「1マイル4分の壁」を破ったロジャー・バニスター〜「壁」を破る意味について!

 
 
 桐生祥秀(きりゅうよしひで)選手が、2017年9月9日、とうとう日本人として初めて「100m10秒の壁」を破りました。  
 
そこで、思い出したのが 「陸上におけるの壁」  として有名なロジャー・バニスター選手のことです。
 
心理的な壁の面白さをご紹介します♪
 
 

1マイルレースにおける「4分の壁」とは

 
 1マイル(およそ1.6km)のレースは、世界選手権などの実施種目ではありません。それは世界選手権などは「メートル法」を採用しているからです。  
 
しかし、実質的に「ヤード・ポンド法」を採用しているアメリカなどでは、とても根強い人気のあるレース競技なのです。
 
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1マイルレースの世界新記録の歴史を振りかえります。
 
1923年、フィンランドのパーヴォ・ヌルミ選手が4分10秒3で1マイルレース世界新記録を打ち立てます。
 
それはたったの「2秒」を更新した新記録でしたが、当時は、驚愕すべき大記録でした。
 
というのも、それまでの記録は37年間も破られることがなかったからです。
 
しかし…
37年ぶりにようやく破られた記録、それは当時の人たちにマイナスに影響してしまったのです。
 
つまり、
 
 「1マイル4分を切ることは人間としては不可能」  
 
という常識が世界的に流布されてしまったのです。
 
この別名「brick wall」(れんがの壁)と言われた「1マイル4分の壁」は、当時、エベレスト登頂や南極点到達よりも難しいと考えられていたのです。
 
 

常識にとらわれない医学生登場!?

 
 ここに常識にとらわれない医学生が登場します。  
 
オックスフォード大学医学部で学ぶロジャー・バニスター選手です。
 
彼は当時としては珍しく、トレーニングに科学的手法を持ち込んで、自分のコンディションを科学分析します。
 
そして、1954年5月のレースで、ロジャー・バニスター選手は2人のチームメイトをペースメーカーにして、3分59秒4の世界新記録を樹立します。
 
ロジャー・バニスター選手は、その後、医者としても輝かしい貢献をして、1975年にはナイト爵位を授与します。
 
本記事投稿日現在、88歳で存命している方です。
 
 

面白いのはロジャー新記録の影響力!?

 
 面白いのはロジャー・バニスターがこの「1マイル4分の壁」を切ったあとに起こったできごとです。  
 
1923年にパーヴォ・ヌルミ選手がたったの「2秒」を更新するのに37年。
 
そして、1954年にロジャー・バニスターが「1マイル4分の壁」を切るまで、パーヴォ・ヌルミ選手から31年もかかってしまったわけです。
 
それくらい「1マイル4分の壁」は超難しい課題、人間業では乗り越えることができかねる課題だったわけです。
 
それが科学的手法を導入した医学生が、いとも簡単に乗り越えてしまった。
 
 このロジャー・バニスターの新記録は、世界中に蔓延していた「1マイル4分」という心理的な壁をぶち壊したのです。  
 
一端、心理的な壁が壊れると、その影響はもの凄いのです。
 

なんとロジャー・バニスターの大記録から46日後にはバニスターのライバル、ジョン・ランディが3分58秒という新記録を出します。
 
そして、バニスター記録のあと1年後までに、ランディを含め、なんと23人の選手が「1マイル4分の壁」を打ち破るのです。
 
世間に流布されている心理的な壁の強さ、そして、それが壊れたときの影響力を物語る、とても面白い逸話だと思いませんか?
 
 

まとめ

 
少し回りくどかったかもしれません。
 
 「常識にとらわれない大切さ」というお話でした。  
 
実は一番伝えたいことは、2017年9月9日に、桐生選手が「100m10秒」の壁を破る9秒98の日本記録を出したことをきっかけに、これから1年くらいの間に、「100m10秒の壁」を破る日本人選手がどんどん出てくるだろうということなんです。
 
他の記事にも書きましたが、それはまずは桐生選手本人による記録更新ですね。
 
それから、「100m記録の10傑」に入る現役選手、山縣亮太選手(25歳)、サニブラウン選手(18歳)、多田修平選手(21歳)、飯塚翔太選手(26歳)、ケンブリッジ飛鳥選手(24歳)たちによる10秒突破。
 
もちろん、彼らほど有名でない高校生、大学生のなかかも「10秒の壁」を破る選手がでてくると信じています。
 
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2020年の東京オリンピックの100m決勝では、日本人選手も9秒台の記録で戦うことができるでしょう。
 
いまから楽しみです。
 
まずは、ここ1年間に起こるであろう「100m9秒台」の日本人記録を期待しましょう。
 
 

2019年12月22日追記

 
12月22日現在、日本人では次の3選手が10秒の壁を破っています。
 

  • 2017年9月9日、9秒98、桐生祥秀選手
  • 2019年6月7日、9秒97、サニーブラウン選手
  • 2019年7月20日、9秒98、小池祐貴
 
※画像出典:FAN WORLD
 

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