2024年11月場所を全休した一人横綱・照ノ富士が、12月5日、佐賀県玄海町で行われた巡業場所で「横綱土俵入り」を披露しました。
大相撲興行にとって「横綱土俵入り」は欠くべからざる儀式であり、観客にとっては大きな愉しみです。
しかし、照ノ富士は怪我や糖尿病で満身創痍の状態なので、引退はそんなに遠くないことは明らかです。
日本相撲協会としては、怪我等の休場で「横綱土俵入り」がなくなるのはとりあえず受け入れるとして、当然「横綱在位ゼロ」だけは避けたい。そんな状況にさらに切迫する事態が明らかになってきました。それは…
来年10月に行われるロンドン興行。
海外で行う晴れの舞台に「土俵入りする横綱がいない」というのではシャレになりません。
つまり…
新横綱誕生は2025年9月場所が最終期限ということになったのです。
新横綱候補は誰?
2024年9月場所と同11月場所の2場所を見る限り、来年9月場所までに新横綱になれる候補は3人に絞られます。
現大関の琴櫻、豊昇龍、大の里。
関脇陣に目を向けると、来場所に関脇に復帰するのが確実な若元春が、早いと3月場所後に大関昇進が可能。そして、5月場所と7月場所に連続優勝を果たせば、7月場所後には新横綱になれます。なれる可能性はありますが、この勢いでそれが実現する可能性は極めて小さい。なので除外。他に関脇陣に期限内に横綱になれる候補は無し。
結果、2025年9月場所を期限とする新横綱候補は、現大関の3人に絞られます。
ロンドン公演までに3人横綱も可能?
可能性だけの話ですが、11月場所に初優勝を果たした琴櫻が来年1月場所で連続優勝をすれば、1月場所後に「新横綱・琴桜」が誕生します。
その後、3月場所と5月場所で豊昇龍が連続優勝すれば「新横綱・豊昇龍誕生」、続く7月場所と9月場所で大の里が連続優勝すれば「新横綱・大の里誕生」という流れ。
この展開はあまりに出来過ぎですが、ロンドン公演までに2人横綱体制が実現する可能性は高いと見ています。そのくらい3人が飛び抜けた存在になっています。
大相撲ファンが望む新横綱は?
筆者 TOPIOが、大相撲ファンを代表し、勝手に代弁します。
長く活躍できる強い横綱を望みます。
「長い活躍をする横綱」と「強い横綱」です。
2024年12月現在、琴櫻 27歳、豊昇龍 25歳、大の里 24歳。なので、大きな怪我さえなければ「長く活躍」という要因は3人とも満たせそうです。
次に、「強い」という要因ですが、一つの目安は「優勝回数10回」でしょう。実は、もう一つあります、それは「全勝優勝回数」です。
以下に、幕内優勝10回以上の横綱を列記します。
★1場所15日制時の横綱に限ります。
- 01位 白 鵬 45回(うち全勝 16回)
- 02位 大 鵬 32回(うち全勝 8回)
- 03位 千代の富士 31回(うち全勝 7回)
- 04位 朝青龍 25回(うち全勝 5回)
- 05位 北の湖 25回(うち全勝 7回)
- 06位 貴乃花 22回(うち全勝 4回)
- 07位 輪 島 14回(うち全勝 3回)
- 08位 双葉山 12回(うち全勝 8回)
- 08位 武蔵丸 12回(うち全勝 1回)
- 10位 曙 11回(うち全勝 0回)
- 11位 栃 錦 10回(うち全勝 1回)
- 11位 若乃花(初代)10回(うち全勝 1回)
- 11位 北の富士 10回(うち全勝 3回)
- 11位 照ノ富士 10回(うち全勝 1回)
ダントツ1位の白鵬(現・宮城野親方)ですが、いろいろ言われています。しかし、優勝回数 45回・全勝 16回は化け物級の強さです。これはこれで評価すべき記録です。
また、先月お亡くなりになったNHK相撲解説でも活躍されていた北の富士。優勝回数 10回・全勝 3回。強い横綱でした。
そして、現在の一人横綱・照ノ富士も、優勝回数 10回・全勝 1回と、りっぱな強い横綱です。
この「強い」を満たすには、早々にまずは全勝優勝を果たすこと、そして優勝回数10回を重ねることです。
本当に強い横綱になれる逸材ならば、それは2025年に萌芽するでしょう。
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繰り返します。
私たち大相撲ファンは、とにかく横綱が誕生すれば誰でもいいというのではなく、私たちが大相撲をリアルタイムに楽しめる今、「強い横綱が誕生し、活躍するさまを長く愉しみたい」のです。
それを、次期横綱候補、琴桜、豊昇龍、大の里に強く望みます。
3候補以外の横綱候補は?
2024年九州場所
— あき天空 (@akikatto) November 30, 2024
尊富士 pic.twitter.com/94CHOoXmIt
現大関の3人は、9月場所後までに間に合うかどうかは別として、いずれ横綱となりそれなりに活躍することは確実と見ています。それくらい、他の力士たちとの地力差があるからです。
それでは、彼ら3人に続く横綱候補として期待できる力士を勝手に列挙します。
★現幕内力士に限ります。番付は11月場所の番付です。
- 西前頭16・尊富士(25歳)
現状では、横綱のポテンシャルを感じるのは尊富士1人です。
十両には何人かいますが、それはまた別の機会で。
琴櫻、豊昇龍、大の里の気になる点は…
次期、新横綱候補の琴櫻、豊昇龍、大の里。ここで大切なことを1つ。
大関になれば、形式上は横綱候補ではありますが、実質的に横綱候補だと認められる存在は、結構少ないのです。
大関で優勝したからといって、即、横綱候補だということにはなりません。地力です。地力がないと仮に勢いで横綱になっても短命で終わる。そんな横綱は望んでいません。
以上から、現在いる3人いる大関の全員が「新横綱候補」というのは、かなり奇跡的なことなのです。だからこそ、それぞれ3人に気になることが目についてしまう…。
琴櫻
大相撲九州場所
— 尾車 充隆 元琴恵光 (@9th__generation) November 30, 2024
皆様15日間温かいご声援をありがとうございました♪
お陰様で大関琴櫻が14勝1敗で幕内最高優勝する事が出来ました!
本当におめでとう🎉
来場所も佐渡ヶ嶽部屋を引っ張って貰い、部屋の皆んなも意識を高めて良い成績を残せる様に頑張っていきましょう!#大相撲九州場所#佐渡ヶ嶽部屋… pic.twitter.com/fP6qJ6vVw6
15日間の取組を5日毎に「序盤戦」「中盤戦」「終盤戦」と分けると、琴桜は圧倒的に「終盤戦」に弱い。
琴櫻が関脇になって以降、直近までの終盤戦の勝敗を列挙しますね。
- 令和5年9月場所 3勝2敗(通算 9勝6敗)
- 令和5年11月場所 3勝2敗(通算 11勝4敗・準優勝)
- 令和6年1月場所 4勝1敗(通算 13勝2敗・優勝同星)
- 令和6年3月場所 2勝3敗(通算 10勝5敗)
- 令和6年5月場所 4勝1敗(通算 11勝4敗・準優勝)
- 令和6年7月場所 2勝3敗(通算 10勝5敗)
- 令和6月9月場所 1勝4敗(通算 8勝7敗)
- 令和6月11月場所 5勝0敗 (通算 14勝1敗・優勝)
ここに掲げた8場所中、6場所が2桁白星、そして、2024年は年間最多勝も獲得。
琴櫻が強い力士であることは間違いありません。
しかし、琴桜の難点は終盤戦で安定度のなさ。つまり、負け過ぎです。なかでも、あっさり負けてしまう取り口が目立つ。それは何故か。
素人の筆者 TOPIOが断言しちゃいます。
稽古不足。それからあの「変顔パフォーマンス」はやめて自分のポテンシャルをあげる方法を考えたほうがいい。
豊昇龍
<九州場所総チェック>
— バラッキー@大相撲ファン (@baraki_sumofan) November 25, 2024
大関・豊昇龍について語らせていただきます。#大相撲 #sumo #九州場所 #豊昇龍 pic.twitter.com/WsYGC9uj9T
豊昇龍は、琴桜よりも早く大関になったので、大関以降の8場所について、分析しました。
細かく列挙しませんが、一言でいうと「序盤戦」も「中盤戦」も「終盤戦」も安定しない。
11月場所の序盤戦からの勢いは、これまでの大関・豊昇龍になかったものでした。
過去7場所と異なる、あの先場所の勢いが作れたのは何故か?
それが豊昇龍が最短で新横綱を勝ち取るポイントになります。それは…割愛(笑)。
個人的に、豊昇龍の投げ技は大好きです。あの投げ技は各界随一です。
でも、あれに頼っては、「長く活躍する強い横綱」にはなれないのではないかとみています。
それに替わるものを豊昇龍がつかみとれるかどうか…。
大の里
おかげさまで大の里が大関昇進いたしました‼️#二所ノ関部屋 #大の里 #sumo pic.twitter.com/xY1xj5g8TV
— 【公式】二所ノ関部屋 (@nishonosekibeya) September 25, 2024
3大関のなかで、新横綱に向けて一番勢いがあったのは大の里です。しかし、11月場所で、大の里は他の2大関と比べると「ポテンシャルはあるけど、地力としては、一番へっぽこだ」ということを露呈してしまいました。
とくに、土俵際の攻めが稚拙です。状態の勢いに下半身がついていけず、土俵際の逆転で勝った取組も、ひやひやものです。
要するに勢いに任せての相撲。ポテンシャルが活かしきれていない相撲。
これは、実践稽古が少なすぎる所以ではないでしょうか。
現役時代、綱をはっていたとはいえ、師匠自ら胸を貸しての稽古にどれだけの意味があるのか。中村部屋の独立や、部屋が茨城というのも痛いですね。
上半身力任せっぽい取組は大学時代までで、とっぷり身についているでしょうから、その呪縛から解き放ち、新たな相撲を完成させるのは並大抵ではないでしょう。でも、それを成せば、大の里は「長く活躍する強い横綱」、もとい「強すぎる横綱」になれるポテンシャルがあります。
もう少し具体的に書くと、立ち会い後、自分の取り口になれない場合の対処がポイントです。つまり、プランB、プランCが考えずに出てくるか、身体が動くかです。
言うは易く行うは難しですが、その実現を切に望みます。
まとめ
来年10月の大相撲ロンドン興行のニュースを目にして、このような記事を書きたいと思っていました。
11月場所後の地方巡業で、照ノ富士が「横綱土俵入り」をしたことを知り、このタイミングでということで「新横綱」に関する勝手な記事を書かせていただきました。
筆者の個人的な望みとしては、2026年の大相撲界は琴櫻、豊昇龍、大の里、尊富士の4横綱体制になって、次世代として伯桜鵬や熱海富士たちが狙う展開になることを期待しています。
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