電動歯ブラシを購入したものの、「本当にこの使い方で合っているの?」「手磨きとどう違うの?」と不安に感じていませんか?
実は、電動歯ブラシは手磨きとは全く異なる使い方をする必要があり、間違った方法で使うと効果が半減してしまうだけでなく、歯や歯茎を傷つけてしまう可能性もあります。
この記事では、電動歯ブラシを使い始めたばかりの初心者の方に向けて、正しい使い方から効果的な磨き方、よくある間違いまで、歯科衛生士監修のもとで詳しく解説します。正しい方法をマスターして、電動歯ブラシの真の効果を実感してください。
なお、初心者の電動歯ブラシ選びについては、こちらの記事をどうぞ。


また、具体的な電動歯ブラシ選びや手磨きとの比較などについては、こちらの記事をどうぞ。



電動歯ブラシの基本的な使い方
電動歯ブラシと手磨きの根本的な違い
電動歯ブラシを正しく使うために、まず手磨きとの違いを理解しましょう。
手磨きの場合:
- 手を動かして歯ブラシをゴシゴシと動かす
- 力を入れて汚れをこすり落とす
- 磨く速度や強さは手の動きに依存
電動歯ブラシの場合:
- 電動歯ブラシはゴシゴシと動かさない
- 歯ブラシを歯に軽く当てるだけで、電動の振動や回転で汚れを落とす
- 磨く速度や強さは電動歯ブラシで調整できる
この違いを理解せずに手磨きと同じように使うのが、初心者が陥りがちな最大の間違いです。
基本の持ち方と姿勢
正しい持ち方:
- ペングリップで軽く握る
- 鉛筆を持つように軽く握る
- 力を入れすぎない(握力の30%程度)
- 親指と人差し指で支える感覚
- 適切な角度を保つ
- 歯に対して45度の角度で当てる
- 歯と歯茎の境目に毛先を向ける
- ブラシヘッドが歯の表面に平行になるように
正しい姿勢:
- 洗面台の前に真っすぐ立つ
- 軽く前傾し、唾液が自然に垂れるようにする
- 肩の力を抜いてリラックス
電源ON前の準備
歯磨き粉の選び方:原則歯磨き粉は不要!!
*もし選ぶなら…
- 低研磨性の歯磨き粉を選ぶ
- 低発泡タイプがおすすめ
- フッ素配合のものが虫歯予防に効果的
歯磨き粉の量:
- 米粒大程度(約0.5cm)で十分
- つけすぎると泡立ちすぎて磨きにくくなる
もし、電動歯ブラシ用歯磨き粉を使ってみたいと思う方には、筆者 TOPIOも使っている次のものがお薦め。

この特徴について、公式サイトから抜き書きしますね。
- ハグキのキワ※の歯周プラークまで除去します。
- ハグキのキワ※の歯周病菌まで殺菌します。
- ハグキの炎症を防いで歯周病(歯肉炎・歯周炎)を予防します。
- とび散りにくいジェルタイプで、高速反転する電動ハブラシでもみがきやすい。
- 低研磨処方でやさしくみがけます。
※ハグキが下がって歯の根元が露出している場合は、かかりつけの歯医者さんのアドバイスに従ってハミガキを選ばれることをおすすめします。
引用元:SUNSTAR公式サイト

事前準備:
- 口を軽く水でゆすぐ
- ブラシヘッドを水で濡らす
- 原則、歯磨き粉不要だが、もしつける場合は適量(米粒大程度 – 約0.5cm)つける
効果的な磨き方の手順
基本の磨き方ステップ
ステップ1:電源を入れる前に位置決め
- ブラシを口の中に入れる
- 磨きたい部分にブラシを軽く当てる
- この状態で電源をON
ステップ2:上の歯から磨く
- 上の歯の外側から開始
- 奥歯から前歯に向かって移動
- 1つの歯につき2-3秒かけて丁寧に
- 上の歯の内側を同様に磨く
- 上の歯の噛み合わせ面を磨く
ステップ3:下の歯を磨く
- 下の歯の外側を奥歯から前歯へ
- 下の歯の内側を同様に
- 下の歯の噛み合わせ面を磨く
ステップ4:仕上げ
- 前歯の裏側を重点的に
- 歯と歯茎の境目を丁寧に
- 磨き終わったら電源をOFFにしてから口から出す
部位別の磨き方のコツ
前歯の磨き方:
- ブラシを縦に持って1本ずつ磨く
- 特に歯の裏側は汚れがたまりやすいので念入りに
- 歯茎のラインに沿って優しく
奥歯の磨き方:
- 口を大きく開けてブラシを奥まで入れる
- 噛み合わせ面の溝を意識して磨く
- 頬の内側を指で軽く引っ張ると磨きやすい
歯と歯茎の境目:
- 45度の角度でブラシを当てる
- 歯周ポケットに毛先が入るように
- 特に丁寧に時間をかけて
歯間の磨き方:
- ブラシを歯間に軽く押し込む
- 前後に小刻みに動かす
- 無理に力を入れない
時間配分と磨く順序
推奨時間:2分間
- 上の歯:1分間(外側30秒、内側20秒、噛み合わせ10秒)
- 下の歯:1分間(外側30秒、内側20秒、噛み合わせ10秒)
効率的な順序:
- 上の歯の外側(右奥→前歯→左奥)
- 上の歯の内側(左奥→前歯→右奥)
- 上の歯の噛み合わせ面
- 下の歯の外側(左奥→前歯→右奥)
- 下の歯の内側(右奥→前歯→左奥)
- 下の歯の噛み合わせ面
タイマー機能の活用:
- 30秒ごとのお知らせ機能を利用
- 各部位を均等に磨く目安にする
- 2分間で自動停止する機能があれば活用
電動歯ブラシの種類別使い方
音波式電動歯ブラシの使い方
特徴:
- 毎分約31,000回の高速振動
- 手磨きに近い感覚で使える
- 歯や歯茎への刺激が少ない
使い方のポイント:
- ブラシを歯に軽く当てるだけ
- 手は動かさず、ゆっくりと移動
- 振動の力で汚れを浮かせる感覚
代表機種:
- フィリップス ソニッケアーシリーズ
- パナソニック ドルツシリーズ
回転式電動歯ブラシの使い方
特徴:
- 丸型ブラシが回転・振動
- 歯を1本ずつ包み込んで磨く
- 高い歯垢除去力
使い方のポイント:
- 1本の歯に対して2-3秒かける
- 丸型ブラシを歯の表面に密着させる
- ゆっくりと隣の歯に移動
代表機種:
- ブラウン オーラルBシリーズ
注意点:
- 慣れるまで振動が強く感じる場合がある
- 最初は「ソフトモード」から始める
- 歯茎に強く当てすぎないよう注意
超音波式電動歯ブラシの使い方
特徴:
- 毎分約4万回の超高速振動
- 細菌レベルでの清掃効果
- 最も高い清掃力
使い方のポイント:
- 他の電動歯ブラシより長めに時間をかける
- より細かく丁寧に移動
- 歯周病ケアに特に効果的
よくある間違いと正しい方法
初心者がやりがちな5つの間違い
❌ 間違い1:力を入れすぎる
- 手磨きの感覚で強く押し付ける
- 歯茎を傷つけ、歯の表面を削る原因
✅ 正しい方法:
- ブラシの重さだけで十分
- 「触れる程度」の軽いタッチ
- 圧力センサー付きの機種を選ぶ
❌ 間違い2:手を動かしすぎる
- 手磨きのようにゴシゴシ動かす
- 効果が半減し、歯茎を傷つける
✅ 正しい方法:
- 手は固定してゆっくり移動
- 1箇所につき2-3秒静止
- ブラシの振動に任せる
❌ 間違い3:歯磨き粉をつけすぎる
- 通常の歯磨き粉の量をそのまま使用
- 泡立ちすぎて磨きにくくなる
✅ 正しい方法:
- 米粒大程度で十分
- 低発泡タイプの歯磨き粉を選ぶ
- 慣れるまでは歯磨き粉なしでも可
❌ 間違い4:時間が短すぎる
- 手磨きと同じ感覚で30秒程度で終了
- 効果を十分に得られない
✅ 正しい方法:
- 最低2分間は磨く
- タイマー機能を活用
- 慣れてきたら3分程度に延長
❌ 間違い5:濡らしすぎる
- ブラシヘッドをびしょびしょに濡らす
- 歯磨き粉が流れてしまう
✅ 正しい方法:
- 軽く水気を切る
- 適度な湿り気を保つ
- 歯磨き粉が流れない程度に
効果を最大化するための上級テクニック
テクニック1:45度磨き
- 歯と歯茎の境目に45度の角度で当てる
- 歯周ポケットの汚れまで除去
- 歯周病予防に最も効果的
テクニック2:分割磨き
- 口の中を6つのエリアに分ける
- 各エリアを20秒ずつ磨く
- 磨き残しを防ぐ
テクニック3:重点磨き
- 汚れやすい部分を特定
- その部分を普通の2倍時間をかけて磨く
- 個人の癖に合わせたカスタマイズ
メンテナンスと長持ちさせるコツ
使用後のお手入れ
毎回必須のお手入れ:
- ブラシヘッドを水で洗い流す
- 使用直後に流水で洗う
- 歯磨き粉や汚れを完全に落とす
- 本体を拭き取る
- 濡れたタオルで本体を拭く
- 充電部分の水気は特に注意
- 立てて乾燥させる
- 風通しの良い場所に立てる
- 水気を完全に切る
週1回のお手入れ:
- ブラシヘッドの除菌
- 熱湯に1分間浸ける
- または除菌スプレーを使用
- 本体の詳細清掃
- 細かい隙間の汚れをチェック
- 綿棒で丁寧に清掃
ブラシヘッドの交換時期
交換のサイン:
- 毛先が広がってきた
- 毛の色が変わってきた
- 3ヶ月経過した
- 清掃効果が落ちてきた
交換の目安:
- 基本的には3ヶ月に1回
- 使用頻度が高い場合は2ヶ月
- 毛先の状態を定期的にチェック
バッテリーを長持ちさせる方法
充電のベストプラクティス:
- 完全に使い切る前に充電
- 過充電を避ける
- 長期間使わない場合は50%程度で保管
バッテリー寿命の延ばし方:
- 極端な温度を避ける
- 水濡れに注意
- 定期的に使用する
トラブルシューティング
よくあるトラブルと解決法
トラブル1:歯茎から血が出る
- 原因:力の入れすぎ、歯茎の炎症
- 解決法:圧力を弱める、ソフトモード使用、歯科受診
トラブル2:歯がしみる
- 原因:知覚過敏、エナメル質の損傷
- 解決法:知覚過敏用歯磨き粉使用、使用頻度を下げる
トラブル3:効果を感じない
- 原因:使い方が間違っている、時間が短い
- 解決法:使い方の見直し、時間を延ばす
トラブル4:振動が強すぎる
- 原因:初心者には刺激が強い
- 解決法:ソフトモードから始める、慣らし期間を設ける
歯科医に相談すべきケース
以下の症状がある場合は使用を中止し、歯科医に相談:
- 継続的な歯茎の出血
- 歯の痛みが続く
- 歯茎の腫れや炎症
- 知覚過敏の悪化
効果を実感するためのコツ
正しい使用法の習得期間
第1週:慣らし期間
- ソフトモードから始める
- 短時間(1分程度)から慣らす
- 力の入れ方を覚える
第2-3週:基本マスター期間
- 2分間の磨き時間を守る
- 正しい角度と動かし方を習得
- 磨き残しがないかチェック
第4週以降:効果実感期間
- 歯の表面がツルツルになる
- 歯茎の色が健康的になる
- 口臭が減少する
効果測定の方法
自分でできるチェック:
- 歯垢染色剤の使用
- 磨く前後で比較
- 磨き残し部分の特定
- 歯の表面の手触り
- 舌で触ってツルツル感をチェック
- ザラつきがなくなる
- 歯茎の色と状態
- 健康的なピンク色になる
- 腫れや出血がなくなる
歯科医でのチェック:
- 定期検診での評価
- 歯垢除去率の測定
- 歯茎の健康状態確認
電動歯ブラシと併用したいオーラルケア
デンタルフロス
併用の必要性:
- 電動歯ブラシでも歯間の汚れは完全に除去できない
- 歯間の汚れが虫歯や歯周病の原因
使用タイミング:
- 電動歯ブラシの前に使用
- 汚れを浮かせてから電動歯ブラシで除去
マウスウォッシュ
効果的な使い方:
- 電動歯ブラシの後に使用
- 殺菌効果で仕上げ
- フッ素配合タイプがおすすめ
舌磨き
重要性:
- 舌の汚れも口臭の原因
- 電動歯ブラシでは磨けない部分
方法:
- 専用の舌ブラシを使用
- 優しく奥から手前に
まとめ
電動歯ブラシの正しい使い方をマスターすることで、手磨きでは得られない高い清掃効果を実感できます。最も重要なポイントは「軽く当てるだけ」「手は動かさない」「適切な時間をかける」の3点です。
初めは慣れないかもしれませんが、正しい方法を継続することで必ず効果を実感できるはずです。不安な点があれば歯科医に相談し、あなたの口腔状態に最適な使い方を身につけてください。
健康な歯と歯茎を保つために、今日から正しい電動歯ブラシの使い方を実践してみてください。
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