2024年8月23日に公開された映画『ラストマイル』は、その豪華なキャストと、社会派のテーマで大きな注目を集めています。
特に、多くのファンが熱狂する理由の一つが、人気ドラマ『アンナチュラル』(2018年放送)と『MIU404』(2020年放送)と同じ世界線で物語が展開する「シェアード・ユニバース作品」であることです。
塚原あゆ子監督、野木亜紀子脚本家、新井順子プロデューサーという、これまでのヒット作を生み出してきた「最強タッグ」が再び集結し、法医学ミステリーと機捜エンターテインメントのキャラクターたちが、一つの壮大なサスペンスに挑みます。
この記事では、まだ『ラストマイル』をご覧になっていない方も、すでに鑑賞済みの方も、本作の魅力を深く掘り下げていきます。
映画『ラストマイル』の作品概要
まずは作品概要から…。
作品概要
- 監 督:塚原あゆ子
- ドラマ『アンナチュラル』・『MIU404』の演出
- 脚 本:野木亜紀子
- ドラマ『アンナチュラル』・『MIU404』の脚本
- プロデューサー:新井順子
- ドラマ『アンナチュラル』・『MIU404』のプロデューサー
- 公 開:2024年8月23日
- 上映時間:128分
- 出 演:
- 満島ひかり、岡田将生、ディーン・フジオカ
- 中村倫也、火野正平、大倉孝二、丸山智己
- 石原さとみ、綾野剛、星野源 ほか
- 主 題 歌:米津玄師「がらくた」
- 評 価:Filmarks 4.1点(5点満点)
- 興行収入:59.6億円
主な登場人物
【DAILY FAST関係者たち】
- 舟渡 エレナ(ふなと えれな) / 満島 ひかり
- ネットショッピング「DAILY FAST」西武蔵野ロジスティクスセンターの新任センター長。
- 梨本 孔(なしもと こう)/ 岡田 将生
- 「DAILY FAST」西武蔵野LCのチームマネジャー。
- 五十嵐 道元(いがらし どうげん)/ ディーン・フジオカ
- 「DAILY FAST」ジャパンの統括本部長で、エレナの上司。
- 山崎 佑(やまさき たすく)/ 中村 倫也
- 「DAILY FAST」西武蔵野LCの元チームマネジャーで、5年前にLC内で飛び降りて、現在意識不明。
【羊急便関係者たち】
- 佐野 昭(さの あきら)/ 火野 正平
- 一人親方で佐野運送を営み、羊急便と委託ドライバー契約をしている。
- 佐野 亘(さの わたる)/ 宇野 祥平
- 佐野昭の息子で、会社倒産で父の元で配達員見習いをしている。
- 八木 竜平(やぎ りゅうへい)/ 阿部 サダヲ
- セールスドライバー出身で羊急便の関東局局長。
【警察関係者たち】
✅ 印はドラマ『MIU404』の登場人物
- 桔梗 ゆづる(ききょう ゆづる)/ 麻生 久美子 ✅
- 警視庁西武蔵野警察署署長・警視。
- 毛利 忠治(もうり ただはる)/ 大倉 孝二 ✅
- 西武蔵野署刑事・巡査部長で刈谷とバディ。
- 刈谷 貴教(かりや たかのり)/ 酒向 芳 ✅
- 警視庁刑事部捜査第一課刑事・警部補で毛利とバディ。
- 志摩 一未(しま かずみ)/ 星野 源 ✅
- 警視庁刑事部第4起動捜査隊(MIU404)刑事・巡査部長、伊吹とバディ。
- 伊吹 藍(いぶき あい)/ 綾野 剛 ✅
- 警視庁刑事部第4起動捜査隊(MIU404)刑事・巡査部長、志摩とバディ。
- 小田島 克己(おだじま かつみ)/ 丸山 智己
- 警視庁刑事部貘物処理班班長・警部。
【不自然死究明研究所(UDIラボ)関係たち】
✅ 印はドラマ『アンナチュラル』の登場人物
- 三澄 ミコト(みすみ みこと)/ 石原 さとみ ✅
- UDIラボ法医解剖医、三澄班班長。
- 東海林 夕子(しょうじ ゆうこ)/ 市川 実日子 ✅
- UDIラボ、三澄班の臨床検査技師。
- 中堂 系(なかどう けい)/ 井浦 新 ✅
- UDIラボ法医解剖医、中堂班班長。
- 坂本 誠(さかもと まこと)/ 飯尾 和樹(ずん)✅
- UDIラボ、中堂班の臨床検査技師。
- 神倉 保夫(かみくら やすお)/ 松重 豊 ✅
- UDIラボ所長。
- 久部 六郎(くべ ろくろう)/ 窪田 正孝 ✅
- UDIラボの元アルバイトで、東央偉大研修生。
- 三澄 夏代(みすみ なつよ)/ 薬師丸ひろ子 ✅
- ミコトの養母で弁護士。
- 毛利 忠治(もうり ただはる)/ 大倉 孝二 ✅
- 西武蔵野署刑事で、UDIラボへの解剖依頼で度々登場。
あらすじ
物語は、世界規模のショッピングサイト「DAILY FAST」の人気企画「ブラックフライデー」前夜からスタート。この日、日本で連続爆破事件が起きました。「DAILY FAST」から配送された段ボール箱が次々と爆発。日本中がパニックに陥ります。
そんな最悪の時期に、主人公の舟渡エレナ(満島ひかり)は、「DAILY FAST」の巨大物流倉庫「西武蔵野ロジスティクスセンター」(以下、西武蔵野LC)のセンター長として赴任。
そして、エレナは、部下であるチームマネジャー・梨本孔(岡田将生)とともに、この未曾有の事態収拾に奔走します。
やがて、12個の爆弾が、西武蔵野LCを経由して配送されていることがわかり…。
タイトルにある「ラストマイル」とは、物流業界の専門用語で、最終拠点から顧客に荷物を届けるまでの最後の区間を指します。まさに、現代社会の物流の最前線を舞台に、命の尊厳と社会の歪みを問いかけるノンストップサスペンスが繰り広げられます。
ところで、主題歌は米津玄師さんが手掛ける「がらくた」です。ちなみに、米津玄師さんはドラマ『アンナチュラル』では「Lemon」、ドラマ『MIU404』では「感電」で主題歌を担当しています。
シェアード・ユニバースの魅力!豪華クロスオーバーキャスト
『ラストマイル』最大の魅力は、やはり『アンナチュラル』と『MIU404』の世界観が融合し、両ドラマのキャラクターたちが総集結することです。
異なる専門分野を持つ彼らが、連続爆破事件の解決に向けて協力し合う「胸アツ展開」は、ファンならずとも必見です。
ちなみに、映画・ドラマ評価サイト「Filmarks」では、映画『ラストマイル』は4.1点(5点満点)、ドラマ『アンナチュラル』は 4.4点、ドラマ『MIU404』は 4.3点。この評価サイトで 4.0点以上の評価点がつく映画・ドラマは極めて少ないです。
映画『ラストマイル』の高評価は、同じく高評価で人気を博したドラマ『アンナチュラル』とドラマ『MIU404』のスタッフ・キャストが結集された力なのかもしれません。
シェード・ユニバースとは?
シェアード・ユニバースとは、複数の独立した作品が、同じ一つの世界観や設定を共有している作品群のことを指します。物語の舞台となる世界、歴史、登場人物、ルールなどが共通しており、それぞれの作品が壮大な物語の一部を構成しています。
最も有名な例が、映画シリーズの「マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU)」です。例えば、『アイアンマン』という単独ヒーローの映画と、『キャプテン・アメリカ』の映画は、それぞれ独立した物語として楽しめます。
しかし、両者は同じ世界に存在しており、ある作品の出来事が別の作品に影響を与えたり、片方の作品のキャラクターがもう一方の作品に登場したりします(これをクロスオーバーと呼びます)。
そして最終的に、『アベンジャーズ』のようにヒーローたちが集結する作品で、個々の物語が大きな一つの流れに繋がっていきます。
この手法の最大の魅力は、世界観の広がりと深みです。ファンは個別の作品を楽しむだけでなく、作品間の隠された繋がりや伏線を探す楽しみも味わえます。また、お気に入りのキャラクターが別の作品で活躍する姿を見られるクロスオーバーは、大きなイベントとして期待感を高めます。
作り手側にも、一つの作品がヒットすれば、同じ世界の別のキャラクターを主人公にしたスピンオフ作品を展開しやすく、シリーズ全体の人気を維持しやすいというメリットがあります。
映画『ラストマイル』におけるシェアード・ユニバース
映画『ラストマイル』では、大人気ドラマ『アンナチュラル』と同じく大人気だった『MIU404』が融合して化学変化を起こしています。
監督(演出)、脚本、プロデューサーが同じ。主題歌担当も米津玄師さんで同じ。そして、豪華キャストがクロスオーバー。
視聴者は大好きだったドラマたちのデジャヴの連続で、混乱するものの、すぐに没入状態に。
『アンナチュラル』からの登場人物たち
不自然死の謎を解き明かす「不自然死究明研究所(UDIラボ)」のメンバーたちが、配達物爆破事件の犠牲者の遺体解剖を通じて捜査に協力します。前述の「主な登場人物」と情報としては一部重複しますが、重要ポイントなので、もう一度。前述よりも少し詳しく書きますね。
- 三澄ミコト(石原さとみ):
- UDIラボの法医解剖医。連続爆破事件の犠牲者の遺体解剖を担当し、犯人が自殺した可能性を突き止めます。
- 中堂系(井浦新):
- UDIラボの法医解剖医。ミコトと共に遺体解剖にあたり、冷静かつ鋭い視点で真相に迫ります。
- 久部六郎(窪田正孝):
- 元UDIラボのアルバイトで、現在は東央医大の研修医。山崎佑(DAILY FASTの元チームマネージャー)の入院当初の様子について、伊吹と志摩に情報を提供します。
- 東海林夕子(市川実日子):
- UDIラボ“三澄班”の臨床検査技師。ミコトの頼れる同僚として活躍します。
- 木林南雲(竜星涼):
- フォレスト葬儀社に勤務し、事件の遺体をUDIラボへ搬送します。
- 坂本誠(飯尾和樹):
- UDIラボ“中堂班”の臨床検査技師。中堂とのユニークな関係性も健在です。
- 毛利忠治(大倉孝二):
- 西武蔵野署所属の刑事。本作では警視庁捜査一課の刈谷貴教刑事とコンビを組み、事件捜査にあたります。
- 彼は「アンナチュラル」「MIU404」「ラストマイル」の3作品すべてに出演し、まさにシェアード・ユニバースをつなぐ存在です。
- 向島進(吉田ウーロン太):
- 西武蔵野署所属の刑事。本作では警視庁捜査一課の田島雄介とバディを組み、爆弾を制作した春日信二の逮捕に関わります。
- 三澄夏代(薬師丸ひろ子):
- ミコトの義理の母親で弁護士。山崎佑の父親が起こそうとしていた裁判について、毛利と刈谷に情報をもたらします。
- 神倉保夫(松重豊):
- UDIラボの所長。人手不足のUDIラボでは、自身も雑用をこなす姿が描かれます。
- 白井一馬(望月歩):
- 高校生の頃に事件を起こしUDIラボと関わった人物。本作では、デリファスのバイク便ドライバーの一人として登場し、その成長した姿に多くのファンが涙しました。
『MIU404』からの登場人物たち
警察の初動捜査のプロフェッショナル「機動捜査隊(機捜)」のメンバーたちも、連続爆破事件の捜査に加わります。
- 伊吹藍(綾野剛):
- 警視庁刑事部第4機動捜査隊の刑事。“野生のバカ”と称される抜群の機動力と運動神経で、志摩と共に山崎佑のマンションの初動捜査を行います。
- 志摩一未(星野源):
- 警視庁刑事部第4機動捜査隊の刑事。観察眼と社交性に長けた理性的な刑事で、伊吹と共に山崎佑のマンションの初動捜査を行います。
- 陣馬耕平(橋本じゅん):
- 警視庁刑事部第4機動捜査隊の班長。商業施設で起きた爆発事件の初動捜査を担当します。
- 勝俣奏太(前田旺志郎):
- 警視庁刑事部第4機動捜査隊の刑事で、陣馬のバディ。高校生の頃に虚偽通報事件を起こし、機捜のメンバーと関わった人物が警察官として成長した姿は、**「なんて優しい世界線なんだ」**と感動を呼びました。
- 糸巻貴志(金井勇太):
- 警視庁刑事部第1機動捜査隊スパイダー班の班長。情報分析のスペシャリストとして登場します。
- 刈谷貴教(酒向芳):
- 警視庁捜査一課の刑事。本作では毛利忠治刑事とバディを組み、その掛け合いでチャーミングな一面も見せています。
- 田島雄介(永岡卓也):
- 警視庁捜査一課の刑事。向島進とバディを組み、春日信二の逮捕に関わります。
- 桔梗ゆづる(麻生久美子):
- 警視庁西武蔵野警察署署長。連続爆破事件捜査の指揮を執る特別捜査本部の本部長を務めます。
『ラストマイル』が問いかける社会問題とメッセージ
『ラストマイル』は、単なるサスペンス映画に留まりません。作中では、現代の物流業界が抱える歪みや、過酷な労働環境、そして「働くとは何か」という普遍的なテーマが深く描かれています。
塚原監督が企画当初に「荷物が爆発する話」というアイデアを出した際、時代はちょうどコロナ禍に突入し、オンラインショッピングが一般化して物流に歪みが生まれ始めていた時期でした。
この偶然の巡り合わせが、作品に現代社会への鋭い問いかけをもたらしています。
また、作中に登場するデリファスの「ブルーパス」「ホワイトパス」といった階級分けや、倉庫内のシステム描写も、実際の物流現場から取材を重ねて制作されており、そのリアルさが「働く」ことの意味を深く考えさせられます。
映画をより楽しむための予習ポイント(プチネタバレ!)
「ドラマを観ていないと楽しめないのでは?」と心配する方もいるかもしれませんが、ご安心ください。『ラストマイル』は、単独の作品としても十分に楽しめるように作られています。
しかし、もし時間があるなら、ぜひ『アンナチュラル』と『MIU404』を観てから鑑賞することをおすすめします。特に、以下のエピソードをチェックしておくと、キャラクターたちの背景や、作中で流れる音楽が「とてつもなく愛おしく感じる」でしょう。
- 『アンナチュラル』第7話:ある高校生とUDIラボの出会いが描かれます。
- 『MIU404』第3話:虚偽通報事件と、機捜メンバーたちの活躍が描かれます。
映画『ラストマイル』のラスト部分は、観る者たちに考えさせる演出となっています。正解があるというわけではなく、一人一人が考える、そのきっかけ。
『ラストマイル』誕生秘話と制作陣のこだわり
実は、『ラストマイル』は企画当初、シェアード・ユニバースにするという明確な構想はなかったそうです。
しかし、プロデューサーの新井順子さんやエグゼクティブプロデューサーの那須田淳さんの「ドラマの主演キャストが全員出演しなければシェアード・ユニバースにならない」という強い主張を受け、脚本家の野木亜紀子さんが全員登場を前提に脚本を執筆したといいます。
さらに驚くべきは、星野源さんがラジオで明かしたエピソード。
彼は『MIU404』を撮る前から『ラストマイル』の構想を聞いており、『MIU404』に『アンナチュラル』の場面が登場するのも、実は『ラストマイル』への「伏線」だったとのこと。
これには多くのファンが、その壮大なスケールと伏線回収の巧みさに舌を巻きました。
まとめ
満島ひかりさん主演映画『ラストマイル』は、『アンナチュラル』『MIU404』の豪華キャストが奇跡の集結を果たし、予測不能なサスペンスと現代社会への鋭いメッセージが融合した、まさに「社会派エンターテインメント」の傑作です。
ドラマの世界観を知るファンにとっては、愛しいキャラクターたちの「その後の世界」を体験できる胸アツな作品であり、初めてこの世界に触れる方にとっても、「働くとは何か」「社会の歪み」について深く考えさせられる、骨太な物語がそこにあります。
ぜひ、劇場や配信で、この壮大な物語の「ラストマイル」をご自身の目で確かめてみてください。
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