言わせずに、久能を事件に巻き込んだ。
かなり、大胆不敵な高校生だ。
ちなみに、なぜ、汐路が久能整に目をつけたかというと、知り合いだった犬童我路から「久能整を推薦された」から。
一方、久能整は、これまた巻き込まれた過去の事件で犬堂我路とは知り合いである。
汐路が我路の紹介と口にしたことで、整は彼女の申し出を強く拒否することなく、巻き込まれたという次第。
さて、実際に殺し合いが始まり!?
視聴者に響いた9つの名言句の提示
作品のなかから時系列に9つの名言句をピックアップしてみました。
名言句1〜作品20分頃
孫の一人が、みんなを出し抜くために、他の孫(つまり従姉妹)の幼い娘から情報を聞き出そうとする。
そんなときに、久能整がその悪巧みをしようとした孫を説諭。
- そういうことやっちゃだめです。子どもって乾く前のセメントみたいなんですって。落としたものの形がそのまま痕(あと)になって残るんですよ。だから子どもをスパイにしちゃだめです。一生、悔やむことになる。自分がうっかり話してしまったことを、親の足をひっぱってしまったことを、一生悔やむんです。子どもはバカじゃないです。自分が子どもの頃バカでしたか?
なお、このどこが名言で、どんな影響を及ぼす言葉なのか…という解析は省きます。
ぜひ、作品を見て、感じて、そして考えてください。
名言句2〜作品40分頃
汐路のボディーガードとなった久能整。
しかし、汐路のいただけない行動を目にして、それを許すことなく説諭しはじめます…。
- 聞いて下さい、汐路さん。聞いて下さい、はぐらかさずに、逃げずに、いいかげん聞いて下さい。(中略)ドラマとかでもそうです。証拠を出してみろというのはたいてい犯人です。無実の人はそんなことは言わないと常々思っています。汐路さん、我路君はあなたを止めたかたんだと思う。本当に人を殺してしまう前に。闇があるのは一族ではなくて、あなたです。(中略)どうしてそんなことを子どもに、セメントが固まる前に、あなたは何を落とされたんだろう。
久能整は、なかなかの「説諭好き」です。
ちなみに、この名言句2は、前掲の名言句1の理解がベースにないと分かりにくい。
なお、この名言句の解説は前述同様、省略します。
名言句3〜作品44分頃
敵対していた相続候補者の4人の孫たち。その4人が協力すべく話し合いを久能整に申し出てきた。
- みなさん、ホラー映画って見ます?殺人ものとか。あれで問題になるのって、みんながバラバラになることなんです。全員いっしょにいれば防げることもあるのに、なぜかバラバラになって、一人ずつ殺されるんですよ。だから、みんなで協力しませんかという話をしたかったんです。もし、みんなを殺して財産を独り占めしたいと思ってもいなければ。
名言句4〜作品72分頃
相続候補の赤嶺ゆらに対して、その父が「お前は家で子どもの面倒を見ていればいいんだ」というような発言をする。それを聞いた久能整がその父に対して説諭を始める。
- どうしてそう(女は家でのんびり子育てだけすればいい)思えるんだろ。楽とか、のんびりとかって、女性は家事と子育てが好きだし向いているって、何故か信じている人がいるんですけど、じゃあ、逆に男性は力があるんだから肉体を使って永遠に重労働をしてねって言われたら、「良しOK」という人と、「いや体が弱いんで無理です」とか、それぞれに声があがると思うんですよ。で、実際そうやって人生を選んでいる。女性もそうだと思いませんか?というか全人類の半分を一律で括るのは、おかしくないですか?たとえば家事にしたって、掃除だけは好きとか、料理だけはしたくないとかあるだろうし、さらに体格がいいか筋力があるか持病があるかで、同じことをやっても疲れ方が違うわけです。「人による」ということです。楽かどうか、したいかどうか。それはその人にしかわからない。他の人が決めていいことじゃない。楽させてあげたいならわかるんです、でも、それはあなたの気持ちであって、彼女の思いは違うかもしれない。たとえば、ある人が長距離を移動するのに、楽だろうと車で送ってあげたとします。あなたは、それを楽だと思う。でも、その人は車酔いするからいやだったかもしれない、歩きたかったかもしれない。でも、そう言えなかったかもしれない。他の人には決められない。人には気持ちがあるから、望みはそれぞれだから。それと、ボクは常々思っているんですが、もし家に居て、家事と子育てをすることが本当に楽なことだったら、もっと男性がやりたがると思う。でも、実際はそうじゃない。ということは、男性にとってしたくない、できないことなんです。なのになんで、女性にとって楽なことだと思うんだろう。(君はなんで私に説教しいるんだという声に対し)あなたが目の前の人がどんな顔をしているかに気づいていないからです。
その後、ゆらが整の手を引いて、父から離す。そこで、整がゆらに言う。
- でも、付け加えると女の幸せとかにも騙されちゃだめです。それを言い出したのは多分おじさんだと思うから。女の人から生まれたことではきっとない。女性をある型にはめるために編み出された呪文です。だって、男の幸せって言い方はされないでしょ。片方だけあるのはやっぱりおかしいんですよ。ただのおじさんの意見や感想が自然の摂理や事実みたいに言われてしまっているんです。(中略)世の中に残っているそういう言葉は、おじさんが言ったことがほとんどで、おじさんの趣味と都合が隠されている。そんなものじゃなく、自分の中から出てきた言葉を使ってください。そのほうがさっちゃんは、子どもは絶対に嬉しいです。
細かい解説無しは、前掲同様。
ただし、一つだけ。
この整の冗長的な説諭(?)ですが、苦々しくこれを聞いた相手たちの何かが少しずつ変わるんです。
そのプロセスは、原作漫画第1巻を読むと、その特徴的な成果(?)が実感できます。
名言句5〜作品69分頃
とあるシーンで、幼少から絵を書くのが好きだった汐路が、中学で美術部に入り、自分は絵を書くのが下手ということを実感して描くのを辞めたと、整に吐露。それに対し…
- それ、ボクいつも思うんですけど、自分が下手だってわかる時って、目が肥えてきたときなんですよ。本当に下手な時って、下手なのもわからない。ゆがんでたり、まちがってたり、はみだしていても気が付かない。それに気づくのは、上達してきたからなんですよ。だから、下手だと思ってきた時こそ、伸び時です。
名言句6〜作品102分頃
汐路は、心から信じていた人物から、衝撃的な毒のある言葉を吐かれて号泣します。
そんな汐路に整が声がけします。
- 半ぶっこして、大きい方くれる人がやさしいとは限らないです。
あえて、ここも何もコメントしません。
名言句7〜作品105分頃
犯人は以外な人物だった。その犯人が汐路に毒を吐く。そんな犯人に向かって整が説く。
- カバだったんですね。ボクはカバの歯は円柱だと思っていた。カバの歯はどこまでも伸びて凄い歯になるんです。自分を傷つけて危ないから、動物園なんかでは切っているだけなんです。それを聞いた時、ものすごくびっくりしました。あなたたちの牙もみんなは知らなかった。でも同時にあなたたちも自分たちの歯は円柱だと先祖代々信じ込まされてきたのかもしれない。本当の自分を見ることもなく。ある映画のセリフで、犯罪とは人の努力が裏側に出ているのだというのがあるんですが、きっと努力ではあったんだと思います。
名言句8〜作品107分頃
警察に連行されようとしている犯人たちに対して、整が吐く。
- だから「義」がない。蔵の名前の8つの漢字です。「明聡温恭忠敬問難」。論語の九思だと思いますが、だったら1つ足りない。一番大事だと思われる「義」がない。「義」とは正しい路を表すものです。さすがにつけられなかったんですね。ご先祖は悪事だと分かっていた。
名言句9〜作品117分頃
汐路たち4人の孫たちは、整に導かれて、狩集にとっての重要人物と邂逅。
いろいろあって、その場で、汐路に整が説く。
- 汐路さん、お母さんとカウンセリングを受けてみるのもいいと思います。ボクはアメリカの刑事ドラマをよく見るんですが、刑事が犯人を殺したり、逆にひどい目にあったりした時、必ずカウンセリング受けさせられている。カウンセラーのOKが出ないと、仕事に復帰できないんです。それってたぶん、人の弱さを認めているからなんだと思う。人は弱くて、壊れやすくて、病むことも、倒れることもある。それが当たり前だと。だから修復する。直そうと思う。それができると信じている。翻って日本では、弱さを認めない。弱い者は負けで、壊れないのが正しい。壊れたら退場で、悩むことすら恥ずかしい。相変わらず根性論です。弱くて当たり前だと誰もが思えたらいい。汐路さんは時々、否定疑問文で聞く。「しない?」とか、「いかない?」とか、傍若無人で容赦ないのに、いつも怖がってる。お芝居をする。マフラーを巻くのが怖いと言う。セメントに落とされたものが、おそらくたくさんある。でも、あなたはまだ子どもだから、セメントが固まりきってないから、きっと少し穴を埋めることができると思います。
まとめ
映画『ミステリーと言う勿れ』は、菅田将暉の圧倒的な演技力と久能整の名言句によって、多くの視聴者に強い印象を残しました。
彼が発する言葉の一つ一つには、現代を生きる私たちにとっても大切なメッセージが込められています。
個々の人生や人間関係の在り方について深く考えさせられるこれらの名言句は、久能整の人生観や人間理解を示すものであり、視聴者にとって共感を呼び起こす要素となっています。
今後もこの映画は、名言句の数々を通じて、観る者に人生や社会の在り方を再考させる力を持ち続けるでしょう。
菅田将暉の演技がそれを一層引き立て、久能整というキャラクターは多くの人々にとって忘れられない存在となりました。
同作品は、FODやNetflixで視聴が可能です。
視聴をおすすめします!
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