2025年7月11日からテレビ東京系列でスタートするドラマ『能面検事』。主演の上川隆也さんが挑むのは、原作者の中山七里氏が「映像化は絶対無理」と断言した”無表情の検事”という前代未聞の役柄です(注記1)。
「表情筋を1ミリも動かさない主人公なんて、ドラマになるの?」そんな疑問を抱く方も多いでしょう。しかし原作小説を読み込むと、なぜこのキャラクターが多くの読者を魅了し、7年越しでついにドラマ化が実現したのかが見えてきます。
“どんでん返しの帝王”中山七里氏が生み出した「能面検事」不破俊太郎は、単なる無表情キャラではありません。権力に屈しない強固な信念、組織の論理を超越した正義感、そして能面の奥に秘められた人間的な温かさ——。これらすべてを「表情なし」で表現するという、究極の演技挑戦がここにあります。
小説家・中山七里ファン&原作「能面検事」ファンとして断言します。このドラマは、日本の司法ドラマに新たな地平を切り開く可能性を秘めています。なぜなら『能面検事』は、表面的な感情表現に頼らない、まったく新しい主人公像を提示しているからです。
- 原作小説シリーズの魅力と「無表情検事」の斬新なキャラクター設定
- 中山七里氏流ミステリーの特徴と他作品との違い・共通点
- 「映像化不可能」と言われた原作のドラマ化における挑戦と見どころ
なお、原作者の中山七里氏については、次の紹介記事もどうぞ。

注記1.
原作の中山は「『能面検事』の構想を得た瞬間、『ああ、これは映像化が絶対無理な小説だ』とほくそ笑んだのを憶えている。何しろ表情筋が1ミリも動かないキャラクターが主人公なのだ」とし、「バストショットを多用するドラマなのに、無表情のキャラが主役なのだから成立する訳がない。と、高を括っていたら何とテレ東さんからドラマ化のオファーが舞い込んだので驚いた。主役は困るだろうなと思っていたが、上川隆也さんが演じられると聞いてひと安心した次第」と全幅の信頼を置いている。
引用元:Yahoo!ニュース / クランクイン
ドラマの概要(基本情報)
この予告トレーラーをご覧いただくとまるわかりですが、主人公の検事は、「表情が無い」「感情を顔に一切表さない」だけでなく、その言葉にも「感情が一切乗っていない」のです!!
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それでは、まずは、ドラマの概要です。
- タイトル:能面検事
- 原 作:中山七里著
- 『能面検事』
- 『能面検事の奮迅』
- 『能面検事の死闘』
- 脚 本:
- 荒井修子、鹿目けい子、三浦駿斗
- 監 督:
- 村上牧人、七髙剛、室井岳人
- 出 演:
- 上川隆也、吉谷彩子、観月ありさ、大西流星
- 竹財輝之助、寺脇康文、宇梶剛士 ほか
- 制 作:
- テレビ東京、テレパック、製作委員会
- 放 送:
- 2025年7月11日
- 金、21:00 – 21:54
- 公式サイト:こちら
次に、主な登場人物(敬称略)です。
【大阪地検】
- 主役・不破 俊太郎(検事)/ 上川 隆也
- 能面検事!!
- 惣領 美晴(検察事務官)/ 吉谷 彩子
- 不破検事担当の新人検察事務官
- 仁科 睦美(総務課課長)/ 観月 ありさ
- 美晴が懇意になる大阪地検の先輩
- 前田 拓海(総務課事務官)/ 大西 流星
- 原作第1作〜3作に登場無し
- ドラマだけのユニークキャラクター?
- 榊 宗春(次席検事) / 寺脇康文
- 司法関係者の間では、「東の岬、西の榊」、または「鬼の岬、仏の岬」と囁かれている
- 高峰 仁誠(特捜部検事) / 竹財 輝之助
- 登場は原作第2作のみ
【東京地検】
- 岬 恭平(次席検事)/ 宇梶 剛士
- 登場は原作第2作のみ
【第1話】
★原作『能面検事』に登場する最初の案件
- 八木沢 孝仁 / 渋谷謙人
- 8年前、下校中の小学生女児を誘拐し、自宅に軟禁したという「前」があった人物。今回、とある事件で逮捕。
- 八木沢 史華 / 美山加恋
- 孝仁の妹
- 兄・孝仁の8年前の事件で、世間や仕事場でバッシングを受けていた
- 八木沢 福子 / 床嶋佳子
- 孝仁の母
- 息子・孝仁の8年前の事件で、世間や仕事場でバッシングを受けていた
「能面検事」原作の魅力と基本情報
原作ファンが語る3つの魅力
ネットで「能面検事」ファンの意見を集め、そして、筆者 taoの意見も踏まえて、魅力を3つにまとめました。
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魅力①:革新的な主人公像「感情を表に出さない正義の人」
大阪地検きってのエース検察官である不破俊太郎は、検察の上層部や警察組織に対して一切の忖度はなく、とにかく冷静沈着に、ただ淡々と職務を全うするキャラクターです。従来の熱血検事とは正反対の、クールで計算高い主人公が新鮮な魅力を放っています。
不破俊太郎の凄さは、感情的にならずとも相手を圧倒する論理力と洞察力にあります。怒号を飛ばすことなく、淡々とした口調で権力者の矛盾を突く姿は、読者に爽快感を与えます。
魅力②:中山七里氏流「どんでん返し」の連続
“どんでん返しの帝王”の異名を持つ中山七里氏の真骨頂が、この作品でも遺憾なく発揮されています。一見単純に見える事件が、能面検事の鋭い洞察により次々と新たな真実が暴かれていく構造は、まさにページをめくる手が止まりません。ただし、中山七里氏の作品の多くは、最後の最後で「どんでん返し」パターンが多いのですが、原作小説「能面検事」の最初の案件(=ドラマ第1話の案件)については、「どんでん返し」感は弱いかなと感じます。ただし、原作小説「能面検事」の2つ目の案件、及び原作小説「能面検事の奮迅」を通じて扱う案件のラストは、まさに「どんでん返し」です!これを、ドラマでどう展開させるか、楽しみですね!
魅力③:社会派リーガルミステリーとしての重厚さ
単なる謎解きにとどまらず、警察組織の隠蔽体質や検察組織の官僚体質を暴いていく爽快なストーリーが展開されます。現代日本の司法制度が抱える問題を、エンターテイメントとして昇華させた手腕は見事です。
シリーズ3作品の読む順番と特徴
本記事公開日現在、「能面検事」シリーズは3冊既刊です。うち、第1作と第2作がAmazon Audible(聞く読書!)で取り扱いがあります。
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第1作『能面検事』(2018年刊行)
シリーズの原点となる記念すべき第1作です。大阪地検に配属された新人事務官・惣領美晴の視点から、謎めいた「能面検事」不破俊太郎の正体が徐々に明かされていく構成となっています。
この巻の最大の特徴は、読者と惣領美晴が同じ目線で不破検事の異常さと凄さを体験できる点です。事件の舞台となるのは大阪の下町で、地に足のついたリアルな描写が魅力です。
第2作『能面検事の奮迅』(2019年刊行)
不破検事が「奮迅」の活躍を見せる第2作です。前作で確立されたキャラクターを基盤に、より大きな権力構造との対峙が描かれます。不破検事の過去に関する重要な手がかりが散りばめられており、彼がなぜ「能面」になったのかの謎に迫ります。
第3作『能面検事の死闘』(2020年刊行)
現時点でのシリーズ最新作となる第3作は、「死闘」が展開される最高潮の物語です。不破検事の人間的な部分がより深く掘り下げられ、「能面」の奥に隠された感情と信念が、読者に強烈なインパクトを与えます。実は、筆者 taoはこの第3作目をまだ読んでいません。
というより、中山七里さんの作品は、Amazon Audibleで取り扱いのある40数冊はすべて聞き終えています。作品によっては2〜3回聞いています。残念ながら、第3作目『能面検事の死闘』は、まだAmazon Audibleに取り扱いがないので、聞いていないというわけです。今後の取り扱いが楽しみです!
主人公・不破俊太郎の人物像
繰り返しますが、筆者 taoは、Amazon Audibleで『能面検事』第1作目・第2作目を聞いています。また、この記事を書くために聞き直してもいます。その経験から、主人公・不破検事の人物像をまとめました。
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外見的特徴:完璧すぎるほどの無表情
表情と声に全く感情を載せない、そして、冷静沈着に職務を全うする不破俊太郎は、文字通り「能面」のような検事です。怒りも喜びも、驚きも困惑も、一切顔に出すことがありません。ただし、彼も新人時代はそういう検事ではありませんでした…。
思考パターン:論理と正義への絶対的信頼
不破検事の最大の特徴は、感情に左右されない純粋な論理思考です。それは、検察の上層部や警察組織に対して一切の忖度はなく、ただひたすら事実と証拠に基づいて判断を下すことに端を発しています。
彼にとって重要なのは「真実」ただひとつ。権力者の圧力も、組織の利害も、世間の空気も一切関係ありません。この姿勢は時として周囲から煙たがられますが、結果的に正義を実現する原動力となっています。
中山七里氏流ミステリーとドラマ化の意義
この動画では、中山七里氏が自らのプロットの書き方を説明しています!
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それでは、本題に戻って…。
“どんでん返しの帝王”の手法解説
多層構造のトリック展開
中山七里氏の最大の特徴は、読者の予想を何度も裏切る「多層的などんでん返し」にあります。『能面検事』シリーズでも、この手法が存分に発揮されています。
一般的なミステリーでは「犯人当て」や「トリック解明」が主軸となりますが、中山七里氏の作品では「真相だと思ったものが、実は表面的な事実に過ぎない」という構造を何重にも重ねます。
ただし、前述しましたが、氏の作品のなかには最後の1ページで「どんでん返し」みたいなものもありますが、原作小説「能面検事」の最初の案件はそれまで極端ではありません。常識を覆すという点で、あとから振り返ると「どんでん返し」だな…ということになります。そのあとの物語や、原作小説「能面検事の奮迅」はまさに「どんでん返し」です。中山七里流全開で、ラストまで気を抜けません。
感情論を排した冷徹な論理展開
不破検事のキャラクター設定は、中山七里氏の作品スタイルと完璧にマッチしています。感情に流されがちな登場人物たちの中で、ただ一人冷静に事実を見つめ続ける不破検事の存在が、物語全体の論理性を支えています。
リーガルミステリーとしての独自性
検察官視点の新鮮さ
多くのリーガルミステリーが弁護士や裁判官を主人公にする中、『能面検事』は検察官(注記2)を主人公にした点で大きな独自性を持っています。検察官は「国家の代理人」として事件に関わるため、弁護士とは全く異なる立場と責任を負います。
「起訴前」段階の緊張感
一般的な法廷ミステリーは「裁判」が舞台となることが多いですが、『能面検事』は主に「起訴前」の段階が描かれます。事件の真相究明から起訴判断まで、検察官としての最も重要な局面が物語の中心となっています。
注記2.
検察官と検事の違いは、検事は検察官の中の一つの役職であるという点です。検察官は検察庁で働く国家公務員の総称であり、その中で「検事総長」「次長検事」「検事長」「検事」「副検事」といった役職に分かれています。
引用元:Search Labs | AI による概要
「映像化不可能」と言われた理由
日本ドラマの「バストショット文化」との根本的矛盾
中山七里氏が指摘する通り、海外の映画やドラマと日本のそれを比べると、海外のものはフルショット(全身を映す)が多く、日本のものはバストショット(胸から上を映す)ものが多いという文化的違いが、映像化の最大の障壁となっていました。
つまり、全身で演技をするか、表情で演技をするかの違いにおいて、日本ドラマは圧倒的に「表情重視」の文化です。バストショットを多用するドラマなのに、無表情のキャラが主役なのだから成立する訳がない——原作者のこの懸念は、きわめて論理的で現実的なものでした。
上川隆也さん起用で解決された課題
原作者が「ひと安心」した理由
主役は困るだろうなと思っていたが、上川隆也さんが演じられると聞いてひと安心した次第——中山七里氏のこの発言には、上川隆也さんへの絶大な信頼が込められています。
この信頼の根拠は、上川隆也さんの過去の実績にあります。上川隆也さんは中山七里氏原作のドラマ「夜がどれほど暗くても」(2020年)、「テミスの剣」(2017年)にも主演で出演されており、両者は既に強固な信頼関係を築いていたのです。
ところで、筆者 taoは、「能面検事」がドラマ化されるかもという情報を耳にしたとき、まっさきに思い浮かんだのが、上川隆也さんです。上川さんは、過去にも「自分の感情を押し殺したような主人公」を演じていたことがあるから、彼こそぴったりなキャスティングだと考えていました。まさにドンピシャでビックリです。
表情に頼らない演技力への期待
上川隆也さんが中山七里作品で見せてきた演技は、常に内面の複雑さを巧みに表現するものでした。表面的な感情表現に頼らず、微細な演技で人物の深みを表現する技術——これこそが「能面検事」役に最も必要な能力だったのです。
ドラマの見どころと期待ポイント
この動画は、前掲したドラマ全体のトレーラー動画と違い、第1話にフォーカスした動画です。ちなみに、第1話は、原作『能面検事』の最初の取り扱い事案です。
大阪地検という舞台設定の意味
東京ではない「地方」検察庁の意味
原作で舞台となる大阪地検の選択は、決して偶然ではありません。東京地検ではなく大阪地検を選んだことで、中山七里氏は「中央権力から一定の距離を置いた場所」での正義の追求を描こうとしています。
東京地検であれば、政治的圧力や中央官庁からの影響がより直接的に及びます。しかし大阪地検という設定により、不破検事は「地方から中央権力に挑む」という構図を作り出すことができるのです。
また、多少のネタバレになりますが、不破検事が東京から大阪に来たのには、ある理由もあったのです。それこそ、彼が「能面検事」になったきっかけでもありましたが、これをドラマでどう扱うのかは不明なので、これ以上のネタバレはとめますね。
大阪という土地柄が生む人間関係
大阪の人情味あふれる文化と、不破検事の冷徹さのコントラストは、原作の大きな魅力の一つです。関西弁で語られる温かい人間関係の中に、能面のような無表情の検事が現れる——この異質感がドラマでどう表現されるかは大きな見どころです。
社会派要素:権力構造への挑戦
警察組織の隠蔽体質への容赦ない切り込み
警察組織の隠蔽体質や検察組織の官僚体質を暴いていく爽快なストーリーが展開される『能面検事』は、単なる事件解決ものではありません。日本の司法制度が抱える構造的問題に正面から取り組んだ社会派作品でもあります。
原作では、証拠隠滅や事件のもみ消し、上層部からの圧力といった現実的な問題が詳細に描かれています。ドラマ化にあたっては、これらの社会問題をどこまでリアルに、そして鋭く描けるかが重要なポイントとなるでしょう。
政治的圧力との対峙
原作では、政治家や財界人といった権力者からの露骨な圧力も描かれています。しかし不破検事は、そうした圧力に一切屈することがありません。彼の無表情さは、権力者にとって最も厄介な「読めなさ」を提供します。
不破と惣領のバディものとしての魅力
正反対の性格が生む化学反応
感情を一切顔に出さない不破検事と、反対にすぐ表情に出てしまう惣領美晴のコンビは、まさに正反対の性格同士が組むバディものの典型です。この対照性こそが物語に豊かな変化をもたらします。
惣領美晴は読者の代弁者的な存在として機能し、彼女の感情や反応を通じて、不破検事の異常性と同時に魅力が浮き彫りになります。ドラマでは、吉谷彩子さんの表情豊かな演技と、上川隆也さんの無表情な演技の対比が見どころとなるでしょう。
美晴は新人の検察事務官です。実は、不破検事も新人時代は美晴のようだった…とだけ書いておきます。
男女の恋愛要素を超えた純粋なパートナーシップ
『能面検事』シリーズの魅力の一つは、不破検事と惣領美晴の関係が安易な恋愛関係に発展しない点にあります。二人の関係は、あくまで正義を追求する同志としてのパートナーシップです。
第1話で描かれるエピソード
惣領美晴の衝撃的な初日体験
大阪地検の検察事務官採用試験に合格し、研修期間を終えた新人・惣領美晴が、着任早々に不破俊太郎から「副官(自分の担当となる検察事務官のこと)としては不適切だから帰れ」と言われてしまう展開から始まる第1話は、視聴者にとっても不破検事との衝撃的な「ファーストコンタクト」となるでしょう。
幼女殺害事件という重いテーマ
第1話で扱われるのは幼女殺害事件。は、現代社会の重要な問題を反映した社会派的なエピソードです。被疑者は殺害現場付近に住む引きこもりの男で、過去に幼女誘拐の「前」があった人物。そして、そんなバイアス・偏見・先入観がいかに捜査を歪めるかという現代的なテーマを含んでいます。
第2話以降は?
ドラマ第1話の内容は、原作小説「能面検事」が扱う最初の案件(事件のこと)です。原作を読んでいると、これならまあまあギリ1話で収まるかなという感じですね。
そして、原作小説「能面検事」には2つ目の案件もありますが、こちらはかなり長い展開なので、ドラマ1話で収めるのは難しいかなと。だから2話で展開とかもあるかもです。
ところで、すでにキャスティングとして発表されている「東京地検次席の岬検事 / 宇梶剛士さん」と「大阪地検特捜部の高峰検事 / 竹財輝之助さん」ですが、岬検事と高峰検事は、原作でいうと第2作目『能面検事の奮迅』だけに登場するキャラです。つまり、この2キャラをすでに発表しているということは、原作第2作目の「能面検事の奮迅」をドラマ展開するということは決まりです。ただし、ここで大問題が?
実は、原作「能面検事の奮迅」で扱う案件は、かなり重厚で長い、というか「能面検事の奮迅」まるごと1冊を使って展開しています。そのようなものをドラマでできるのか、どうやるのか?これはドラマを見る上で、期待したいところです。
この流れでいくと原作第3作「能面検事の死闘」がどうドラマ化されるのか。ドラマ発表のなかで、原作は3冊の小説と発表されていますので、「能面検事の死闘」も扱う可能性ありとは考えています。ただし、登場人物発表されている岬次席検事や高峰特捜部検事が原作第3作目には登場しないので、どうなるか読めません。
原作を今すぐ読むべき理由とドラマ情報
ドラマ前に読んでおきたい優先順位
最優先:『能面検事』(第1作)- ドラマの基盤となる必読書 ドラマ視聴前に絶対に読んでおきたいのは、シリーズ第1作の『能面検事』です。この作品でしか味わえない「不破検事との初遭遇体験」は、ドラマを何倍も楽しむための必須要素と言えるでしょう。
第1作では、なぜ不破俊太郎が「能面検事」と呼ばれるようになったのか、彼の検事としての信念がどのように形成されたのかが丁寧に描かれています。この背景知識があることで、ドラマの上川隆也さんの演技により深く感情移入できるはずです。
次点:『能面検事の奮迅』(第2作) 時間に余裕があれば、第2作まで読んでおくことを強く推奨します。この作品では、不破検事の人間的な側面がより深く掘り下げられ、彼の「能面」の奥にある情熱と正義感が明確に描かれています。
Audible版の魅力
プロの声優による「能面検事」の音声化 Audibleで『能面検事』シリーズを聞く最大の魅力は、プロの朗読者が不破検事の「無表情な声」をどう表現しているかを体験できることです。文字では伝わりにくい彼の話し方の特徴——感情を込めない淡々とした口調、しかし確固たる意志を感じさせる語り口——を音声で確認できます。
「ながら読書」でドラマ予習が可能 通勤時間や家事の合間など、「ながら時間」を活用してドラマの予習ができるのもAudible版の大きなメリットです。ドラマ放送開始まで時間が限られている中で、効率的に原作の世界観に触れることができます。
【PR】AmazonのAudible
会員なら対象作品が聴き放題!
無料体験後は月額¥1,500
放送・配信情報まとめ
地上波放送情報
- 放送局:テレビ東京、テレビ大阪、テレビ愛知、テレビせとうち、テレビ北海道、TVQ九州放送
- 放送開始:2025年7月11日(金曜日)
- 放送時間:毎週金曜日 午後9時00分~9時54分
- 初回特別編成:第1話は15分拡大版
配信サービス情報
- Prime Video:各話放送終了後から見放題独占配信開始
- ★Prime Videoの件は、公式サイトで発表されています!
- TVer:リアルタイム配信対応
- 見逃し配信:「ネットもテレ東」で実施予定
上川隆也さん×中山七里氏の過去作品
『テミスの剣』(2017年・WOWOW)
上川隆也さんと中山七里氏の最初のタッグ作品となった『テミスの剣』は、WOWOWで放送された社会派リーガルドラマです。上川隆也さんは検事正・柊季彦を演じ、司法制度の闇に立ち向かう骨太な物語を展開しました。
『夜がどれほど暗くても』(2020年・関西テレビ)
上川隆也さんは中山七里氏原作のドラマ「夜がどれほど暗くても」でも主演を務めました。この作品では、特殊詐欺撲滅に取り組む元刑事を演じ、現代社会の闇に鋭く切り込む社会派ドラマとして話題になりました。
『能面検事』を含め、これら3作品を通じて見えてくるのは、上川隆也さんが中山七里氏作品において一貫して「内に秘めた強い意志を持つキャラクター」を演じているということです。中山七里氏が上川隆也さんを信頼されているのも納得の継続的なコラボレーションです。
まとめ
2025年7月11日からスタートするドラマ『能面検事』は、間違いなく日本のドラマ史に新たな1ページを刻む作品となるでしょう。
「映像化は絶対無理」と原作者の中山七里氏が断言した”無表情の主人公”を、上川隆也さんという稀代の実力派俳優が演じる——この一点だけでも、このドラマの革新性と挑戦的な価値は明らかです。しかし、『能面検事』の真の魅力は、単なる演技的挑戦にとどまりません。
権力に屈しない正義、組織の論理を超越した信念、そして表情に現れない深い人間性——不破俊太郎というキャラクターは、現代社会で働く多くの人々にとって、理想的な「反骨精神の体現者」として映るはずです。惣領美晴との関係性も含めて、このドラマは単なるリーガルミステリーを超えた、現代人の生き方への示唆に富んだ作品となることでしょう。
原作ファンとして確信を持って言えるのは、このドラマを見ることで、視聴者は全く新しい「主人公像」を体験することになるということです。感情的になることなく正義を貫く姿、表情を変えずに相手を圧倒する迫力、そして能面の奥に秘められた人間的な温かさ——これらすべてを、上川隆也さんがどう表現するのか、今から楽しみでなりません。
7月11日の初回放送まで、ぜひ原作に触れて、この革新的なドラマの世界に備えてください。きっと、これまでに体験したことのない、特別な視聴体験が待っているはずです。そして願わくば、この挑戦的な作品が多くの視聴者に愛され、シリーズ化という形で長く続いていくことを——。
日本ドラマの新時代の幕開けを、一緒に見届けましょう。
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