『TENET テネット』ネタバレ完全解説!プリヤ殺害の真相から時間逆行の全貌まで

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クリストファー・ノーラン監督のSFアクション映画『TENET テネット』は、その革新的な「時間逆行」の概念と圧倒的な映像美で多くの観客を魅了しました。

映画評価サイト『Filmarks』では4.0点(5点満点)の高評価を獲得している一方で、「観たけど、意味不明!」「結局なんだったのか、モヤモヤする」といった声も多く聞かれるように、その複雑なストーリー展開は一度観ただけでは完全に理解するのが非常に難しい作品です。

この記事では、『TENET テネット』の難解なプロットを徹底的に解説し、特に物語のキーパーソンであるプリヤがなぜ殺されたのか、その真相に深く迫ります。この一本で映画の全体像を把握し、より深く作品を味わうことができるでしょう。

この記事でわかること
  • 難解な物語の全貌と複雑な結末を理解できます。
  • プリヤがなぜ殺されたのか、その背景と真の目的が明らかになります。
  • 映画にまつわる様々な疑問や、隠された伏線についての答えを得られます。
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目次

第1章 『TENET テネット』作品概要

難解な作品の概要から…。

1-1 作品概要

  • タイトル:『TENET テネット』(原題: Tenet)
  • 公 開 年:2020年(日本では2020年9月18日公開)
  • 製 作 国:アメリカ合衆国、イギリス
  • 上映時間:151分(Filmarksでは150分と記載されています)
  • ジャンル:SFアクション映画、サスペンス、アクション
  • 監  督:クリストファー・ノーラン
  • 脚  本:クリストファー・ノーラン
  • 製  作:エマ・トーマス、クリストファー・ノーラン
  • 音  楽:ルドウィグ・ゴランソン
  • 撮  影:ホイテ・ヴァン・ホイテマ
  • 製 作 費:2億2500万ドル
  • 興行収入:全世界3億6530万4105ドル
  • 評  価:Filmarks 4.0点、Rotten Tomatoes 70%、Metacritic 69点
  • 配  信:Netflix、Prime Video、U-NEXTほか

1-2 主要な登場人物

  • 名もなき男(Protagonist):ジョン・デヴィッド・ワシントン
    • 本作の主人公。CIAの特殊工作員で、劇中では名前が明かされず、「PROTAGONIST(主人公・主唱者)」と呼ばれます。人類を破滅から救う「TENET」の任務にスカウトされます。
  • ニール:ロバート・パティンソン
    • 主人公の協力者。物理学の修士号を持つ頭脳明晰な人物で、物語を通して主人公をサポートします。
  • キャサリン“キャット”・バートン:エリザベス・デビッキ
    • ロンドンで絵画鑑定士をしているセイターの妻。セイターの暴力的な仕打ちに耐えながら、息子のマックスを守ろうとします。
  • アンドレイ・セイター:ケネス・ブラナー
    • 在英ロシア人の大富豪で武器商人。未来人と共謀し、第三次世界大戦を勃発させて人類滅亡を目論む本作の悪役です。末期の膵臓癌を患っています.
  • プリヤ:ディンパル・カパーディヤー
    • インドの武器商人サンジェイ・シンの妻で、夫の組織の実権を握っています。TENETの主要メンバーの一人でもあります。
  • バーバラ:クレマンス・ポエジー
    • 時間を逆行する武器や、未来から送られてきた第三次世界大戦の遺物を研究するTENETの女性科学者です。
  • アイブス:アーロン・テイラー=ジョンソン
    • プリヤ直属の部隊の指揮官で、スタルスク12での最終作戦「挟撃作戦」では順行状態の「赤チーム」を率います.
  • フェイ:マーティン・ドノヴァン
    • 主人公をTENETに勧誘し、人類破滅を防ぐ任務を与える男性です。
  • マイケル・クロズビー卿:マイケル・ケイン
    • MI6の連絡役で、主人公に情報提供を行います。
  • マヒア:ヒメーシュ・パテル
    • ニールから依頼を受け、オスロ空港での飛行機衝突作戦に協力する男性です。
  • ボルコフ:ユーリー・コロコリニコフ
    • 口数の少ないセイターの忠実な部下です。

1-3 あらすじ

ウクライナのキーウにあるオペラハウスでテロリストによる立てこもり事件が発生しますが、これはCIAスパイの暗殺を目的とした偽装工作でした。CIA特殊工作員である「主人公」は、救出作戦中に「逆行する弾丸」を目撃し、その現象に疑問を抱きます。任務の適性を試された主人公は、フェイにスカウトされ、第三次世界大戦を阻止するという謎の組織「TENET」の一員となります。

バーバラという女性科学者から「逆行する弾丸」の原理を教わった主人公は、未来から送り込まれた時間を逆行させる装置「アルゴリズム」の存在を知ります。

主人公は、弾丸の製造元からインドの武器商人プリヤに辿り着き、そこで協力者ニールと出会います。プリヤから、在英ロシア人の武器商人アンドレイ・セイターが未来人と関与していることを知らされ、セイターの妻であるキャットに接触を図ります。セイターの脅迫のネタである贋作を巡る計画を通じて、主人公たちは世界の破滅を企むセイターの野望を阻止するための壮大な戦いに巻き込まれていきます。

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第2章 プリヤとは?

プリヤは、ムンバイの大物武器商人サンジェイ・シンの妻ですが、夫は表向きの「商売の顔」に過ぎず、組織の実権を握る「本物の武器商人」は彼女自身です。

主人公が彼女の両手が組まれた様子を見て「それがあなたのテネットか」と問うと、彼女がTENET側の人間であることが示唆されます。プリヤは、セイターが未来人と関与し、通常の銃弾が「逆行弾」に変化していることを主人公に伝えます。また、「世界の見方を変える必要がある」と語り、時間の逆行についても深く理解していることが分かります。

プリヤは、未来人がセイターに対抗するために送り込んだ「代理人」であり、TENETにおける彼女の役割は、作戦に必要な資金や資源を用意することでした。最終決戦に向けて、逆行装置を積んだ船や、アイブスが指揮する部隊などを準備しました。

彼女の目的は、主人公と同じくセイターを止めることですが、その手段は主人公とは大きく異なります。プリヤは「セイターさえ止められれば、他はどうでもいい」と考えており、自身の目的のためならば主人公やキャットを「捨て駒」とすることも厭いませんでした。例えば、セイターにアルゴリズムを奪わせ、一箇所に集めることで、後で奪取しやすくするというのが彼女の当初の計画でした。

プリヤは、自らが「黒幕」となり、セイターを止め、最終的に生き残ることを目指していました。主人公への情報提供も、彼女が有利になるように小出しにしていたと考えられます。

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第3章 主人公、名も無き男について

本作の主人公は「名もなき男」と呼ばれ、最後まで本名が明かされません。彼は作中では「PROTAGONIST」と表現されますが、これは「主人公」と「主唱者・指導者」という二重の意味を持っています。

彼のTENETへのスカウトは、ウクライナ・キーウのオペラハウスでの作戦がテストとして仕組まれていたことから始まります。そこで彼は、拷問を受けて機密を守るために自決用の毒薬を飲みますが、それが実は睡眠薬であり、後にTENETに勧誘されることになります。このテストは、彼が使命のために命を捨てられるか、自己犠牲を厭わないか、そして他人の犠牲を最小限に抑えようとする強い正義感を持つ人物であるかを見極めるためでした。オペラハウスで人質を救うために任務外の行動を取ったり、ニールの正体を知った際に涙を流したりする描写から、彼が慈愛に満ちた人物であることが分かります。

時間を逆行する現象を初めて目の当たりにした際、科学者のバーバラから「頭で考えないで。感じて」と助言された通り、名もなき男は理屈ではなく、感覚と本能でミッションに挑んでいきます。

物語の終盤、全ての作戦が終了した後、ニールは名もなき男に「この戦いの真の指揮官は未来の君だ。僕は未来の君に雇われた」と告げ、名もなき男こそがTENETを創設した「真の黒幕」であることが明かされます。つまり、彼は未来の自分から指令を受け、過去の自分を雇い、世界を救う計画を遂行していたのです。この壮大な計画は、名もなき男が未来で組織した「TENET」によって何年も前から始まっていました。

最終的に、名もなき男はアルゴリズムの存在を知る者を抹殺するという未来の自分のルールに反し、キャットの命を救うことを選びます。これは、彼が「役割を果たす一人の主役(A protagonist)」から、自らの意思で「真の主役(THE protagonist)」へと昇華した瞬間であると言えるでしょう。

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第4章 ネタバレ〜結末は?

※この章には映画『TENET テネット』の結末に関する重大なネタバレが含まれます。未鑑賞の方はご注意ください。

物語のクライマックスは、アンドレイ・セイターの故郷である廃墟の街「スタルスク12」で展開される、TENETによる「挟撃作戦」です。この作戦では、時間を順行する「赤チーム」と逆行する「青チーム」が同時に攻撃を仕掛け、情報の優位性を利用して敵を挟み撃ちにします。主人公とアイブスはアルゴリズムの奪取を目指し地下施設へ潜入します。

時を同じくして、キャットはセイターが最も幸せを感じた日であるベトナムのヨットへ向かいます。彼女の任務は、セイターがTENETの計画に気づかないよう時間を稼ぎ、アルゴリズムが回収された後に彼を始末することでした。しかし、セイターの勝利宣言ともとれる挑発的な言葉と、これまでの支配的な言動がキャットの怒りを爆発させ、彼女はアルゴリズム回収前にセイターを射殺してしまいます。その後、キャットが海に飛び込む姿は、過去の自分が目撃し、セイターの愛人だと思っていた「謎の女」が自分自身であったという衝撃的な真実を明かします。

スタルスク12の地下施設では、主人公とアイブスが施錠された扉に行く手を阻まれます。扉の向こうには赤いストラップをつけた兵士の死体が横たわっており、セイターの部下がアルゴリズムを埋めようとしていました。絶体絶命のその時、死体が逆行状態で蘇り、主人公の身代わりとなって銃弾を受け、内側から扉を開けて去っていきます。この兵士こそ、ニールでした。扉が開いた隙に、主人公はアルゴリズムを奪取し、作戦終了の爆発から間一髪でニールが投げたロープに捕まり脱出に成功します。

作戦終了後、ニールは主人公に自身の正体を明かします。「この戦いの真の指揮官は未来の君だ。僕は未来の君に雇われた。君が僕と会うのは何年か未来だけど、僕が君と出会ったのは何年も昔だ」と語り、ニールのタイムラインが主人公とは逆向きに進んでいたことを示します。彼は自分が死ぬ運命を知りながらも、主人公を守るために再び逆行し、扉を開けて命を落とすという「使命」を全うしたのです。この別れのシーンでのニールのセリフ「これが美しい友情の終わりだな」は、映画史に残る名言「これが我々の美しい友情の始まりだな」へのオマージュであり、二人の深い絆を示しています。

全ての任務を終え、未来の自分こそがTENETの創設者であり、プリヤや過去の自分を雇った張本人であることを知った主人公は、アルゴリズムの存在を知る者を抹殺しようとキャットに迫るプリヤを阻止し、殺害します。これは、アルゴリズムに関する情報を完全に消去し、誰もその存在を知らない世界を作り出すという「任務」の完了を意味します。主人公は、未来の自分が決めたルールに逆らい、キャットを守ることを選んだのでした。こうして物語は幕を閉じ、キャットと息子マックスの平穏な生活を見守る主人公の姿が描かれます。

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第5章 TENET テネットに関する、よくあるQ&A

映画『TENET テネット』に関する、よくあるQ&Aをまとめました。

  • Q1:時間逆行とは何ですか?
    • 『TENET テネット』における時間逆行は、特定の装置「回転ドア」を使用することで可能になります。これは「エントロピーの減少」を伴い、物体が時間を逆行しているように見える現象です。タイムトラベルとは異なり、逆行できるのは回転ドアに入った時点からであり、まるで「流れるプールで自分だけUターンして逆方向に泳ぐ」ようなイメージです。逆行状態の人物はそのままでは呼吸ができず、酸素マスクが必要です。
  • Q2:アルゴリズムとは何ですか?
    • アルゴリズムとは、地球上のすべての物質のエントロピーを逆転させる効果を持つ「ある手順」のことです。未来の科学者によって発見されましたが、その技術が悪用されることを恐れた生みの親によって9つに分解され、過去の核保有施設に隠されました。その分解された部品の一つが、物語の重要なキーアイテムである「プルトニウム241」です。アルゴリズムが起動すると、地球上のすべての生命が消滅するとされています。
  • Q3:セイターの目的は何ですか?
    • セイターは末期の膵臓癌を患っており、自身の命が終わる瞬間にアルゴリズムを起動させ、全人類を巻き込んだ壮大な「自殺」を目論んでいます。これは、未来の地球が環境破壊により破滅寸前であるため、未来人が過去の正常な地球環境に「逃れる」ためにセイターを利用して、時間の流れを逆にしようと画策しているためです。セイターは若かりし頃に、未来人から送られてきた「大量の金塊」と「隠されたアルゴリズムを探し出す契約書」を見つけ、その協力者となりました。
  • Q4:「祖父殺しのパラドックス」はなぜ起こらないのですか?
    • 「祖父殺しのパラドックス」とは、過去を変えることで現在の自分の存在が矛盾してしまうという時間旅行の概念です。未来人がアルゴリズムを起動して過去の生命を消滅させれば、自分たちの先祖も消え、結果として未来人も生まれてこないはずです。しかし、映画では未来人は過去の人類が死んでも自分たちには影響が出ないと信じているとされており、作中の哲学として「起こってしまったことは仕方がない」という考えが提示されています。これは、既に確定した結果を変えることはできないという世界観を示唆しています。
  • Q5:ニールはキャットの息子マックスなのですか?
    • これは映画ファンの間で最も議論されている人気の高い考察の一つです。
      • 肯定的な根拠
        • 名前のアナグラム:マックスの正式名称「Maximilien」を逆から読むと「Neil」が含まれる。
        • 言語能力と言葉の訛り:ニールとキャットは共にイギリス訛りの英語を話し、セイターと同じエトルリア語の読み書きができる。これはマックスの出自と一致します。
        • 身体的特徴:ニールとキャットは共に細身で高身長、髪型や髪質も似ていると指摘されています。ロバート・パティンソンがニール役のために髪色を明るくしたことも意図的だと考えられています。
        • ニールの言動:主人公の飲み物の好みを知っていたり、「この任務が全て完了した時、あなたがまだ知りたいと思うなら僕の人生について教えてあげる」と語ったりするなど、深い関係性を示唆する発言があります。また、キャットの手当てを熱心にする姿も母親への思いと解釈されることがあります。
        • 物語の構造:主人公がニールに助けられ、その主人公が幼少期のニール(マックス)を救うというループ構造が考えられます。
      • 否定的な根拠
        • 年齢と逆行期間:ニールがマックスだとすると、マックスが成長してから20代前半で逆行を開始し、作中のニールの年齢になるまでに10年以上もの逆行期間を過ごすことになり、その過酷さが指摘されます。
        • 主人公の性格:優しい性格の主人公が、救った女性の息子にそのような過酷で、最終的に死に至る使命を与えるのは残酷すぎるという意見もあります。
        • マックスの動機:セイターがマックスにひどい扱いをしていないため、マックスに父親殺しを手伝うほどの恨みがあるとは考えにくいという見方もあります。
    • クリストファー・ノーラン監督自身は、この説について「自分の解釈を明かす気はない」とコメントしており、正解・不正解がないことが作品の魅力であるとしています。
  • Q6:「挟撃作戦」とは何ですか?
    • 「挟撃作戦」は、時間の順行と逆行を同時に利用して敵を攻撃する戦略です。TENETの部隊は、順行する部隊(赤チーム)と逆行する部隊(青チーム)に分かれて行動します。これにより、時間の前と後ろから敵を挟み撃ちにすることで、情報を有利に収集し、戦況を優位に進めることが可能になります。たとえば、赤チームが順行で進む中で、青チームが逆行しながらその戦闘結果を先に把握し、赤チームを支援するといった連携が見られます。
  • Q7:逆行する銃弾を触る際に手袋が必要なのはなぜですか?放射能との関係はありますか?
    • 作中で、バーバラは時間を逆行する銃弾を触る際に、分厚い緑色の手袋を着用しています。これは、逆行するアイテムが「放射能を帯びている」ことを示しており、接触すると低体温症などの影響を受けるためです。実際に、逆行弾で撃たれたキャットが急速に体調を悪化させたのも、この放射能の影響と考えられています。また、逆行状態ではそのままでは呼吸ができないため、酸素マスクも必要となります。
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まとめ

『TENET テネット』は、クリストファー・ノーラン監督が20年かけて温めた着想を形にした、時間をテーマにした革新的なSFアクション映画です。その複雑な「時間逆行」の概念は、初見では混乱を招くものの、物語の構造やキャラクターの関係性を深く理解することで、その緻密な作り込みと圧倒的なスケールを再発見できます。

特にプリヤの役割や彼女が殺された理由、そして主人公「名もなき男」の真の正体とニールとの深い友情は、物語の核心を成す重要な要素です。これらの点が明確になることで、映画全体のメッセージがより鮮明に浮かび上がってきます。

『TENET テネット』は、「難解」であるからこそ、観客が自ら考察し、繰り返し観ることで新たな発見があるという、独自の楽しみ方を提供する作品です。ぜひこの解説を参考に、もう一度映画の世界に浸り、その奥深さを体感してください。観れば観るほど、この作品の魅力に引き込まれることでしょう。

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