2025年、中国各地で大規模な洪水や土石流が相次いで発生しています。
特に中国南西部の貴州省では「30年に一度」とされる未曾有の洪水が発生し、広東省では「市が丸ごと水没」する事態となりました。
これらの自然災害は甚大な被害をもたらし、多くの住民が避難を余儀なくされています。
被害の背景には、自然要因だけでなく、森林破壊やダム放水といった人為的な要因、さらには中国が直面する長期的な社会課題も指摘されており、過去の歴史からの警鐘とも受け取れる状況が浮き彫りになっています。
日本国内では、大手マスコミが中国の洪水情報をあまり報道しないので、現状が見えてきません。隣国のことですから心配ですね。
この記事では、記事末尾にあるニュースソースから、中国の直近の洪水情報をまとめました。
貴州省の壊滅的な洪水
この動画は、2025年7月7日の中国の模様を報じるYouTube動画です。貴州省ということではありませんが、中国の最新情報ということで、冒頭に動画掲載しました。
「30年に一度」の大洪水
2025年6月24日、中国南西部の貴州省陽光県(Yangguang County)は「30年に一度」とされる大規模な洪水に見舞われました。
数日間にわたる集中豪雨により、町を流れる川の水位が急上昇し、水が街全体を飲み込む事態となりました。
ショッピングモールのアトリウムにはまるで滝のように大量の水が流れ込み、地下1階は完全に水没しました。
被害と避難状況
この大洪水は、多大な人的・物的被害をもたらしました。国営テレビの報告によると、6月26日時点で、少なくとも6人の死亡が確認されています。
また、洪水の影響により、6月24日までに約8万900人もの住民が避難を余儀なくされました。
特に貴州省榕江県(Rongjiang County)では、多くの低地が浸水し、一部の町ではインフラが深刻な被害を受けました。
交通の寸断や通信の途絶が発生し、一部の住民は孤立状態に陥りました。
高速道路の高架が土砂崩れによって崩落し、トラックが転落して運転手が閉じ込められる事故も発生しましたが、幸いにもこの事故による死傷者の報告はないとされています。
6月26日午前11時時点では、県内の水位は警戒水位を下回っていると報告されており、被災地では救助活動と復旧作業が精力的に進められています。
続く二度目の洪水
貴州省の洪水は一度では終わりませんでした。
最初の洪水からわずか4日後の6月28日にも、陽光県で再び大規模な洪水が発生し、10万人を超える避難が呼びかけられました。
住民が家から泥を清掃し、持ち物を整理している最中に再び警報が鳴り響き、避難を余儀なくされる様子が報じられています。
この二度目の洪水では、多くの企業が泥だらけになり、排水作業が進行中です。
現地のSNSユーザーからは、水位が急速に上昇し、低層階が再び浸水する様子や、停電・断水の中で食料をやりくりする住民の困難な状況が伝えられています。
救助隊員も県中心部から避難せざるを得ない状況に直面しており、複数の橋が流されるなど、被害はさらに深刻化しました。
人為的要因の指摘
専門家によると、陽光県を含む山岳地帯の洪水対策は、森林や草原などの植生に大きく依存しますが、これらの植生が広範囲にわたって破壊されていることが指摘されています。
近年、中国の食料安全保障政策により、貴州省では大規模な農業拡大、特に山での稲作プロジェクトが進められ、60万もの森林が棚田に転換されました。
このような地形の改変は、集中豪雨の際に水や土砂が下流へ大量に流れ込む原因となり、洪水被害を拡大させていると考えられています。
さらに、上流に位置する10を超える貯水池や水力発電所からの放水が、下流の水位を急速に上昇させ、災害を悪化させる一因となるケースも少なくありません。
中国当局が警告なしに夜間放水を行うことが、被害を拡大させる要因の一つであるという指摘もあります。
今回の洪水は自然要因によって引き起こされたものの、地形の改変、政策主導の開発、インフラの質、緊急管理の不備といった人的な介入が、この壊滅的な洪水被害を拡大させた大きな要因であると指摘されています。
広東省の「未曾有の大水害」
全域水没の被害
2025年6月17日、中国南部の広東省では、「市」や「県」が丸ごと水没するという大陸的スケールの「未曾有の大水害」が発生しました。
この水害は、2025年6月11日に発生した台風1号「ウーティップ」の影響を受け、特に台風通過後に強まった南西モンスーンによる広範囲の豪雨が原因となりました。
広東省水文局肇慶水文分局の観測では、綏江懐集測候所で観測史上最大の増水が記録され、警戒水位を5.22メートルも上回りました。
これにより、中心街だけでなく、一部の地域ではほぼ全域が水没する状態に陥り、懐集県の中洲鎮は壊滅的な被害を受け、1万人以上が家を捨てて避難しました。多くの車両が水没し、低地にある商店の1階部分は完全に水没、大量の商品が洪水に流されました。
緊急対応と「五停」
各地の当局は、この事態を受けて非常警戒警報を相次いで発令しました。
懐集県は2025年6月17日19時より、最高レベルの防洪Ⅰ級応急対応を発動。この期間中、救援・当直・民生保障の要員を除き、県全域で「五停」、すなわち「授業停止、工事停止、生産停止、運行停止(フェリー含む)、営業停止」が厳格に実施されました。
また、避難所が開放され、避難が必要な住民は速やかに安全な場所へ移送され、「人は外に出ず、車は道を走らず」という原則が徹底されました。
広範囲にわたる影響
広東省肇慶市を含む多くの地域で豪雨赤色警報が発令され、珠海市や中山市などでも赤色警報が発表され、全市で休校措置が取られました。
当局のまとめた情報によると(途中集計)、被災人口は1万8,213人に上り、緊急避難・移送された住民は9,022人に達しました。
SNSでは、現地住民から「水没はすでに3日続いている」「泣きたくなるような気持ちだった」といった悲痛な声が投稿されました。
なお、2024年にも肇慶市がほぼ全域水没する被害に遭っていたことが報じられています。
四川省での大規模土石流
建物を飲み込む土砂
2025年7月4日、中国南西部の四川省では、大規模な土石流が発生しました。
数日間にわたって降り続いた大雨が原因で、町に流れ込んだ大量の土砂は、多くの建物を飲み込み、そのまま川まで押し流すほどの勢いでした。
周辺地域では、この土石流以外にも鉄砲水や土砂崩れが相次いで発生しており、広範囲で深刻な被害が確認されています。
避難者と行方不明者
この大雨とそれに伴う土石流により、500人近くの住民が避難を余儀なくされました。
現地メディアの報道によると、少なくとも4人が行方不明となっており、救助活動と安否確認が続けられています。
長期的な課題
中国で頻発する大規模な洪水災害は、自然の猛威だけでなく、構造的な課題も浮き彫りにしています。
災害頻発の背景と人為的要因
前述の貴州省の事例でも明らかになったように、山岳地帯における森林や草原などの植生の広範囲な破壊、食料安全保障政策による大規模な農業拡大(棚田への転換)が、集中豪雨時の水や土砂の流出を加速させ、洪水被害を拡大させている可能性が指摘されています。
さらに、上流の貯水池や水力発電所からの予期せぬ放水が、下流の水位を急激に上昇させ、災害を悪化させる一因となるケースも少なくありません。
これらの地形改変、政策主導の開発、インフラの質、緊急管理の不備といった人的介入が、自然災害の壊滅的な影響を増大させていると考えられます。
過去からの警鐘:黄河大洪水
中国の歴史を振り返ると、清朝末期の1887年から1889年にかけて発生した黄河大洪水は、「中国の悲しみ」とも呼ばれる黄河の氾濫の中でも特に甚大なものでした。
この災害では、公式記録によれば90万人以上が命を失い、200万人以上が家を失ったと推定されています1516。これは当時の世界史上最大の洪水災害であり、現代に至るまでトップクラスの犠牲者を出した自然災害の一つです。
当時の黄河は、上流から運ばれる大量の泥土によって河床が上昇し、周囲の平野よりも高い位置を流れる「天井川」と化していたため、一度堤防が決壊すると、広大な平野部へ濁流が雪崩のように流れ込みました。
当時の清朝政府は、西洋列強との戦争や国内の反乱で疲弊しており、広範囲での救助活動を行う能力が不足していました。
さらに、地方官僚による救援物資の横領なども報じられ、被災者の怒りと絶望を深めました。
古来より中国では、自然災害は統治者の徳の欠如を示す「天譴(てんけん)」と考えられており、この大洪水も清朝の「天命」が尽きたことの証左と見なされ、民衆の間で反政府感情が高まる要因となりました。
後に辛亥革命を指導する孫文もこの災害を観察し、「天災は避けられないかもしれないが、その被害を最小限に抑える責任は政府にある」と指摘しています。
この歴史的教訓は、現代の中国における洪水対策においても、適切な河川管理、早期警報システム、効果的な防災教育と避難計画、そして堅固な堤防建設の重要性を示唆しています。
人口減少と社会保障制度への影響
また、中国は近年、人口動態の面でも大きな課題に直面しています。
2024年末の中国の人口は14億800万人で、前年から139万人減少し、3年連続の減少となりました。
これは、世界的なトレンドに沿いつつも、特に東アジアにおける出生率の急落と共通する傾向です。
生活費の高騰により、若者が結婚や出産を先延ばしにしたり断念したりするケースが増えています。
過去の「一人っ子政策」も、現在の男女比不均衡の最大の要因とされており、これが社会的に不安定になる可能性を高めています。
2023年には中国の総人口が数十年ぶりに減少し、同年にはインドに抜かれ世界一の人口大国ではなくなりました。
急速な高齢化、労働人口の減少、消費市場の不足、海外への移住は、国家体制に深刻なプレッシャーを与えています。
すでに人口の5分の1以上が60歳以上の高齢者となっており、2035年までにはこの数字が30%を超える予測もあります。
軍事費や派手なインフラ事業への支出が増える一方で、社会保障制度は脆弱であり、積立不足の年金制度への支払いを拒否する中国人も増えています。
このような人口動態の課題は、大規模災害発生時の国家のリソースや社会保障制度にさらなる負荷をかけ、復旧・復興の長期的な道のりにおいて深刻な影響を及ぼす可能性があります。
まとめ
2025年に中国各地を襲った大規模な洪水や土石流は、貴州省での死者や多数の避難者、広東省での広範囲な水没、四川省での土石流による建物被害など、甚大な被害をもたらしました。
これらの災害は、集中豪雨という自然要因だけでなく、森林破壊やダム放水といった人為的要因が重なることで、被害がより深刻化している現状を浮き彫りにしています。
清朝末期の黄河大洪水という過去の歴史も、治水対策の不備や政府の対応能力の限界が被害を拡大させ、社会不安を引き起こした教訓を現代に伝えています。
現在も救助と復旧作業が続けられていますが、中国が直面する洪水災害は、自然要因だけでなく、政策や開発における課題、さらには人口減少や高齢化といった長期的な社会課題とも複合的に絡み合っています。
被災された方々への継続的な支援と、今後の効果的な災害対策、そして持続可能な開発モデルへの転換が、中国にとって喫緊の課題と言えるでしょう。
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☆注1.
本記事は、「Google Notebook LM」の使い方実習として、「中国の洪水」をテーマに記事まとめました。記事生成も原則、Notebook LMに委ね、結果を別のAIでファクトチェックしています。
☆注2.
本記事のアイキャッチは、記事基本情報を提示して、ChatGPTにつくってもらったものを編集無しで使用しています。
☆注3.
本記事の目的は、中国の状況をニュースソースに基づきまとめることにあり、中国を誹謗中傷したりする目的は一切ありません。むしろ、隣国として、災害状況を憂いでいます。
参照情報
- [1] 中国「30年に一度」の大洪水 / ANN NEWS・2025年6月25日
- [2] 中国でも大雨 鉄砲水も 街を襲う“土石流の瞬間” / AMM NEWS・2025年7月7日
- [3] 中国の人口は3年連続で減少、政府と経済に課題をもたらす / ARAB NEWS・2025年1月18日
- [4] 中国貴州省の洪水で6人死亡、国営テレビ / AFP BB NEWS・2025年6月26日
- [5] 中国・広東省「未曾有の大水害」市が丸ごと水没した。 / MONEY1・2025年6月20日
- [6] 家も街も泥に沈む…中国・貴州省を襲った「30年に1度」の水害に8万人が避難 / Newsweek 日本版・2025年7月7日
- [7] 水利部 1日から洪水リスクが最高の増水期に全面対応 / CGTN・2025年7月2日
- [8] 第6章 黄河大洪水 – 清朝末期を揺るがした大水害 / note・2025年4月7日
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