【朝乃山復活物語1】なぜ彼は嘘をついたのか?空白の1年と「完落ち」の真相

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  • 2025年7月17日注記:
    • 朝乃山は5日目に取組あり、勝ちました。通算で2勝1敗となっています。

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事件の概要と「信頼」という見えざる敵…

大相撲の世界において、番付は力士の強さと品格を示す羅針盤です。かつて大関として国技館を沸かせ、鮮やかな化粧廻しを締めていた男、朝乃山広暉関は、現在、幕下で土俵に上がっています。銀杏を結えず、白い稽古廻しで戦う彼の姿は、かつての華やかな地位との隔たりを物語ります。

彼の土俵人生を暗転させたのは、2021年に発覚した新型コロナウイルス感染症対応ガイドライン違反と、その後の虚偽報告という「過ち」でした。これは単なるルール違反に留まらず、大関という最高位の力士に求められる「品格」と、日本相撲協会に対する「信頼」を大きく損なう行為でした。朝乃山の物語は、自らが招いた失墜から、いかにして信頼を取り戻し、人間として再生していくのかという、壮絶な「禊(みそぎ)」のドラマでもあるのです。

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本記事の目的は過去に朝乃山が起こした不祥事を掘り起こして、再び彼を叩くことではありません。

大相撲ファンの筆者 TOPIOは、いまでも朝乃山のファンです。一度、小結まで復帰して、また怪我で三段目まで堕ちてしまった朝乃山。その彼の再びの復活を今でも信じています。

そこで、朝乃山に関しての記事をいくつか書いて、彼への応援歌としたい。その前段階として、朝乃山の不祥事は避けて通ることはできない。それで、この記事を書いています。

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目次

時系列で追う転落の全貌

キャバクラ通いから虚偽報告まで…

2021年5月場所中、週刊文春の報道により、当時大関だった朝乃山が緊急事態宣言下の4月30日と5月7日に東京都内のキャバクラを訪れていたことが明るみに出ました。日本相撲協会は、5月場所の番付発表後から4週間、力士に私的外出を禁じていたため、これは明確なガイドライン違反でした。

報道の前日である5月18日、協会の尾車コンプライアンス部長(元大関・琴風)が朝乃山に事情聴取を行いましたが、彼は「事実無根です」と報道内容を否定しました。しかし、事態をさらに悪化させたのは、彼に同行したスポーツニッポンの相撲担当記者が、「トレーナーの施術を受けていたことにしよう」と口裏合わせを提案し、朝乃山もそれに乗って協会に嘘をつき続けたことです。

しかし、隠し通せるものではありませんでした。5月19日の取組後、協会は師匠である7代高砂親方(元大関・朝潮)同伴で再び朝乃山を聴取。顧問弁護士の求めに応じて彼のスマートフォンを調べたところ、位置情報から報道内容が事実であることが判明しました。問い詰められた朝乃山は、ついに事実を認め、「完落ち」(完全な自供)に至りました。

この虚偽報告の発覚を受け、相撲協会は彼を5月場所12日目から休場させ、「こんなコロナ禍の大変な時に、大事な本場所に大きな穴を空けたことは重大な責任である。協会の最高位である看板を背負っている本人が穴を空けたということは重大な不祥事だ」と厳しく断じました。

最終的に、日本相撲協会は朝乃山に対し、6場所出場停止と6か月間50%の報酬減額という厳罰を下しました。また、彼が提出した引退届は受理せず、「今後協会に迷惑をかける行為があった場合に受理する」という条件付きで預かる形となりました。

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虚偽報告に至った心理的パニックの考察

嘘だったら大変な事に…

なぜ朝乃山は、当初嘘をついてしまったのでしょうか。協会からの最初の聞き取りで、尾車コンプライアンス部長は「後に事実だと分かれば大変なことになる」と念を押していましたが、それでも彼は「事実無根」を貫きました。この背景には、大関という重い立場で発覚した不祥事に対する極度の心理的パニックがあったと推測されます。一度嘘をついてしまったことで、後には引けなくなり、さらに事態を悪化させる結果を招いたのです。

相撲ライターの佐藤祥子氏によると、コンプライアンス部長は「朝乃山が最初から本当のことを言っていれば、3、4場所で、ここまでの処分ではなかっただろう」と明言しています。この言葉は、彼の虚偽報告が、結果的に処分をより重いものにした決定的な過ちであったことを示唆しています。

当時、横綱審議委員会の委員長も、「大関という立場でありながらあまりにも軽率で自覚が足りない」と強く非難しながらも、「心を入れ替えてやり直してほしい。素晴らしい素質を持っている力士だ」と再起に期待を寄せるコメントを残していました。彼の嘘は、自らの立場に対する自覚の欠如と、その場しのぎの対応が招いた致命的な選択だったのです。

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「完落ち」後の後悔と、今も続く「禊」の日々

涙の謝罪電話…

自身の嘘が露呈し「完落ち」した後、朝乃山は故郷の親しい関係者、特に父と富山後援会の理事長に電話で号泣し、謝罪を繰り返したと報じられています。

彼の父は「何をしとるんじゃ!!」と一喝しながらも、「もし幕下以下に落ちてもやる気はある」という息子の思いを代弁し、再起のチャンスを懇願しました。また、富山後援会も「相撲人としての過ちは相撲で返す朝乃山を信じている」として、彼を支援する嘆願書の署名活動を開始し、約9,500人もの署名が集まりました。この故郷の温かい支えが、彼の現役続行への大きな後押しとなったのです。

出場停止処分期間中、朝乃山は特例を受けることなく、若い衆と同じ部屋で生活し、ちゃんこ番や雑用などもこなしました。この期間、彼は「不祥事を起こした時に相撲協会にウソをついたことです」が一番つらかったと語っています。また、処分と同時期に祖父、そして2021年8月には父を亡くした際には、「心労などの苦労をかけたせいだ」と後悔し、「相撲はやめられない。相撲から逃げない。父のためにもはい上がってやる」と決意を新たにしました。

2022年7月場所での土俵復帰の際、彼は四股名を「朝乃山英樹」から本名の「朝乃山広暉」へと改めました。この改名について、彼は「不祥事を起こし先生の名前を名乗れない」と述べており、亡き恩師である浦山英樹氏への敬意と、自らの過ちに対する深い反省の念が込められています。これは、彼が自らの行動と向き合い、人間的な成長を遂げようとしている「禊」の現れと言えるでしょう。

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朝乃山に関する、よくあるQ&A

朝乃山の不祥事関連で、よくあるQ&Aをまとめました。

  1. Q1: 朝乃山が起こした不祥事の具体的な内容はどのようなものですか?
    • A1: 朝乃山は、2021年5月場所中に、日本相撲協会が定めた新型コロナウイルス感染症対応ガイドラインに違反し、緊急事態宣言下でキャバクラを訪れていたことが週刊文春の報道で明らかになりました。さらに問題とされたのは、協会からの事情聴取に対して、彼が当初「事実無根」と報道内容を否定し、同行した記者と口裏合わせをして虚偽の報告をしていたことです。協会がスマートフォンの位置情報を確認し、事実が判明したことで、彼は虚偽報告を認めるに至りました。
  2. Q2: 朝乃山は不祥事後、どのような処分を受けましたか?
    • A2: 日本相撲協会は、朝乃山に対し6場所出場停止と6か月間50%の報酬減額という厳罰を下しました。また、彼が提出した引退届は受理せず、「今後協会に迷惑をかける行為があった場合に受理する」という条件付きで預かる形となりました。この処分により、彼の番付は西大関2枚目から最終的に西三段目22枚目まで急降下しました。
  3. Q3: 朝乃山はなぜ四股名を「朝乃山英樹」から「朝乃山広暉」に改名したのですか?
    • A3: 2022年7月場所での土俵復帰の際、四股名を「朝乃山英樹」から本名の「朝乃山広暉」へと改めました。この改名について、彼は「不祥事を起こし先生の名前を名乗れない」と述べており、亡き恩師である浦山英樹氏への敬意と、自らの過ちに対する深い反省の念が込められています。
  4. Q4: 朝乃山にとって「禊(みそぎ)」とは具体的に何を意味するのですか?
    • A4: 朝乃山の物語における「禊」とは、単に出場停止期間を終えること以上の意味を持ちます。それは自らが招いた失墜から、いかにして信頼を取り戻し、人間として再生していくのかという、壮絶なドラマとして描かれています。日本相撲協会の八角理事長は、彼について「迷惑をかけた人、支えてくれた人へのお詫びは大関復帰ではなく、横綱昇進だよ、と。横綱になって初めてみそぎを済ませたと言えるんだよ」と語っており、彼の「禊」は横綱昇進という最高峰の目標達成にあるとされています。
  5. Q5: 不祥事からの復帰の過程で、朝乃山を支えたものは何ですか?
    • A5: 彼は孤独な戦いを続ける中で、多くの人々に支えられています。特に、師匠である高砂親方(元関脇・朝赤龍)は、不祥事発覚直後に自らの監督責任を認め、「師匠として私の不徳の致すところ」とコメントしました。朝乃山自身も、復帰までの支えを問われた際に、真っ先に「一番は親方と母親」と答えています。2021年に父を亡くして以降、母・佳美さんからの連絡が「大切な原動力」になっていると語っています。また、故郷である富山県の後援会も彼を見捨てることなく、「相撲人としての過ちは相撲で返す朝乃山を信じている」として、寛大な処分を求める嘆願書の署名活動を行うなど、変わらぬ支援を続けています。
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まとめ

失った信頼を取り戻すための、終わらない戦い…

朝乃山の転落は、自らが招いた過ちによるものであり、その後の虚偽報告が事態をさらに深刻化させました。しかし、彼はその過ちから逃げず、多くを失いながらも、支えてくれる人々の思いに応えようと、地道な「禊」の道を歩んでいます。

彼の戦いは、土俵の上での勝利だけでなく、失った信頼を取り戻すための、終わりのない人間的な成長の物語でもあります。

日本相撲協会の八角理事長(元横綱・北勝海)は、朝乃山について「迷惑をかけた人、支えてくれた人へのお詫びは大関復帰ではなく、横綱昇進だよ、と。横綱になって初めてみそぎを済ませたと言えるんだよ」とエールを送っています。この言葉は、彼の「禊」が、まだ道半ばであり、その道のりがどれほど険しいものであるかを示しています。

かつての大関が、再び輝く日を目指して、自らの弱さと向き合い、信頼を再構築するその姿は、私たちに人間の強さと再生の可能性を教えてくれるでしょう。彼の「終わらない戦い」は、これからも多くの人々の注目を集め続けるはずです。

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