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2025年10月12日、自民党の船田元・元経済企画庁長官が、高市早苗総裁の選出を無効とし、党員投票をやり直すという、党の根幹を揺るがしかねないクーデター紛いの案に言及したことが報じられました。
これは単なる一議員の個人的な提言に留まるものではなく、現在の自民党が抱える深刻なガバナンスの欠如、そして一部の長老議員による党内秩序を無視した、極めて傲慢な姿勢を象徴する深刻な事件と言えるでしょう。
この動きは、党の意思決定プロセスそのものへの挑戦であり、自民党がもはや一枚岩ではないこと、そしてその内部崩壊が静かに進行している危険な兆候を示しています。

正当な手続きへの冒涜と「党員の意思」の恣意的な利用
船田氏が画策したとされる案の核心は、石破茂首相(当時)の退陣を撤回させ、高市総裁の選出そのものを白紙に戻すという、日本の憲政史上でも類を見ない、前代未聞の内容でした。
その背景には、長年の連立パートナーであった公明党の離脱という国家的危機に乗じ、党内力学を自己の都合の良い方向へと強引に転換させようという、極めて政治的な、そして党利党略を超えた個人的な思惑すら透けて見えます。
そもそも、高市氏は自民党の党則に則った総裁選挙を経て、正式に選出された総裁です。自民党総裁選は、全国の党員・党友による投票と、党所属国会議員による投票の二段階で構成されており、それぞれが持つ重みを総合して党のリーダーを決定する、熟慮の末に設計された制度です。
総裁選において、党員票で石破氏が上回ったものの、国会議員票で高市氏が逆転して勝利したという事実は、まさにこの制度が意図した通りの結果であり、党員と、党員から信託を受けた国会議員の意思を総合的に反映させる現行ルールの下での、完全に正当な結論に他なりません。
この結果を後から「党員の意思が反映されていない」という一方的な理屈で覆そうとすることは、ルールそのものへの冒涜であり、自らが定めた手続きを平然と反故にする自己否定の行為です。
船田氏の提案は、表向きは「党員の意思を尊重する」という美名を掲げていますが、その実態は、自らの意に沿わない選挙結果を認めず、力ずくで覆そうとする、民主主義の基本原則を踏みにじる暴挙に等しいものです。
これは、高市氏に票を投じた党員や国会議員、そして何より、定められたルールを信じて総裁選という党の最重要行事に参加した全ての党関係者の意思を無視した、断じて許しがたい「暴論」です。
一部の有力議員の都合で党の最高決定が覆されるという前例を作ってしまえば、党の意思決定プロセスは完全に崩壊し、組織としての体をなさなくなることは火を見るより明らかでしょう。
矛盾に満ちた言動は「議員三世」の特権意識か
船田氏のこれまでの政治的言動を丹念に振り返ると、その政治姿勢には一貫性が著しく欠如しているとの批判は免れません。
かつて、自民党の悪弊とされた派閥の存続にメディアの前で強く異議を唱え、「派閥を解体しなければ退会する」とまで大見得を切ったにもかかわらず、結局は自身の政治的影響力を維持するために派閥力学を利用し続けてきた経緯があります。
今回の行動もまた、公明党の離脱という党の危機を憂うという大義名分を掲げながら、その実、党内における自らの存在感を誇示し、混乱に乗じて政局の主導権を握ろうとする、あまりにご都合主義的な表れと見る向きもあります。
「議員三世」という恵まれた政治的出自を持つ船田氏の言動の根底には、党は自分たち一部の有力議員、あるいは「永田町の論理」を熟知した者たちのものであり、一般党員や民意は時として指導されるべき対象である、という無意識の特権意識が根付いているのではないでしょうか。
公明党の連立離脱という未曾有の危機に際して、党の結束を訴え、挙党態勢の構築に尽力すべき重鎮が、逆に党内対立を激化させ、脆弱な政権基盤をさらに弱体化させるような内紛を仕掛けるなど、その政治家としての責任感の欠如は目に余ります。
これは「苦肉の策」などという弁明が通用する生易しいものではなく、国家的危機を自らの政治的野心のために利用する、火事場泥棒的な発想と言わざるを得ません。
党の混迷を深め、政治不信を助長するだけの愚行
船田氏の一連の発言は、現在の自民党が抱える危機管理能力の欠如と、内部からの規律是正を期待できない自浄作用の完全な喪失を、白日の下に晒す結果となりました。
党が正式な手続きを経て選出した総裁の正当性を、党の重鎮であるはずの一部の議員が公然と否定し、引きずり下ろそうと画策するのです。
このような醜態は、党内に修復困難な亀裂を決定的に深めるだけでなく、国民の目に自民党を「国家の危機よりも内輪揉めに明け暮れる、統治能力を欠いた集団」と映し、政治不信を一層深刻化させるだけの愚行です。
そして、この一件は、単に船田氏個人の資質や政治信条の問題に留まるものではありません。自民党内に、党の規律や結束よりも、個人の思惑や派閥の力学が優先される風潮が蔓延し、党のガバナンスが完全に機能不全に陥っていることの危険な兆候ではないでしょうか。
党の再生を目指すのであれば、まず、このような党の根幹を揺るがす無責任な言動を厳しく断罪し、いかなる理由があろうとも党の公式決定には従うという、組織としての最低限の規律を再確立することから始めなければ、国民の信頼を取り戻すことは到底不可能です。
SNSの意見を忖度なくピックアップ+α
エックスから、ちょっと過激な意見もありますが、それも意見ですから、忖度なく、上のほうからいくつか転載しますね。そして、これらの意見をどう受け止めるかについては、読者におまかせします。
現役の衆議院議員・島田先生のものも含め、5つのポストを載せました。
それからエックスでは「船田元」と検索して、出てきたものをほぼほぼ上から5つピックアップ(返信除く)。その下もずっと見てみましたが、船田元先生の貴重なご意見に賛成するポストは見当たりませんでした。
ラスト、YouTubeのショート動画です。
まとめ
船田氏の一連の発言は、党の危機的状況に乗じて、正当な手続きを経て選ばれた総裁を引きずり下ろそうとする、極めて問題の多い動きです。
これは、党が定めたルールや民主主義の原則そのものを軽視するものであり、その根底には一部の長老議員の特権意識と、国家的危機をも政争の具とする自己中心的な姿勢が見え隠れします。
この問題は、単なる個人の言動に留まらず、自民党が長年にわたって抱え込んできた統治不全という、根深い構造的課題を国民の前に浮き彫りにしました。
党が国民からの信頼を回復し、責任ある政党として再生するためには、まずこのような内部からの無秩序な動きを許さない、厳格な組織としての規律を取り戻すことが不可欠であることを、この一件は明確に示しています。
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