イランとイスラエルの対立は、ここ1年間で劇的にエスカレートし、現在は直接的な軍事衝突に発展しています。
核開発を巡る緊張や地域的な影響力争いが背景にあり、両国の攻撃の応酬は中東全体を不安定化させる危険性を孕んでいます。
この記事では、1年前と現在の状況を比較し、現在の危機の詳細、今後の展望、そしてこの対立が世界に与える影響について、まとめてみました。
- イランとイスラエルの対立の変化と現状
- 今後の両国の抗戦の行方と国際社会の対応
- 紛争が世界経済や安全保障に及ぼす影響と拡大リスク
なお、こちらの記事もどうぞ。

ところで、本文に入る前に、以下のような情報も見つけました。とても嫌な方向へ動きつつあることを懸念してます。


追記:本記事公開後に見つけたちょっと深刻な記事
本記事公開後に見つけた、ちょっと深刻な記事を追記します。
6/18 6:21

6/18 11:16

6/18 11:55

6/18 13:42

6/18 13:51

6/18 15:49

1年前のイランとイスラエル ― 代理戦争から直接対決の序章へ
2024年のイランとイスラエルの関係は、代理戦争を中心とした間接的な対立が主流でした。イランはハマスやヒズボラといった武装勢力を支援し、イスラエルはこれらの勢力に対する攻撃を繰り返していました。特に2024年10月には、イランがイスラエルに対して200発以上の弾道ミサイルを発射し、イスラエルもイラン国内の核施設や軍事施設を空爆するなど、緊張が高まりました。
この時点では、両国の直接的な軍事衝突は限定的であり、代理勢力を通じた攻撃が中心でした。しかし、イスラエルはイランの核開発を「国家存亡の危機」と見なし、核施設への攻撃を繰り返していました。
現在の対立の詳細と背景
2025年6月13日、イスラエルはイランの核施設や軍事施設に対して大規模な空爆を実施しました。この攻撃により、イランの革命防衛隊(IRGC)の高官や核科学者が多数死亡し、イラン側の死者は400人を超えています。これに対し、イランはイスラエルに向けて370発以上の弾道ミサイルを発射し、テルアビブを含む主要都市に被害を与えました。
現在の対立は、以下の要因が背景にあります。
- 国際的な関与:
- アメリカやロシア、中国などの大国がそれぞれの立場で関与し、事態を複雑化させています。
- 核開発問題:
- イランの核開発が国際的な非難を浴び、イスラエルはこれを阻止するための先制攻撃を行いました。
- 地域的影響力争い:
- イランは中東での影響力を拡大しようとする一方、イスラエルはこれを抑え込むために軍事行動を強化しています。
今後の抗戦シナリオと国際社会の対応
現在の状況を踏まえると、以下のシナリオが考えられます。
- A: 国際的な仲介による停戦
- 国連や主要国が仲介に乗り出し、停戦合意が成立する可能性もあります。ただし、両国の根深い対立を解消するには時間がかかるでしょう
- B: 代理戦争への回帰
- 直接的な軍事衝突が一時的に沈静化し、再び代理勢力を通じた間接的な対立に戻る可能性もあります。
- C: 全面戦争への発展
- 両国の攻撃がエスカレートし、全面戦争に発展する可能性があります。特に、イランが核兵器開発を加速させる場合、イスラエルのさらなる攻撃が予想されます。
A: 短期終息シナリオ
イスラエルが初期攻勢で目的を達したと見なして作戦終了を宣言し、イランも象徴的な報復で矛を収める場合、仲介国の斡旋で米イラン間の対話が再開される可能性があります。
B: 長期化・低強度紛争シナリオ
断続的な戦闘が続き、「低強度の全面対決」状態が長期化する可能性が高い。中東の不安定化が続き、経済への影響が世界に波及します。
C: 全面戦争・拡大シナリオ
ヒズボラやフーシ派など「抵抗の枢軸」が全面参戦し、米軍施設への攻撃やロシア・中国の関与によって世界規模の紛争へ発展するリスクも指摘されています。
ただし、現状では各国首脳が「第三次世界大戦級の事態回避」を強調し、外交努力が続いています。
米国・国際社会の役割は?
米国はイランとの核協議を継続しつつ、軍事的な関与は限定的。国連やG7は停戦仲介を模索していますが、根本的な解決には至っていません。
世界への波及リスクと経済・安全保障への影響
イランとイスラエルの対立は、中東全体を不安定化させるだけでなく、世界的な影響を及ぼす可能性があります。
- [1] エネルギー市場への影響
中東地域の不安定化により、原油価格が高騰し、世界経済に悪影響を及ぼす可能性があります。 - [2] 国際的な安全保障への影響
核開発問題が解決しない場合、国際社会全体の安全保障に深刻な影響を与える可能性があります。 - [3] 地域紛争の拡大
イランが「抵抗の枢軸」と呼ばれるヒズボラやハマスを通じて他国を巻き込む場合、地域紛争が拡大するリスクがあります。
[1] 世界経済への影響
イスラエルのイラン攻撃を受け、原油価格は10%以上急騰。
金や米ドル、産油国通貨が上昇し、主要株価指数は日米欧を中心に下落しました。
原油高によるインフレ懸念が強まり、世界経済の不安定化が進行している。
[2] 核リスクと国際安全保障
イスラエルによる核施設攻撃は放射能汚染の拡大や核拡散防止条約(NPT)の形骸化を招く恐れがあり、国際社会は強い懸念を示しています。
イランの核開発が完全に阻止されたわけではなく、今後の復旧・加速化も懸念される。
[3] 第三次世界大戦のリスク
現状では「第三次世界大戦」や核兵器使用のリスクは限定的とされるが、偶発的な事態や誤算によって拡大する可能性は否定できません。
各国の外交努力と情報管理が今後の鍵となります。
地域の人道危機は?
両国で死傷者が急増し、イランでは220人以上、イスラエルでも多数の死傷者が報告されています。
都市インフラや経済基盤への被害も深刻で、人道危機が拡大しています。
まとめ
イランとイスラエルの対立は、2023年の「代理戦争」段階から2025年の大規模直接軍事衝突へと一気にエスカレートしました。
イスラエルの大規模空爆とイランの報復攻撃により、中東のパワーバランスは激変し、世界経済や国際安全保障体制にも大きな影響が及んでいます。
今後は短期終息から長期化、さらには全面戦争への拡大まで複数のシナリオが想定されますが、現時点では国際社会の外交努力によって「第三次世界大戦」級の事態は回避されています。
ただし、偶発的な拡大リスクは依然として高く、今後も継続的な監視と国際協調が不可欠な状況です。
参照URL
- ウキペディア:2024年イラン=イスラエル紛争
- 2025.06.14 / 個人ブログ:2025年、中東危機:イスラエル=イラン紛争の全貌と世界経済への影響
- 2025.06.16 / 三井住友DSアセットマネジメント:【市川レポート】イスラエルとイランの軍事衝突が金融市場に与える影響について
- 2025.06.15 / 公益財団法人日本国際問題研究所:イスラエルによるイラン攻撃の核プログラムに対する影響の暫定的評価
- 2025.06.17 / Forbes Japan:イスラエルが開戦数日でイランを圧倒 中東のパワーバランス、湾岸戦争以上の激変
- 2025.06.17 / JETRO:イランの最高指導者と大統領が声明、空域閉鎖も南部の港は通常どおり稼働(イラン、イスラエル、米国)
- 2025.06.16 / BBC NEWS JAPAN:イスラエルとイラン、攻撃の応酬続く イランは死者220人超と発表
- 2025.06.17 / NHK:イスラエルとイラン 攻撃の応酬続く 激化が懸念【16日の動き】
- 2025.06.17 / Reuters:G7、イスラエル支持を表明 「イランは不安定要因」=声明
- 2025.06.18 / Reuters:米軍、中東に戦闘機追加配備 イスラエル・イラン衝突受け=当局者
- 2025.06.17 / JETRO:日本政府、イスラエルとイランの軍事衝突に関し事態沈静化を強く求める(中東、日本、イスラエル、イラン、米国)
- 2025.06.17 / CNN:【分析】対イランで明確な出口戦略なし、イスラエルに新たな終わりなき戦争のリスク
- 2025.06.14 / RCC(中国放送):「第3次世界大戦・核兵器使用は食い止めなければならない」イスラエルのイラン核関連施設への空爆 広島の被爆者7団体が共同で抗議声明
- 2025.06.17 / 日テレニュース(YouTube):【中東情勢】イラン国営放送が生放送中に…イスラエル軍の攻撃受ける 職員1人が死亡 / イスラエル軍、イランの石油インフラなど攻撃── ニュースライブ
- 2025.06.15 / Yahoo!ニュース ABEMA TIMES:イランVSイスラエル、全面戦争の可能性は?「モサドの工作は準備万端だった」「悪いのはトランプ氏」舛添要一氏が解説
- 2025.06.16 / 毎日新聞:そもそもイランってどんな国 イスラエルが攻撃した理由は?
- 2025.06.13 / 外務省:イスラエル、ヨルダン川西岸地区及びガザ地区の危険情報【一部地域の危険レベル引き上げ】
- 2025.06.17 / TBS(YouTube):【緊急レポート】夜中に鳴り響く爆発音 イランvsイスラエルの対立激化 テルアビブ中心部で記者が見た惨状
- 2025.06.17 / NHK:最高指導者も標的に?イスラエルとイランどうなる?
- 2025.06.16 / BBC NEWS JAPAN:【解説】 イランとイスラエルが互いを攻撃……最悪のシナリオは
- 2025.06.17 / ANN(YouTube):イラン全土の危険情報をレベル4(退避勧告)に引き上げ 外務省(2025年6月17日)
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