元横綱・白鵬は現役時代、強かった。歴代でも群を抜いて、物凄く強かった。
私 taoは、横綱・白鵬の大ファンでした。しかし、世間では白鵬人気は二分されていたように記憶しています。
それは強すぎるが故の判官びいきであり、外国人力士に対する反感だったのかもしれません。稀勢の里が横綱に昇進して、久しぶりに日本人横綱が誕生したときの世間の狂喜乱舞ぶりは反感の裏返しだったのでしょうか・・・。
この記事では、元横綱・白鵬の活躍について、現役時代(横綱時代)、そして、親方時代(とくに宮城野部屋を継承してから)について簡単に記そうと思います。
なお、以下では、元横綱・白鵬(宮城野親方)のことを、「白鵬」や「横綱・白鵬」と記述することがあることをお許しください。
横綱・白鵬の活躍
横綱・白鵬については、モンゴルから来日するところからが面白いのですが、それらはすべて割愛し、横綱に昇進してから引退するまでのことを簡単に書くことにします。
後日、来日するところからのことは、書くかもしれません。乞うご期待を。
横綱・白鵬の記録
白鵬の初土俵は2001年3月場所。そして、引退は2021年9月場所(全休)です。つまり、白鵬の大相撲現役生活は、約20年という長いものでした。
本稿では、この20年という長い相撲人生のうち、「2007年7月場所から引退までの横綱在位・約14年間」に、白鵬が樹立した歴代1位(現在も1位であるものに限る)の記録に注目してみます。白鵬の強さを感じられることと思います。
白鵬、歴代1位の記録たち
以下、白鵬が築き上げた歴代1位の記録の主なものです。
なお、(G)印のものは、ギネス世界記録の認定を受けた成績です。
- (G)幕内優勝回数:45回
- うち、横綱在位中優勝回数: 42回
- うち、幕内優勝連覇回数:7回
- (G)うち、幕内全勝優勝:16回
- (G)横綱在位:84場所(14年4ヶ月)
- 横綱連続出場:722回
- 横綱皆勤場所:65場所
- 横綱連続皆勤場所:48場所
- (G)通算勝星:1,187勝
- (G)うち、幕内勝星:1,093勝
- うち、横綱勝星:899勝
- 通算勝率:82.8%
- うち、横綱勝率:87.5%(15日制以降歴代1位)
- 最高連勝記録:63連勝(15日制以降歴代1位)
- 年間最多勝回数:13回
横綱・白鵬の歴代1位の凄さをちょこっと解説
まず、幕内優勝回数の45回。
同歴代2位は、元横綱・大鵬の32回。この大鵬の記録は、1971年1月場所で達成された大記録です。
そして、この大鵬の32回は、2014年11月場所に横綱・白鵬が32回目の幕内優勝を達成するまで、並ぶもののない大記録でした。
大鵬の大記録から44年経って並び立った白鵬ですが、翌年、2015年1月場所には、あっさり抜いて33回目の優勝を飾ります。
ところで、白鵬は、横綱になった2007年7月場所から、2016年7月場所まで、休場(途中休場も含む)がありません。54場所(9年間!)も連続皆勤です。
大相撲は、即引退につながるような大きな怪我をお負う危険がある競技。そんな中、横綱は、怪我で連続休場しても降格することない唯一の番付。ただし、休場があまりに連続すると引退となります。このような事情があり、一般的に横綱は、場所の前半で負けが込むと、途中休場する。怪我が治らない場合は15日間全休するということが、よくあります。というか、それがフツーなんです。
横綱になって54場所(9年間)も、休まず皆勤(15日間、場所を務めあげること)というのは、実は、物凄いことなのです。
強すぎるが故に(?)、横綱・白鵬は、「大相撲の礼儀や風習を理解していない」などと揶揄されてきましたが、この物凄さは、伝統の大相撲を理解し、地道に実践してきた結果です。
つまり、「横綱として活躍し続けられる身体と気持ちのメンテナンス」がしっかりできていた素晴らしい関取だったのです。
それが結果として、幕内優勝回数45回という、今後、何十年も並び立つものが現れないのではと思われる大記録を達成できたのです。
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実は、先述した「身体と気持ちのメンテナンスがしっかりできていた」ことが、幕内優勝回数以外にも、すべての結果に結びついています。それは、「歴代2位と圧倒的な差があること」からも分かります。例えば・・・
白鵬の横綱在位は84場所で歴代1位。一方、同2位は、横綱・北の湖の63場所です。
白鵬の幕内全勝優勝回数は16回で歴代1位、一方、同2位は、横綱・大鵬の8回。
白鵬の通算勝利数は1,146勝で歴代1位。一方、同2位は、大関・魁皇の1,047勝。
白鵬の年間最多勝の回数は13回で歴代1位。一方、同2位は、横綱・北の湖の7回。
などなど・・・。1位と2位の差は歴然。
でこのなかで、特に強調したいのが「横綱在位84場所」です。年6場所ですから14年。白鵬の現役生活20年です。つまり…
白鵬は、現役生活の7割もの期間、大相撲の頂点たる横綱であり続けたのです。
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白鵬は、横綱になって連続出場を続けながらも、2016年9月場所に全休して以降、引退するまで、途中休場を含め、11場所の休場があります。
それでも、2016年11月場所から、最後の皆勤となった2021年7月場所まで、なんと、8回も幕内優勝を達成します。うち、全勝優勝4回!!!
横綱・白鵬は、立ち会いでのかち上げがあるので横綱らしくないとか、いろいろ悪く言われてきましたが、力の衰えが見えた白鵬にさえ、居並ぶ関取たちが叶わなかったというのが事実です。
横綱・白鵬は、横綱らしくないズルい取り組みばかりしたから勝てたのか?
あるいは、白鵬以外の関取が、みんな弱すぎたのか?
それらは、全く違います。それでは、何が違うのか・・・。
末尾に書いた参考書籍などを読むと、白鵬こそ、誰よりも、大相撲の伝統を理解して、それを実現し続けてきた結果であることが分かります。
元横綱・白鵬の親方としての活躍
白鵬は、2021年9月29日に引退届を日本相撲協会に提出、それが9月30日に受理されます。そして、引退と同時に、年寄・間垣の襲名が承認され、晴れて、親方と2021年11場所に引退します。
このとき、日本相撲協会が「白鵬に指」といういちゃもんをつけました。それでも、白鵬は、無事(!)、親方となります。
白鵬は、宮城野部屋所属の関取でした。間垣親方となってから約1年後となる、2022年7月28日、12代宮城野と名跡交換をして、白鵬が13代宮城野を襲名。宮城野部屋を継承することになりました。
白鵬は、横綱時代に、宮城野部屋に所属しながらも、自らの内弟子がいました。これでたくさんの弟子を持つ部屋を経営する親方となります。
同年8月には部屋を移転して、報道陣に稽古を公開。
新しい弟子たちも入り、次世代の大相撲を担う関取を輩出するであろう期待の大きな部屋になりつつあります。
親方としての元横綱・白鵬の活躍も楽しみです!
宮城野部屋の期待
本記事公開日現在の宮城野部屋の関取は以下の通り。
- 前頭・北青鵬(22歳)
- 十両・伯桜鵬(20歳)
- 2023年11月場所全休で、来場所は幕下降格
- 十両・天照鵬(21歳)
十両・伯桜鵬は、デビュー4場所目となる2023年7月場所で新入幕を果たし、いきなり優勝争いをするほどの逸材です。
残念ながら怪我で、2場所全休。2024年1月場所は、幕下へ降格が確実ですが、1月場所では復帰するのではと言われています。
同時期に新入幕を果たした豪の山や湘南乃海が幕内で活躍しています。伯桜鵬にも早々の再入幕、その後の三役入り・幕内優勝も期待したいところです。怪我を克服できれば、横綱を望める人材ではないでしょうか。
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また、幕内随一の身長(204cm)を誇る北青鵬。身長を活かした取り組みを確立できれば、伯桜鵬同様に横綱を望める人材です。
さらには、かつて小兵で鳴らした人気力士・炎鵬も復活を狙っています。
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小兵力士といえば、これも現役時代は人気だった石浦が部屋付き親方(間垣親方)として後輩の指導に当たっていることも、部屋全体のパフォーマンスをあげる力となるでしょう。
まとめ
白鵬について、現役時代の活躍と、宮城野部屋を継承したあとの活躍の期待について、簡単に書かせていただきました。
宮城野部屋は、これからの若手の伸びが楽しみな部屋の1つです。
taoが特に注目しているのが、幕内・北青鵬と、再入幕を狙えるであろう伯桜鵬、そして、怪我からの復帰後の活躍が期待される炎鵬。
2024年は、彼らが大きく活躍する年になることを願っています。
参考文献
横綱・白鵬の現役時代は大ファンであるが故に、白鵬絡みの本をいろいろ読んでいました。
本稿を書くにあたって、以下の書籍を改めて読み返してみました。参考文献です。
逐次、書籍紹介をする予定です。なお、書籍紹介記事を投稿したものについては、リンクで飛べるようになっています。
- 『勝ち抜く力』白鵬翔著(悟空出版)
- 幕内優勝最多三十三勝目を挙げたの白鵬の言葉
- われ未だ白鵬たりえず
- 幕内優勝最多三十三勝目を挙げたの白鵬の言葉
- 『相撲よ!』白鵬翔著(角川書店)
- 終章の結論は・・・
- 相撲は神事
- 終章の結論は・・・
- 『白鵬伝』朝田武蔵著(文藝春秋)
- 297日ぶりの黒星(対・稀勢の里戦)
- 茫然自失からの立ち直り
- 297日ぶりの黒星(対・稀勢の里戦)
- 『白鵬のメンタル』内藤堅志著(講談社新書)
- スポーツトレーナーである著者の言葉
- 強さには理由があります。成功にも理由があります。しかし、それは決して盤石なものではなく、つねに弱さも含んでいます。大事なのは、誰もが持っている「弱さ」とどう向き合うか、たえず襲ってくる「ストレス」をいかにコントロールし、自分らしさを発揮しつづけるかです。
- スポーツトレーナーである著者の言葉