元SMAPの「中居正広氏による性加害疑惑」が発端となり、それが「フジテレビ問題」へと転化し、フジテレビを取り巻く広告業界の動きが大きく変化しています。
大手スポンサー企業が次々とCMをACジャパンのものに差し替えられています。
この動きは拡大し、さらには契約金の返還請求や今後の広告出稿の見直しを進めるなど、事態はキー局だけでなく地方局にも波及。
広告業界全体に影響を与えるこの問題の背景と今後の展開をコンパクトにまとめました。
- フジテレビ問題の現状
- 地方局への波及状況
- スポーツ界(大相撲・Jリーグ)への波及
なお、「フジテレビ問題」関連では、次の記事もどうぞ。
「フジテレビ問題」の発端は「中居正広氏の性加害疑惑」だが…
2023年6月に発生した中居正広氏による性加害疑惑は、週刊誌の報道をきっかけに表面化しました。
被害女性(当時、フジテレビ女子アナウンサーと推定)との間で示談が成立したものの、フジテレビが中居氏を起用し続けたことに対する批判が高まり、外資系の株主からコンプライアンス事案を指摘される事態に。
フジテレビの初期対応のまずさに加え、1月17日に行われたフジテレビの港社長の記者会見の対応に批判が集中。
「フジテレビ問題」は見過ごすことのできないコンプライアンス事案として、大手スポンサー各社がCMを差し替える、今後も見合わせる、返還請求をするという流れが拡大していきました。
フジテレビと、親会社フジサンケイホールディングスは、1月27日に再度、記者会見を行いましたが、炎上が収まる気配がありません。
スポンサー企業の動き:CM差し替えから契約金返還請求、出稿見合わせへ
ACジャパンのCMが医療関係ばかりで、見事に医療利権の闇を象徴してますね。
— 森田洋之@医師・community Dr./医療経済ジャーナリスト/「医療」から暮らしを守る/音楽家 (@MNHR_Labo) January 26, 2025
医療関係ならなんとなく公共性があるように思えるけど、明らかに医療業界・製薬業界全体の利益になっています。
健康な人が毎日検脈なんて出来るわけないし、するべきじゃない。あほか。 pic.twitter.com/OxflGmD7tv
フジテレビの対応に不満を抱いたスポンサー企業は、以下のような動きを見せています。
- ACジャパンへのCM差し替え
トヨタ、キリン、サントリー、日本生命などの大手企業が、フジテレビでのCMをACジャパンの公共広告に差し替える対応を取っています。 - 契約金返還請求の動き
一部企業は、差し替えに伴う広告料金の返還を求める交渉を開始。ライオンや他のスポンサー企業も補償請求を検討しており、フジテレビの経営に大きな打撃を与えています。 - 広告出稿の見直し・停止
キリンやサントリーは、2月以降の広告出稿を停止することを決定。さらに、NTTは新規契約を見送る方針を発表しました。
情報としては1月20日頃の数値となりますが、大手マスコミ報道では「CM見合わせ75社、差し替え350本超」とされています。
また、フジテレビの長寿番組アニメ『サザエさん』では、提供CMが1本、1本と減り、最後の西松屋も見合わせるとの報道がありました。
これも長寿番組『食いしん坊!万才』で1社提供をしていたキッコーマンも提供を拒否し、番組そのものが停止することに。
事態は拡大し続けています。
地方局への波及:全国規模で広がる影響
フジテレビ系列の地方局にも影響が出始める…😰
— Tokyo.Tweet (@tweet_tokyo_web) January 22, 2025
↓
九州電力と西部ガス、九州管内にある7つの放送局で、フジテレビ制作番組でのCM放映見合わせ、来月以降の新たなCMの契約についても見合わせ pic.twitter.com/C0JLdhkzWZ
フジテレビ系列の地方局にも影響が拡大しています。
鹿児島テレビや関西テレビなどでは、スポンサー企業からのCM差し替えや提供表記の取り下げが相次いでいます。
地方局にとっても、フジテレビ制作番組の放送が視聴者やスポンサーからの信頼を損なうリスクとなっています。
キー局のフジテレビは、フジサンケイホールディングスの1会社であり、今後、CM収入が極端に減額しても、フジテレビ事態が、すぐに倒産に至ることはないと断言できます。
フジサンケイホールディングスの前期(2024年3月期)の有価証券を見る限りそう断言してもいいでしょう。前期末の段階で現預金は760億円、有香証券 1,214億円含む流動資産は4,049億円。一方、期末の流動負債は、1,524億円です。差引、2,525億円。余裕があります。
一方、地方局となると、これほどの財務余裕がないところも多いと推測されます。
つまり、フジテレビ系列局という大括りで見た時、このCM差し替え・返却・見合わせの流れは大問題だと言えるでしょう。
Jリーグやスポーツ界への影響
フジテレビ問題はスポーツ界にも波及しています。
Jリーグや大相撲トーナメントなどのイベントにおいても、スポンサー企業が広告出稿を見合わせる動きが見られ、スポーツイベントの運営にも影響を与えています。
Jリーグが28日、都内で理事会を開催した。
(中略)
フジテレビへの対応も議論され、約2時間の会議のうち30分近くの時間が割かれた。3月20日開幕のルヴァン杯の放映権契約を結ぶほか、スポットでのCMや、Jリーグに関連する番組の監修、協力なども行っている。(中略)
現時点で今後の方針に関する結論は出ていないが、既に現場レベルでは情報交換を開始。近く幹部クラス同士による直接協議が行われる見通しだという。
引用元:Yahoo!ニュース / スポニチアネックス / Jリーグが理事会でフジテレビへの対応を協議「ガバナンスに問題がある」ルヴァン杯で放映権契約を締結
Jリーグ幹部は「昨日の会見を見て企業としてガバナンスに問題があることは感じられた。現時点で今後の対応は決まっていないが、ルヴァン杯開幕まで時間もないので、悠長に構えてはいられない」と語った。
一方、大相撲でも次のような動きが…。
フジテレビが主催する「第49回大相撲トーナメント」(2月9日、東京・両国国技館)のスポンサー3社が特別協賛、協賛をそれぞれ辞退したことが27日、分かった。3社が取材に認めた。元タレントの中居正広氏(52)の女性トラブルをめぐるフジの対応を受けての措置。〝フジ離れ〟が同局のスポーツ事業に波及したのが明るみに出たのは、これが初めてだ。
引用元:Yahoo!ニュース / 東スポWeb / 「フジテレビは放送局の体を成してない」スポンサー3社が大相撲トーナメントの協賛辞退
(中略)
事情を知る関係者の話。 「今月中旬ごろから大相撲トーナメントのスポンサー3社が辞退したとの情報が流れています。フジ離れが加速している感があります」
大相撲トーナメントはフジの主催で今年の第49回は2月9日、東京・両国国技館で開催される。Skyが特別協賛、日清オイリオグループ、MIRARTHホールディングスが協賛だった。
27日午後の記者会見を前に3社に辞退は事実かと取材すると、Skyは「一連の問題を受け、特別協賛を辞退いたしました」、日清オイリオは「第三者委員会による調査の事態推移を見守る間につきましては、(フジ)主催イベントへの協賛を控えます」、MIRARTHは「一連の報道内容を総合的に判断し、当大会への協賛に関して辞退することを決定しました」とそれぞれ認めた。
フジテレビの対応と今後の課題
フジテレビは、第三者委員会を設置し、問題の調査と再発防止策を進めるとしていますが、スポンサー企業や視聴者の信頼回復には時間がかかると見られています。
また、広告収入の減少が経営に与える影響は深刻で、2025年3月までの減収額は200億円以上に達する可能性があると試算されています。
今後の展望:広告業界全体への影響
これらの「フジテレビ問題」は、フジテレビだけでなく、日本の広告業界全体に波及する可能性があります。
ジャニーズ事務所の性加害問題を契機に、企業が人権問題への対応を重視する姿勢を強めている中、今回のフジテレビ問題はさらなる転換点となるでしょう。
スポンサー企業は、広告出稿先の選定において、倫理的な観点をより重視するようになると予想されます。
まとめ
中居正広氏の性加害疑惑を発端とした「フジテレビ問題」は、広告業界全体に大きな波紋を広げています。
スポンサー企業の動きは、単なるCM差し替えにとどまらず、契約金返還請求や広告出稿の見直しへと発展。
地方局やスポーツ界にも影響が及び、フジテレビの経営や信頼回復には長い時間が必要とされるでしょう。
この問題は、メディア業界全体が人権意識を再考する契機となる可能性があります。
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