【中学生でもわかる】高額療養費制度の申請完全ガイド!知らないと損する医療費のしくみ

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突然の病気やケガ。「治療費は一体いくらかかるんだろう…」と、不安な気持ちになったことはありませんか?日本には、そんな医療費の不安から私たちを守ってくれる、非常に強力な公的制度があります。それが「高額療養費制度」です 1。これは、特別な人だけが使えるものではなく、日本の公的医療保険に加入しているすべての人に与えられた、大切な権利です 1

この記事では、この心強い制度について、誰にでもわかるように、ゼロから徹底的に解説します。この記事を読み終える頃には、あなたは高額療養費制度の専門家になっているはずです。

  • 第1章では、制度の基本的な「しくみ」を解説します。
  • 第2章では、具体的な「申請手続き」を3つのステップで見ていきます。
  • 第3章では、マイナンバーカードの登場で、手続きがどれだけ「簡単」になったかを説明します。
  • 第4章では、多くの人が気になる「民間の医療保険」との関係をスッキリ整理します。
  • 第5章では、高額療養費に関する「よくあるQ&A」をまとめています。

さあ、一緒に医療費の不安を安心に変えていきましょう。

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タイトルを「中学生でもわかる」としましたが、もちろん中学生の皆様を軽んじる意図や、読者の皆様が未熟だと申し上げたいわけではありません。

この表現は、複雑な高額療養費制度を、専門知識がない方でも安心して理解し、使いこなせるよう、徹底的に平易な言葉で解説するという本記事の強い決意を表したものです。

ところで…
高額療養制度運用にはマイナ保険証がポイントになります。このマイナ保険証については、次の記事を参照ください。

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目次

第1章:そもそも「高額療養費制度」って何?~医療費の”自己負担ストッパー”~

高額療養費制度を一言でいうと、「医療費の自己負担に上限を設ける制度」です 2。まるで、毎月の医療費支払いに「ストッパー」がかかるようなイメージですね。

病院の窓口では、年齢や所得に応じて医療費の1割から3割を支払いますが、治療が長引いたり、大きな手術を受けたりすると、この自己負担額も高額になります 4。この制度は、そんなときに家計が過度な負担を負わないよう、1か月(月の1日から末日まで)に支払う医療費の自己負担額に上限(自己負担限度額)を定め、その上限を超えた分を後から払い戻してくれる、というものです 5

例えば、69歳以下で年収が約500万円の人が、1か月の総医療費100万円(窓口負担30万円)の手術を受けたとします。この制度がなければ30万円を支払う必要がありますが、高額療養費制度を使うと、自己負担限度額は約8万7,430円になります。つまり、差額の約21万2,570円が払い戻され、実際の負担は上限額で済むのです 6

ただし、この計算は「1日から末日まで」の1か月単位で行われる点に注意が必要です 5。例えば、3月25日から4月5日まで入院した場合、医療費は3月分と4月分に分けて計算されます。月をまたぐと、それぞれの月で上限額に達しにくくなる可能性があるため、この「月またぎの罠」は知っておくと良いでしょう 8

自己負担限度額は、あなたの収入や年齢で決まる

この「自己負担のストッパー」である上限額は、誰でも同じ金額というわけではありません。公平性を保つため、その人の年齢(70歳未満か、70歳以上か)と所得水準に応じて、きめ細かく設定されています 1

ここでは、特に現役世代である69歳以下の方の上限額の目安をみてみましょう。ご自身の年収がどの区分に当てはまるか、確認してみてください。

表1:自己負担限度額の目安(69歳以下の場合)

年収の目安区分自己負担限度額(月額)4回目以降の上限額(多数回該当)
~約370万円57,600円44,400円
約370万~約770万円80,100円+(総医療費−267,000円)×1%44,400円
約770万~約1,160万円167,400円+(総医療費−558,000円)×1%93,000円
約1,160万円~252,600円+(総医療費−842,000円)×1%140,100円
住民税非課税者35,400円24,600円

出典:厚生労働省、全国健康保険協会等の資料を基に作成 1

この表の計算式は少し複雑に見えるかもしれません。簡単に言うと、「一定額までは3割(または1~2割)負担だけど、それを超えた部分の負担率はぐっと下がる」という考え方で作られています 9

注意!高額療養費の対象にならない費用

この制度は非常に心強いですが、病院で支払うすべての費用が対象になるわけではありません。以下の費用は高額療養費の計算に含まれないため、自己負担となります。この点を理解しておくことは、正確な資金計画のために不可欠です 3

  • 入院時の食事代 3
  • 差額ベッド代(希望して個室などに入った場合の費用) 10
  • 先進医療など、保険適用外の治療費 3
  • 入院時のパジャマや日用品代など 3

まだある!負担をさらに軽くする「合わせ技」

高額療養費制度には、さらに負担を軽減するための「隠れたヘルパー」とも言える仕組みが2つあります。これは、制度が一時的な高額医療だけでなく、さまざまな状況に対応できるよう設計されている証拠です。

1. 世帯合算:家族の医療費をまとめて申請

1人分の自己負担額では上限に達しない場合でも、同じ公的医療保険に加入している家族(例えば、会社員の夫とその扶養に入っている妻や子)の自己負担額を、同じ月の中で合算することができます 5。この合計額が自己負担限度額を超えれば、超えた分が払い戻されます。

ただし、ここには重要なルールがあります。69歳以下の方の場合、合算できるのは、それぞれの医療機関で支払った自己負担額が21,000円以上のものに限られます 1。一方で、70歳以上の方の場合は、この金額制限はなく、すべての自己負担額を合算できます 6

2. 多数回該当:長期治療の負担をさらに軽減

がん治療や難病などで治療が長期にわたる場合、経済的な負担はさらに重くなります。この制度は、そうした状況にも配慮しています。

直近12か月以内に、高額療養費の支給を3回以上受けた場合、4回目からは自己負担限度額がさらに引き下げられます 1。これが「多数回該当」です。

例えば、上の表で年収約370万~約770万円(区分ウ)の人の上限額は通常約8万円台ですが、多数回該当になると44,400円まで下がります 1。これは、長期的な治療が必要な患者さんが安心して治療に専念できるよう、時間経過とともに行政の支援が手厚くなることを示しています。

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第2章:【3ステップで解説】具体的な申請手続きの方法

高額療養費制度を利用するには、申請手続きが必要です。この手続きには、大きく分けて2つの戦略的な選択肢があります。一つは「後から払い戻しを受ける」事後申請、もう一つは「そもそも窓口での支払いを安く済ませる」事前申請です。どちらを選ぶかで、一時的なお金の負担が大きく変わってきます。

パスウェイ1:基本の方法 – 事後申請(後から払い戻し)

これは、急な入院などで事前の準備ができなかった場合に使う、標準的な方法です。

  • ステップ1:
    • 窓口で医療費を支払い、領収書を保管するまず、医療機関の窓口で請求された自己負担額(例:3割分)を全額支払います。このとき、必ず**領収書(診療明細書)**を保管しておきましょう。申請時に必要になる場合があります 7。
  • ステップ2:
    • 申請書を受け取るか、自分で用意する多くの場合、高額な医療費が発生してから約2~3か月後に、加入している保険者(市役所の国保担当課や、会社の健康保険組合など)から「高額療養費の支給対象になる可能性があります」というお知らせと申請書が自動的に送られてきます 6。ただし、全国健康保険協会(協会けんぽ)など、保険者によっては自分で公式サイトから申請書をダウンロードして準備する必要がある場合もあります 14。
  • ステップ3:
    • 申請書を提出する申請書に必要事項(個人情報、払い戻しを受ける振込先口座など)を記入し、保険者に提出します 7。申請には期限があり、診療を受けた月の翌月の初日から2年を過ぎると時効となり、権利が消滅してしまうので注意が必要です 6

事後申請の注意点:払い戻しまでの待ち時間

この方法の最大の注意点は、払い戻しまでに時間がかかることです。保険者は、医療機関から提出される公式な診療報酬明細書(レセプト)を確認してから支給を決定するため、申請から実際の振込までには最低でも3か月以上かかります 5

この間の資金繰りを助けるために、「高額医療費貸付制度」というものがあります。これは、払い戻される見込み額の約8割を無利子で前借りできる制度で、当座の支払いが困難な場合に非常に役立ちます 4

パスウェイ2:賢い方法 – 事前申請(窓口での支払いを抑える)

入院や手術の予定があらかじめ分かっている場合や、抗がん剤治療などで定期的に高額な医療費がかかることが想定される場合には、こちらの方法が断然おすすめです。

魔法のチケット:「限度額適用認定証」

この方法の主役は、「限度額適用認定証」という証明書です 7。これを事前に取得して病院の窓口に提示するだけで、退院時などに支払う金額が、最初から自己負担限度額までとなります 20

つまり、一時的に高額な医療費を立て替える必要がなく、後からの払い戻しを待つ必要もありません。手続きは非常にシンプルです。

  1. ご自身が加入している保険者(協会けんぽ、市役所など)に「限度額適用認定証」の交付を申請します。
  2. 申請から1週間ほどで、認定証が郵送で届きます 7
  3. 入院時や最初の支払いの際に、保険証と一緒にこの認定証を窓口に提示します。
  4. 退院時には、自己負担限度額までの金額だけを支払います。

この事前申請は、医療費の支払いをめぐる金銭的・心理的な負担を劇的に軽減する、非常に賢い選択肢です。

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閑話休題〜わかりやすい音声解説♪

長い文書を読むのはちょっと・・・という方に朗報です!

「高額療養制度をわかりやすく解説した音声解説」をつくりました。

ここで、閑話休題として、その音声解説をぜひ聞いてくださいね。

【「高額療養費」に関する音声解説  by Notebook LM自動生成】

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第3章:マイナンバーカードで手続きが超カンタンに!

これまで見てきた手続きは、マイナンバーカードが健康保険証(マイナ保険証)として使えるようになったことで、劇的に簡単になりました。これは単なる小さな改善ではなく、面倒な事務手続きを根本から変える、大きな進歩です。

マイナ保険証が「限度額適用認定証」そのものになる

結論から言うと、マイナ保険証を使えば、事前の申請手続きが一切不要になります 21

オンライン資格確認システムを導入している医療機関の窓口で、マイナ保険証をカードリーダーにかざし、画面上で「限度額情報の提供」に同意するだけで、システムが自動的にあなたの所得区分に応じた自己負担限度額を適用してくれます 22

これにより、これまで事前申請の最大のハードルだった「限度額適用認定証」をわざわざ申請し、郵送を待ち、病院に持参するという一連の手間が、すべて不要になるのです 23。急な入院で準備が間に合わなかった場合でも、マイナ保険証さえあれば、その場で最も有利な「事前申請」と同じ効果を得られるようになりました。

知っておきたい「もしも」のケース

便利なマイナ保険証ですが、万能ではありません。いくつかのケースを想定しておきましょう。

  • もし、病院がカードリーダーを導入していなかったら?その場合は、残念ながらマイナ保険証のメリットを活かせません。従来通り、紙の「限度額適用認定証」を提示するか、後から払い戻しを受ける「事後申請」を行うことになります 24。
  • もし、マイナンバーカードを持っていない、または保険証利用登録をしていなかったら?もちろん、従来の健康保険証も引き続き使えます。また、将来的に従来の保険証が廃止された後も、マイナンバーカードを持っていない方には、保険者から「資格確認書」という書類が送付され、これを使って医療を受けられるので、誰も医療アクセスを失うことはありません 26。

3つの手続き方法を比較!あなたに合うのはどれ?

ここまで見てきた3つの方法を、メリット・デメリットで比較してみましょう。これを見れば、どの方法が自分にとってベストか、一目でわかります。

表2:3つの手続き方法メリット・デメリット比較

事後申請(後から払い戻し)事前申請(限度額適用認定証)事前利用(マイナ保険証)
手続きの手間多い(申請書の記入・提出)ややあり(事前の書類申請)ほぼなし(窓口で同意するだけ)
一時的な自己負担高い(いったん全額立て替え)低い(上限額までの支払い)低い(上限額までの支払い)
利用できる場面いつでも予定された医療対応医療機関ならいつでも
メリット事前の準備が不要一時的な負担が大幅に減る最も簡単・スピーディ。急な場合もOK
デメリット立て替え負担が大きく、払い戻しに3か月以上かかる事前に申請が必要。認定証の持参を忘れると使えない医療機関がカードリーダーを導入している必要がある

この表からわかるように、対応している医療機関であれば、マイナ保険証を利用するのが最も手間なく、経済的負担も少ない最適な方法と言えるでしょう。

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第4章:民間の医療保険に入っていても使える?~公的保険との賢い付き合い方~

「民間の医療保険に入っているけど、高額療養費制度も使えるの?」「保険金をもらったら、払い戻し額が減らされたりしない?」これは、多くの人が抱く疑問です。ここでは、公的保険と民間保険の賢い付き合い方を解説します。

役割が違う、2つの保険

まず理解すべきなのは、公的医療保険と民間の医療保険は、目的も役割も全く異なるということです 27

  • 公的医療保険(高額療養費制度を含む)
    • これは、日本に住むすべての人が強制加入する社会保障制度です 27。目的は、誰もが安心して必要な医療を受けられるように、医療費の負担を社会全体で支え合うことです。高額療養費制度は、その中でも医療費の家計破綻を防ぐセーフティネットの役割を担っています。
  • 民間の医療保険
    • これは、保険会社が提供する任意加入の商品です 27。目的は、公的保険だけではカバーしきれない部分を補い、個人の経済状況をさらに手厚く守ることです 28。

結論:全く干渉しない!両方から受け取れる

ここが最も重要なポイントです。民間の医療保険から入院給付金や手術給付金を受け取ったとしても、それが原因で高額療養費制度からの払い戻し額が減ることは一切ありません 8。両方の制度は完全に独立しており、それぞれに申請して、両方から給付を受けることができます。

なぜなら、両者がカバーしている対象が根本的に違うからです。

  • 高額療養費制度
    • これが補填するのは、病院に支払った「治療そのものにかかった費用(診療報酬)」の一部です。
  • 民間の医療保険
    • これが支払うのは、契約に基づいて「入院1日につき1万円」や「手術1回につき20万円」といった、治療内容に応じてあらかじめ定められた「定額の給付金」です。

では、なぜ民間の医療保険が必要なのか?

高額療養費制度があるなら、民間の保険は不要なのでしょうか?答えは「いいえ」です。民間保険は、公的保険がカバーしない「穴」を埋めるために重要な役割を果たします。

  1. 公的保険対象外の費用をカバーする第1章で見たように、差額ベッド代や入院中の食事代、先進医療の技術料などは高額療養費の対象外です 8。民間保険の給付金は、こうした自己負担分に充てることができます。
  2. 働けない間の収入減少を補う入院や療養で仕事を休めば、収入が減ってしまいます。民間保険からの給付金は、こうした生活費の補填として使うことができます 8。
  3. 治療の選択肢を広げる先進医療など、公的保険の対象外となる高額な治療を受けたい場合、その費用は全額自己負担です。先進医療特約などが付いた民間保険に加入していれば、経済的な心配をせずに治療の選択肢を広げることができます 8。

なお、民間保険の給付金請求には、通常、保険会社所定の診断書を医師に作成してもらい、提出する必要があります。これは高額療養費の申請とは全く別の手続きです 29

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第5章:高額医療に関する「よくあるQ&A」

以下、高額医療に関する「よくあるQ&A」を集めました。

Q1: 高額療養費制度とは具体的にどのような制度ですか?

A1: 高額療養費制度は、日本の公的医療保険に加入しているすべての人が利用できる制度で、1か月(月の1日から末日まで)の医療費の自己負担額が、所得や年齢に応じて定められた上限額(自己負担限度額)を超えた場合、その超えた分が払い戻される仕組みです¹⁵。これにより、高額な医療費が発生しても家計が破綻することなく、安心して治療を受けられるように設計されています²。

例えば、69歳以下で年収約500万円の人が、1か月に総医療費100万円(窓口負担30万円)の手術を受けた場合、この制度を利用することで自己負担限度額の約87,430円で済み、差額の約212,570円が払い戻されます⁶。

ただし、以下の費用は高額療養費の対象外となります³:

  • 入院時の食事代
  • 差額ベッド代(個室など希望した場合の費用)
  • 先進医療など、保険適用外の治療費
  • 入院時のパジャマや日用品代など

また、医療費の計算は「1日から末日まで」の1か月単位で行われるため、月をまたいで入院した場合などは、それぞれの月で上限額に達しにくくなる可能性がある点に注意が必要です⁸。

Q2: 自己負担限度額はどのように決まりますか?また、同じ医療費でも負担が軽くなる特別なケースはありますか?

A2: 自己負担限度額は、公平性を保つために、患者さんの年齢(70歳未満か、70歳以上か)と所得水準に応じて細かく設定されています¹。特に69歳以下の場合、年収に応じて「区分ア」から「区分オ」までのカテゴリに分かれており、年収が高いほど自己負担限度額も高くなります¹。

例えば、年収約370万円以下の区分エでは月額57,600円が上限ですが、年収約770万円以上の区分イでは167,400円に、さらに総医療費に応じた加算がされます¹。

さらに負担を軽減する仕組みとして、以下の2つがあります。

  1. 世帯合算:
    • 同じ公的医療保険に加入している家族の医療費を1か月単位で合算し、合計額が自己負担限度額を超えれば払い戻しの対象となります。ただし、69歳以下の場合は、合算できるのはそれぞれの医療機関で支払った自己負担額が21,000円以上のものに限られます¹。
  2. 多数回該当:
    • 直近12か月以内に、高額療養費の支給を3回以上受けた場合、4回目からは自己負担限度額がさらに引き下げられます¹。これにより、長期にわたる治療が必要な患者の経済的負担が軽減されます。

Q3: 高額療養費の申請方法にはどのような種類があり、それぞれのメリット・デメリットは何ですか?

A3: 高額療養費制度の利用には、大きく分けて「事後申請」と「事前申請」の2つの方法があります。

[1] 事後申請(後から払い戻し):

  • 方  法:
    • 医療機関の窓口で医療費を全額支払い、領収書を保管します。その後、加入している保険者から送られてくる申請書(または自分で用意)に記入し、提出します⁷。
  • メリット:
    • 事前の準備が不要なため、急な医療費発生時にも対応できます。
  • デメリット:
    • 一時的に高額な医療費を立て替える必要があり、払い戻しまでに申請から3か月以上かかることがあります⁵。一時的な資金繰りが困難な場合は、「高額医療費貸付制度」を利用して、払い戻し見込み額の約8割を無利子で借りることができます⁴。申請期限は診療を受けた月の翌月の初日から2年です⁶。

[2] 事前申請(窓口での支払いを抑える):

  • 方  法:
    • 入院や手術の予定が分かっている場合に、事前に保険者へ「限度額適用認定証」の交付を申請し、この認定証を医療機関の窓口に提示します⁷。
  • メリット:
    • 窓口で支払う金額が自己負担限度額までとなるため、一時的な立て替えが不要となり、金銭的・心理的負担を大幅に軽減できます²⁰。払い戻しを待つ必要もありません。
  • デメリット:
    • 事前に申請が必要で、認定証の取得と医療機関への提示を忘れるとこのメリットは受けられません。

Q4: マイナンバーカードが健康保険証として利用できるようになったことで、高額療養費制度の利用はどう変わりましたか?

A4: マイナンバーカードが健康保険証(マイナ保険証)として利用できるようになったことで、高額療養費制度の利用手続きが劇的に簡素化されました²¹。

  • 「限度額適用認定証」が不要に:
    • マイナ保険証をオンライン資格確認システムを導入している医療機関の窓口でカードリーダーにかざし、「限度額情報の提供」に同意するだけで、自動的に所得区分に応じた自己負担限度額が適用されます²²。これにより、これまで必要だった「限度額適用認定証」の事前申請、郵送待ち、病院への持参といった一連の手間がすべて不要になります²³。急な入院でも、その場で最も有利な「事前申請」と同じ効果が得られます。

ただし、以下のようなケースもありますので注意が必要です:

  • 医療機関がカードリーダーを導入していない場合は、従来の「限度額適用認定証」を提示するか、事後申請を行うことになります²⁴。
  • マイナンバーカードを持っていない、または保険証利用登録をしていない場合でも、従来の健康保険証は引き続き利用できます。将来的に従来の保険証が廃止されても、「資格確認書」が発行されるため、医療アクセスが失われることはありません²⁶。

Q5: 高額療養費制度の申請期限はありますか?

A5: はい、高額療養費の申請には期限があります。診療を受けた月の翌月の初日から2年を過ぎると時効となり、払い戻しを受ける権利が消滅してしまいます⁶。そのため、医療費が高額になった場合は、忘れずに早めに申請手続きを行うことが重要です。

Q6: 高額療養費制度の対象外となる費用にはどのようなものがありますか?

A6: 高額療養費制度は非常に強力な制度ですが、病院で支払うすべての費用が対象になるわけではありません³。以下の費用は制度の計算に含まれないため、自己負担となります。

  • 入院時の食事代:
    • 入院中の食事にかかる費用は、高額療養費の対象外です³。
  • 差額ベッド代:
    • 患者が希望して個室や少人数の病室に入った場合の追加費用(差額ベッド代)は、高額療養費制度の対象外です¹⁰。
  • 先進医療など、保険適用外の治療費:
    • 公的医療保険の対象とならない先進医療の技術料や、その他の保険適用外の治療費は、全額自己負担となり、高額療養費制度による払い戻しの対象にはなりません³。
  • その他:
    • 入院中のパジャマや日用品代など、直接的な医療行為ではない費用も対象外です³。

これらの費用は自己負担となるため、正確な資金計画を立てる上で理解しておくことが不可欠です。

Q7: 民間の医療保険に加入している場合でも、高額療養費制度は利用できますか?

A7: はい、民間の医療保険に加入している場合でも、高額療養費制度は利用できます。そして、民間の医療保険から給付金を受け取ったとしても、それが原因で高額療養費制度からの払い戻し額が減ることは一切ありません⁸。

その理由は、公的医療保険(高額療養費制度を含む)と民間の医療保険が、それぞれ異なる目的と役割を持っているためです²⁷。

  • 高額療養費制度:
    • 病院に支払った「治療そのものにかかった費用(診療報酬)」の一部を補填する、社会保障制度です⁸。
  • 民間の医療保険:
    • 契約に基づいて「入院1日につき〇円」や「手術1回につき〇万円」といった、あらかじめ定められた「定額の給付金」を支払う、任意加入の商品です⁸。

両者は完全に独立しており、それぞれに申請して両方から給付を受け取ることが可能です。民間の医療保険は、高額療養費制度ではカバーされない差額ベッド代や食事代、先進医療の技術料といった自己負担費用、あるいは働けない間の収入減少を補うなど、公的保険の「穴」を埋める役割を果たします⁸。

Q8: 医療費が高額になることが事前にわかっている場合、最も賢い手続き方法は何ですか?

A8: 医療費が高額になることが事前にわかっている場合(例: 入院や手術、定期的な高額治療など)は、マイナンバーカードを健康保険証として利用するのが最も賢く、推奨される手続き方法です²¹。

  • マイナ保険証を利用する:
    • 対応している医療機関であれば、窓口でマイナ保険証をカードリーダーにかざし、画面上で「限度額情報の提供」に同意するだけで、自動的に自己負担限度額までの支払いになります²²。事前の申請手続きが一切不要で、一時的な立て替えも発生しないため、最も手間なく経済的負担が少ない方法です²³。

もしマイナ保険証が利用できない医療機関の場合、次に賢い方法は「限度額適用認定証」を事前に取得して提示することです⁷。これにより、窓口での支払いを最初から自己負担限度額に抑えることができます²⁰。

これらの事前手続きが間に合わない場合や、急な医療費発生の場合には「事後申請」で後から払い戻しを受けることになりますが、一時的に高額な医療費を立て替える必要があり、払い戻しまでに時間がかかる点に留意が必要です⁵。

まとめ

長い道のりでしたが、これであなたも高額療養費制度を使いこなす知識を身につけました。最後に、最も重要なポイントを振り返りましょう。

  1. 高額療養費制度は、あなたの権利です。日本の公的医療保険に加入する誰もが利用できる、医療費の負担を抑えるための強力なセーフティネットです。
  2. 申請方法には選択肢があります。後から払い戻しを受ける「事後申請」もできますが、可能であれば「事前申請」で窓口負担そのものを抑えるのが賢い方法です。
  3. マイナンバーカードが最強のツールです。マイナ保険証を使えば、面倒な事前申請なしで、自動的に窓口での支払いが上限額までになります。
  4. 公的保険と民間保険は、助け合うパートナーです。両者は干渉しません。高額療養費制度で治療費の基本を抑え、民間保険で生活費や公的保険対象外の費用をカバーするのが、最強の組み合わせです。

医療とお金の話は、不安がつきものです。しかし、正しい知識があれば、その不安は大きく和らぎます。

もし、ご自身の具体的なケースでわからないことがあれば、保険証に記載されている保険者(全国健康保険協会(協会けんぽ)の支部や、お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口など)に問い合わせてみましょう。彼らは、あなたの状況に合わせた的確なアドバイスをくれるはずです。

この記事が、あなたの、そしてあなたの大切な人の「もしも」の時の助けになることを、心から願っています。

参照情報

  1. 高額療養費制度 | かんしん広場|患者さんのための情報サイト
    https://www.kanshin-hiroba.jp/social-security01-03
  2. 高額療養費制度について – 厚生労働省
    https://www.mhlw.go.jp/content/12401000/001492935.pdf
  3. 高額療養費制度をわかりやすく解説!医療費の限度額や申請方法を紹介 | ほけんの第一歩
    https://media.dai-ichi-life.co.jp/first_step/basic/00056/
  4. 高額療養費パーフェクトマスターより – BMS HEALTHCARE
    https://www.bmshealthcare.jp/content/dam/buildeasy/apac-commercial/bms-healthcare-jp/ja/documents/patient/rev_kogakuryoyo.pdf
  5. 高額な医療費を支払ったとき(高額療養費) – 全国健康保険協会
    https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g3/sb3030/r150/
  6. 高額療養費制度を利用される皆さまへ – 厚生労働省
    https://www.mhlw.go.jp/content/000333279.pdf
  7. 高額療養費制度とは?医療費負担を抑える制度・申請方法をわかりやすく解説 | 医療保険の選び方
    https://hoken.kakaku.com/gma/select/high-cost/
  8. 高い治療費は払わなくていいってホント⁉︎「高額療養費制度」をまるっと解説!
    https://www.sekisuihoken.co.jp/hoken-column/column/detail/index.html?name=dmp_vrb2201
  9. 高額療養費制度 – 全国健康保険協会
    https://www.kyoukaikenpo.or.jp/~/media/Files/kanagawa/20161107007/20191011/reiwa1kougi.pdf
  10. 公的医療保険の「高額療養費制度」って何? – 知るぽると
    https://www.shiruporuto.jp/public/document/container/kogakuiryohi/
  11. 高額療養費支給申請書 よくあるご質問【協会けんぽ】 – YouTube
    https://www.youtube.com/watch?v=mpoQUAG95VQ
  12. 【わかりやすく】高額療養費制度とは?自己負担限度額の計算は(協会けんぽ、国民健康保険)/外来や月またぎの取扱い/医療費控除との相違点 – YouTube https://www.youtube.com/watch?v=5o375ryyNH0
  13. 高額療養費の支給申請手続きについて – みなべ町 https://www.town.minabe.lg.jp/kurashi/07/02/2021111600017.html
  14. 健康保険高額療養費支給申請書, 7月 14
    https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g2/cat230/r119/
  15. 療養費支給申請書(立替払等)の記入方法 全額自己負担した医療費の払い戻しを希望される方へ
    https://m.youtube.com/watch?v=kgSHC6WBvpg&pp=ygUWI-eZgumkiuiyu-aUr-e1puWfuua6lg%3D%3D
  16. 記入例 – 松戸市
    https://www.city.matsudo.chiba.jp/online/shinseisyo/kurashi/hoken-nenkin/kenkouhoken.files/kougakuryouyouhiExample_20240401.pdf
  17. 高額療養費について | よくあるご質問 – 全国健康保険協会
    https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g6/cat620/r306/
  18. 高額療養費制度とは?制度の仕組みと申請方法をわかりやすく解説! – みんなの介護
    https://www.minnanokaigo.com/guide/homecare/compare-cost/high-cost/
  19. 高額療養費の支給申請手続き治療費を支援する制度 – がんを学ぶ
    https://www.ganclass.jp/support/medical-cost/medical_bills
  20. 高額療養費制度とは?自己負担額や仕組みをわかりやすく解説 – ソニー生命
    https://www.sonylife.co.jp/media/manavi/25/
  21. マイナンバーカードの健康保険証利用 – マイナポータル
    https://myna.go.jp/html/hokenshoriyou_top.html
  22. 限度額適用認定証(高額療養費制度)の利用について – 厚木市立病院
    https://www.atsugicity-hp.jp/?page_id=345
  23. マイナ保険証利用で高額療養費限度額情報の提供(任意)
    https://www.sekkei-kenpo.org/myNumber/myNumberKougakuryouyouTeikyou/
  24. 高額な医療費を支払ったとき | 保険給付いろいろ | 健保のしくみ
    https://www.kenpo.gr.jp/miuraz/contents/sikumi/kyufu/kougaku/index.html
  25. マイナ保険証または限度額適用認定証をご利用ください | 広報・イベント | 全国健康保険協会
    https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g5/cat550/1137-91156/
  26. よくある質問:マイナンバーカードの健康保険証利用について – デジタル庁
    https://www.digital.go.jp/policies/mynumber/faq-insurance-card
  27. 医療保険とは?公的医療保険と民間の医療保険との違いや、種類、必要性をわかりやすく解説します。 – マニュライフ生命
    https://www.manulife.co.jp/ja/individual/about/insight/column/article/column116.html
  28. 医療保険とは?公的医療保険と民間医療保険の違いや仕組みを解説 – ほけんの第一歩
    https://media.dai-ichi-life.co.jp/first_step/type/00022/
  29. 民間保険に加入しているときには – がん情報サービス
    https://ganjoho.jp/public/qa_links/book/public/pdf/25_114-118.pdf
  30. 医療費が高額になったとき(高額療養費等)(国保)
    https://www.town.ogawa.saitama.jp/gyosei/sosiki/6/4/5/1457.html
  31. 医療費が高額になったとき(高額療養費等)(後期高齢者) https://www.town.ogawa.saitama.jp/gyosei/sosiki/6/4/4/1225.html
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