2025年、AIが検索や作業の「代行者」として動く時代が本格的に到来しました。その象徴ともいえるのが、AIブラウザの登場です。
なかでも注目を集めているのが、Perplexity AIの「Comet」とOpenAIの「ChatGPT Atlas」。
どちらも“AIが主役”のブラウジング体験を目指していますが、設計思想も得意分野も異なります。
本記事では、それぞれの特徴・日本語対応・価格・使い勝手を詳しく解説し、どんなユーザーに向いているのかを比較します。
より理解するために、動画解説 + 音声解説♪
本記事を補足するという観点で、動画解説をつくりました。これは、Notebook LMというAIで作りました。ちなみに、Notebook LMは、動画を作る際、最新の動画生成AI「nano banana」を使っています!
9分弱の動画です。これを見ていただいてから本記事を読むと、AIウェブブラウザで何ができるのかということの理解度が高まると思います。
それから、動画解説とはちょっと違う切り口での音声解説もつくりました。これもNotebook LMの活用です。こちらは、22分ほどの音声解説です。若干読み違えなどがありますが、ご了承ください。
【動画解説】
【音声解説】
そもそもAIブラウザとは?
「AIブラウザ」とは、従来のインターネットブラウザ(ChromeやSafariなど)に、人工知能(AI)機能を深く組み込んだ新しいタイプのブラウザのことです。
これまでのブラウザは「検索して、ページを開いて、自分で読む」という流れでしたが、AIブラウザではこの“読む・探す・まとめる”作業をAIが代わりに行ってくれます。
たとえば、ニュース記事を開くだけでAIが自動で要約したり、複数のサイトの情報を比較して答えを提示したりできます。
さらに進化したAIブラウザでは、フォーム入力や予約、買い物といった操作まで代行できるものもあります。
つまり、ブラウザが「単なる情報表示ツール」から、「あなたの代わりに考え、動くAIアシスタント」へと進化しているのです。
今後は、調べ物だけでなく、仕事や日常のあらゆるオンライン作業をAIブラウザが支援してくれる時代が訪れようとしています。
以下、Perplexityが発表したAIブラウザ「Comet」、そして、Opne AIが発表したAIブラウザ「Atlas」を解説しますね。
Comet:AIがタブを横断する「調べ物特化型ブラウザ」
Cometは「AIネイティブ・ブラウザ」として設計され、最初からAIエージェントが深く組み込まれています。Chromiumベースのため、既存のChrome拡張機能がそのまま使える点が大きな強みです。
主な特徴は、ウェブページやYouTube動画の要約、複数タブを横断した情報統合、さらには「エージェント的検索(agentic search)」と呼ばれる“AIが代わりに行動する検索”です。ユーザーが「このタブとあのタブを比較して」と指示すれば、Cometが自動的に情報を整理してくれます。
2025年7月に限定リリースが始まり、現在は一般ユーザーにも無料提供を開始。とはいえ、プライバシーやセキュリティ面の課題も指摘されており、AIがどこまで操作・参照するかを慎重に設定する必要があります。
日本語環境では、UIの完全対応はまだ限定的。日本語のウェブページを読む・要約する程度は可能ですが、操作系メニューやサポートは英語中心です。レビューでは「AIブラウザの未来を感じる」「安定性はまだ発展途上」との声が多く、今後の改善に期待が集まります。
ChatGPT Atlas:ChatGPTが“ブラウザそのもの”に進化
一方のAtlasは、OpenAIが自社のChatGPTをブラウザ体験に統合した“AIブラウザ版ChatGPT”です。サイドバーにChatGPTが常駐し、閲覧中のページ内容を即座に要約したり、質問したりできるのが特徴。
さらに注目すべきは「Agentモード」。ユーザーの許可を得て、AIが実際にウェブページを操作——フォーム入力、予約、買い物手続き——まで代行できるのです。これは「AIが手を動かす」ブラウジング体験の第一歩といえます。
2025年10月21日、macOS版が世界的に公開。Windowsやモバイル版も順次リリース予定です。料金体系はChatGPT本体のプランに連動し、Plus/Pro/Businessプランで高機能(Agentモードなど)が利用可能。
また、日本語UIページ(https://chatgpt.com/ja-JP/atlas/)もすでに用意されており、日本語入力・出力の自然さもChatGPTゆずり。レビューでは「導入がスムーズ」「デザインが洗練されている」と好評ながら、「モバイル版未対応」「Agent機能がプレビュー段階」といった指摘もあります。
Comet vs Atlas:AIブラウザの実力比較
比較項目 | Comet | Atlas |
---|---|---|
AI統合の深さ | AIネイティブ設計。タブ横断・要約・自動検索が得意 | ChatGPT統合+Agent機能で操作代行まで可能 |
拡張機能との親和性 | Chrome拡張をそのまま利用可能 | 同じくChromiumベースで移行も容易 |
対応プラットフォーム | デスクトップ中心、モバイル対応は今後 | macOS版先行、他OSも順次展開 |
日本語対応 | UIは英語中心。日本語ページの要約は可能 | 日本語サイト・UIあり。日本語最適化済み |
価格・利用条件 | 当初月額US$200→無料開放 | ChatGPTの有料プランに準ずる |
安定性・信頼性 | 新興サービスでやや不安定 | OpenAIの既存基盤により安定 |
総じて、Cometは「情報収集型」、Atlasは「作業代行型」という位置づけ。前者は多タブ調査やリサーチ業務向き、後者はタスクを自動化したいユーザーに向いています。
実際の使い勝手:レビューから見えた現状
Cometは「48時間使ってみたらAIブラウザの未来を感じた」という声がある一方、「操作が直感的でない」「誤動作がある」との意見もあります。メールの要約やタブ自動生成などで成功例がある一方、予約タスクなどで日付を誤る事例も報告されています。
Atlasは「ChatGPTユーザーには自然」「ブラウザ移行がスムーズ」と好評。日本語環境でも比較的快適に動作し、今後モバイル版が登場すれば、より幅広い層に受け入れられる可能性があります。
AIブラウザを選ぶ前に知っておきたい注意点
AIブラウザは、まだ発展途上の分野です。機能の進化スピードが速い一方で、プライバシーやセキュリティのリスクも存在します。AIが閲覧データや操作内容にアクセスする仕組みのため、「どこまで自動化を許すか」「どんなデータを共有するか」を自分で管理する必要があります。
また、従来のブラウザからの移行コスト(ブックマーク・履歴・拡張機能の引き継ぎ)も考慮ポイント。特に仕事や研究など、精度が求められる用途では慎重な導入が望まれます。
PerplexityやChatGPTのサブスク契約なしで使える?
Comet の場合、最初の展開では「月額 USD 200 の Perplexity Max プラン加入者向け」でした。
その後機能限定の無料版または安価プランが出ています。
Atlas では「Agent モード」など、AIがウェブページ操作を代行する高度な機能が、ChatGPTのPlus/Proなど有料ユーザー限定である旨が明記されています。
無料、有料使い分けのヒント
- 「とりあえず試してみたい」「AIブラウザってどんな感じ?」という方 → 無料版で十分体験できます。
- 「毎日使いたい」「AIに調べ物を任せたい」「複数タブ・他ツール連携も活用したい」なら、有料機能を検討したほうが満足度高いです。
- また、無料版でも「日本語UI・サポート・機能安定性」には若干の制限がある可能性がありますので、日本語環境で多用する方は注意を。
まとめ〜目的に応じて選ぶのが正解!
AIブラウザの世界は、まだ始まったばかり。どちらが“絶対に優れている”というより、目的次第で最適解が変わります。
- Comet:調べ物や情報整理、要約を効率化したい人向け
- Atlas:ChatGPTを日常的に使い、ブラウザにもAIの力を取り入れたい人向け
いずれも、AIが「受け身の検索ツール」から「能動的なパートナー」へと進化する未来を体現しています。次に使うブラウザがAIエージェントになる日も、そう遠くはないでしょう。
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