弱き家康の「どうする?」が続く第二章…
2023年放送のNHK大河ドラマ『どうする家康』は、従来の英雄像とは異なる「弱き家康」が、数々の選択を迫られながら成長していく物語を描いています。
特に物語の中核をなす「第二章」(第13回〜第25回)では、家康が「信長包囲網」の危機、武田信玄との激突、そして己の妻子との悲しい決別という、人生最大の試練に直面する激動の時代が描かれます。
この記事では、第二章の全あらすじを徹底解説し、主要な登場人物の動向、そしてドラマが提示する新解釈に焦点を当てることで、作品をさらに深く楽しむためのポイントをまとめます。
- 第二章(第13回〜第25回)の物語全体の流れ。
- 第二章における主要な登場人物の動向や家康との関係性。
- ドラマの描写が史実とどのように異なるのか、特に瀬名や信康にまつわる新解釈と背景。
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『どうする家康』第二章の全体像
揺れ動く家康の試練…
第二章は2023年4月2日から7月2日まで放送され、京、北近江、遠江の浜松などが主な舞台となりました。
この章では、清洲同盟後の織田信長との共闘、そして武田信玄との直接対決を通じて、弱き家康が天下人としての資質を試され、苦渋の決断を迫られる過程が丹念に描かれています。家康は、桶狭間後の独立を経て、想像を絶する困難と苦渋の決断を迫られながら、少しずつ天下人としての片鱗を見せていく試練の序章を歩みます。
家康を取り巻く主要人物:
- 織田信長:
- 家康にとって畏怖すべき存在であり、時には非情な命令を下す盟友として登場します。
- 武田信玄:
- 圧倒的な武力を持ち、家康を絶体絶命のピンチに追い込む宿敵です。
- 瀬名(築山殿):
- 家康が深く愛し、精神的な支えとなる正室です。第二章では独自の理想を抱き、新たな行動を起こします。
- 松平信康:
- 家康の嫡男で、岡崎城主として成長を遂げるも、運命に翻弄されます。
- 松平家臣団:
- 酒井忠次、石川数正、本多忠勝、榊原康政、本多正信、服部半蔵といった個性豊かな面々が、家康を支え、時には反目しながら物語を彩ります。
各話あらすじと重要イベント詳細
第二章では、家康が直面する大きな戦いや人間関係の転換点が描かれました。
それは家康の決断の軌跡です。
第13話「家康、都へゆく」
家康は信長の命により上洛し、将軍・足利義昭に謁見します。嫡男・信康と五徳姫の不仲に悩む家康は、京で金平糖を買って帰ると約束します。
第14話「金ヶ崎でどうする!」&第15話「姉川でどうする!」
信長に合流した家康は、越前・朝倉義景討伐に出陣しますが、同盟相手の浅井長政が裏切り、織田軍は金ヶ崎の退き口で絶体絶命のピンチに陥ります。家康は信長の退却を助け、姉川の戦いで浅井・朝倉連合軍を破ります。
第16話「信玄を怒らせるな」
浜松に入った家康は民の信頼を得ようとしますが、義弟・松平源三郎勝俊が武田の人質として酷い目に遭っているとの報を受け、救出を画策します。
第17話「三方ヶ原合戦」&第18話「真・三方ヶ原合戦」
ついに武田信玄が遠江へ侵攻。家康は信長の援軍を待つも、武田軍の巧妙な動きに翻弄され、三方ヶ原の戦いで屈辱的な大敗を喫します。家臣たちの犠牲によって命からがら生還した家康は、己の弱さを痛感します。
第19話「お手付きしてどうする!」
三方ヶ原で大勝した武田軍が突然引き返し始め、武田信玄の死の噂が広まります。
第20話「岡崎クーデター」
信玄の死後も武田軍を恐れる信長は家康に武田家討伐を命じます。岡崎では信康の家臣・大岡弥四郎が不穏な動きを見せ始めます。
第21話「長篠を救え!」&第22話「設楽原の戦い」
武田勝頼軍に包囲された長篠城の援軍要請に対し、家康は信長に助けを求めます。信長は条件を提示し、長篠の戦い(設楽原の戦い)で織田・徳川連合軍は武田軍を撃破しますが、家康は信長の冷徹な戦略に直面します。
第23話「瀬名、覚醒」&第24話「築山へ集え!」
瀬名は戦乱を終わらせるため、武田の間者・望月千代や武田重臣・穴山信君と接触し、「慈愛の国」構想を練り始めます。家康の母・於大の方や今川氏真夫妻もこの構想に賛同します。
第25話「はるかに遠い夢」
瀬名と信康の武田との内通が発覚し、信長から処断を命じられます。家康は二人を助けようとしますが、信康は自害。瀬名も家康に看取られながら自刎し、家康に「戦なき世」への夢を託します。
第二章における史実との相違点とドラマの新解釈
『どうする家康』は、史実を踏まえつつも、新たな解釈や創作を盛り込むことで、徳川家康の人間像を深く掘り下げています。第二章における主な相違点と新解釈は以下の通りです。
弱き家康像の継続
ドラマは一貫して、従来の「英雄・家康」とは異なる、気弱で優柔不断ながらも苦悩し成長する「弱きプリンス」としての家康を描き続けています。これは、第二章の激しい戦乱の中での彼の人間的な葛藤を際立たせています。
瀬名と家康の夫婦仲の描写
史実では政略結婚とされ、「悪女」のイメージが強かった瀬名ですが、ドラマでは結婚前から家康と相思相愛の「恋女房」として描かれています。第二章では、彼女が「慈愛の国」という理想を抱き、そのために自ら行動する新たな人物像が提示され、最期まで家康との深い絆が描かれました。これは史実との大きな相違点であり、ドラマの最も重要な新解釈の一つです。
火縄銃の描写
第一章に引き続き、第2話で描かれた松平昌久配下の火縄銃連射シーンは、当時の火縄銃が単発式であり、1発の発砲に約30秒を要した史実と異なります。これは、信長の過激さや緊迫感を演出するための創作と解釈できます。
三方ヶ原の戦いにおける家康の「脱糞」
史実の逸話として知られる家康の脱糞については、ドラマでは恐怖による生理現象として描かれ、彼の人間的な弱さや極限状態での心情を強調する演出として解釈できます。
時代考証とフィクションのバランス
脚本の古沢良太氏は、「歴史は様々な解釈ができるから面白い」という意図で、考証担当と確認しつつも、あえて旧説や逸話を取り入れたと述べています.これにより「史実に忠実か」という批判も一部で見られましたが、これは「弱きプリンス」としての家康の成長物語を描くための、新しい大河ドラマの挑戦であると言えます。
『どうする家康』第二章のよくあるQ&A
『どうする家康』第二章(第13回〜第25回)のよくあるQ&Aをまとめました。
Q1: 『どうする家康』の第二章は、どのような内容が描かれましたか?
A1: 第二章(第13回〜第25回)では、弱き家康が天下人としての資質を試され、苦渋の決断を迫られる激動の時代が描かれました。具体的には、信長包囲網の危機、武田信玄との激突、そして自身の妻子との悲しい決別という、家康が人生最大の試練に直面する過程が丹念に描かれています。放送期間は2023年4月2日から7月2日までで、京、北近江、遠江の浜松などが主な舞台となりました。
Q2: 第二章で徳川家康が直面した最大の試練は何でしたか?
A2: 第二章で家康が直面した最大の試練は、大きく分けて二つあります。
- 一つは、武田信玄との「三方ヶ原の戦い」での屈辱的な大敗です。家臣たちの犠牲によって命からがら生還した家康は、己の弱さを痛感しました。
- もう一つは、正室・瀬名と嫡男・松平信康との悲しい別れです。瀬名の「慈愛の国」構想が武田との内通として発覚し、織田信長から処断を命じられ、最終的に信康は自害、瀬名も家康に「戦なき世」への夢を託して自刎するという、決定的な転換点となりました。
Q3: 第二章における瀬名(築山殿)の人物像は、どのように描かれましたか?
A3: 第二章では、瀬名がドラマの最も重要な新解釈の一つとして描かれました。史実で「悪女」のイメージが強かった瀬名とは異なり、ドラマでは結婚前から家康と相思相愛の「恋女房」「慈愛の国」という独自の理想を抱き、自ら行動を起こす新たな人物像が提示されました。最期まで家康との深い絆が描かれ、その信念は家康に大きな影響を与え、彼が「戦なき世」を目指す上での原動力となります。
Q4: 第二章で描かれた主な歴史的イベントと各話のあらすじを教えてください。
A4: 第二章では、以下のような重要なイベントと家康の決断が描かれました。
- 第13話「家康、都へゆく」:
- 将軍・足利義昭に謁見。
- 第14話「金ヶ崎でどうする!」&第15話「姉川でどうする!」:
- 浅井長政の裏切りによる金ヶ崎の退き口と、姉川の戦いでの織田・徳川連合軍の勝利。
- 第16話「信玄を怒らせるな」:
- 義弟・松平源三郎勝俊の救出を画策。
- 第17話「三方ヶ原合戦」&第18話「真・三方ヶ原合戦」:
- 武田信玄の遠江侵攻と、家康の屈辱的な大敗。
- 第19話「お手付きしてどうする!」:
- 武田信玄の死の噂が広まる。
- 第20話「岡崎クーデター」:嫡男・信康の家臣による不穏な動き。
- 第21話「長篠を救え!」&第22話「設楽原の戦い」:
- 長篠城の援軍要請と、長篠の戦いでの武田軍撃破、信長の冷徹な戦略に直面。
- 第23話「瀬名、覚醒」&第24話「築山へ集え!」:
- 瀬名が「慈愛の国」構想を練り始める。
- 第25話「はるかに遠い夢」:
- 瀬名と信康の武田との内通が発覚し、悲劇的な最期を迎える。
Q5: ドラマ『どうする家康』の第二章には、史実と異なる描写がありましたか?
A5: はい、第二章でも、史実を踏まえつつも新たな解釈や創作が盛り込まれています。
- ドラマは一貫して、従来の英雄像とは異なる「弱き家康」を描き続けており、彼の人間的な葛藤を際立たせています。
- 瀬名が家康と相思相愛の「恋女房」最も重要な新解釈の一つです。
- 演出面では、第一章に続き火縄銃の連射シーン(史実では単発式で発砲に時間がかかった)や、三方ヶ原での家康の「脱糞」が恐怖による生理現象として描かれ、彼の人間的な弱さを強調する演出として解釈できます。
- 脚本の古沢良太氏は、「歴史は様々な解釈ができるから面白い」という意図で、考証担当と確認しつつも、あえて旧説や逸話を取り入れたと述べており、これが「新しい大河ドラマの挑戦」であるとされています。
Q6: 主演の松本潤さんが演じる家康は、第二章でどのように評価されましたか?
A6: 松本潤さんが演じる家康については、放送中には一部で否定的な意見やアンチからの批判もありましたが、後に「評価される作品だ」と何度も言及されています。特に、彼が「甘ったれた若者」を演じていた序盤の演技は、終盤の重厚な演技ができるにもかかわらず「わざと演じていた」と評価されています。松本潤さんの演技力は高く評価されており、その後の作品(「19番目のカルテ」)によっても改めてその実力が再評価されています。作品全体として、「本当は弱い心がある一人の人間」としての家康が真摯に描かれていると評されています。
Q7: 『どうする家康』第二章は、どの動画配信サービスで視聴できますか?
A7: 『どうする家康』は、2025年8月1日からAmazonプライムビデオで全話の配信が開始されます。これは、 Amazonプライム会員であれば追加料金なしで視聴できる「見放題」対象作品となっており、通常NHK作品の視聴に必要だったNHKオンデマンドへの月額990円の追加加入が不要であるため、 NHK大河ドラマ史上初の画期的な試みであると評価されています。また、NHKオンデマンドやU-NEXTのNHKオンデマンドでも視聴が可能です。Amazonプライムでの無料配信は、Amazonの新規会員獲得とNHKの若年層へのリーチ拡大という、両社の戦略的な判断によるものと分析されています。
まとめ
試練を乗り越え、天下人への道を歩み始めた家康の「成長物語」…
『どうする家康』の第二章は、桶狭間後の独立を経て、織田信長、武田信玄という強大な相手との戦いを通じて、家康が想像を絶する困難と苦渋の決断を迫られながら、少しずつ天下人としての片鱗を見せていく試練の序章でした。
特に、三方ヶ原での大敗や、瀬名と信康との悲しい別れといった経験は、後の徳川家康を形作る上で決定的な転換点となりました。松本潤さん演じる家康は、放送中にはアンチからの批判もありましたが、後に評価される作品だと何度も言われており、松本潤さんの演技力も高く評価されています。現在、Amazonプライムビデオでは「どうする家康」が全話無料で配信されており、NHKオンデマンドに別加入しなくても視聴可能です。これは、NHK大河ドラマ史上初の試みです。
ドラマが提示する瀬名の「慈愛の国」という新解釈や、史実との比較を通じて、この物語の深みが増すことでしょう。ぜひ、この第二章のあらすじを振り返り、松本潤さん演じる家康の苦悩と成長の軌跡を再確認してみてください。
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